執筆者 小松 裕介 | 11月 16, 2020 | CEO

前回に引き続き、リーダーが身に着けなければならないスキルである利害関係の調整について共に考えたいと思います。
本稿では、リーダーの代表格である政治家が行う利害関係の調整について記載をしたいと思います。
政治家は、法律を作ることなどを通じて、実質的には利害関係の調整を行うのが仕事です。突き詰めると、政治とは、利害関係の調整なのです。
それでは政治家は、どのように利害関係の調整を行うのでしょうか。
政治家は、自分の影響力を拡大するためにも、一つでも多くの利害関係の調整役を買って出ます(多くの場合、政治家本人ではなく、秘書がその役割を担っていることが多いです。)。
政治家の多くは利害関係の調整を行う際に、相談に来た依頼者である利害関係人の目の前で、直接相手側に連絡をして問題解決を図ります。これを通じて、問題解決を図るだけでなく、依頼人に対して、力の誇示をするのです。
そして、利害関係の調整を行った場合、多くの場合、それにかかる直接的な見返りを求めないものの、その「貸し」を通じて、その依頼者に対して、長期間にわたり影響力を行使するのです。
政治家は、多数の利害関係の調整を通じて、多くの関係者との間で「貸し」・「借り」の関係性を構築します。
この関係性によって、合理的に考えると、その問題だけでは決して解決できないような問題解決をすることができるようになります。これは市井の人には真似することのできない利害関係の調整方法です。
その結果、政治家は、一般人では想像ができないような調整力を手にしていくのです。
リーダーシップについて疑問がある、質問をしたいという方がいらっしゃいましたら、コメントや個別にメッセンジャーでご連絡ください。
また、コメントも大歓迎です。もし興味ある人がいれば、これを酒の肴に一杯やりましょう!

【Q.59】
私は、サラリーマンをしていて、いわゆる中間管理職です。
会社を良くしたいと考えていますが、経営者はとんちんかんで、それを見て、部下はやる気を失っているように思います。
まずは何から着手すべきでしょうか?
<コメント>
まずは、明日会社に行ったら、隣の席の人で構わないので、「会社を良くしたいと考えている。」と伝えるべきだと思います。
リーダーシップの第一歩は、世のため人のため、組織のため誰かのために、「より良くしたい」と伝えるところからです。
具体的な施策の各論になれば意見の相違があるかもしれませんが、少なくとも、その純粋な想いは共感されることはあっても、誰も否定することができないと思います。
「より良くしたい」という話を表に出して伝えれば、「それでは、より良くするためには、具体的にどうすればいいのか?」という話が動き始めます。
多くの場合、「人は性善なれど弱し」で、言い出しっぺになるのは嫌ですし、初めの一歩が重いものです。
まずは、そこのリスクを、リーダーシップを発揮して、誰かの代わりに抱えてあげましょう。本来ならばちょっと考えれば分かるものですが、この程度のリスクはあるとはいえないようなものです。
もはや歴史・伝説と言っても過言ではありませんが、インドのガンジーの塩の行進や公民権運動のマーティン・ルーサー・キング・ジュニアのワシントン大行進も、行進の最初は、小さな一歩です。
ぜひとも質問者の方も、リーダーシップを発揮して、まずは一歩を踏み出してもらいたいと思います。
※この記事は、2020年11月16日付Facebook投稿を転載したものです。
株式会社スーツ 代表取締役社長CEO
2013年3月にソーシャル・エコロジー・プロジェクト株式会社(現社名:伊豆シャボテンリゾート株式会社、東証スタンダード上場企業)の代表取締役社長に就任。7年ぶりの黒字化に導く。2014年12月に当社前身の株式会社スーツ設立。2016年4月より総務省地域力創造アドバイザー及び内閣官房地域活性化伝道師登録。2019年6月より国土交通省PPPサポーター。2020年10月に大手YouTuberプロダクションの株式会社VAZの代表取締役社長に就任。月次黒字化を実現し上場会社の子会社化を実現。2022年12月に株式会社スーツを新設分割し当社設立と同時に代表取締役社長CEOに就任。
執筆者 小松 裕介 | 11月 8, 2020 | CEO

前回に引き続き、リーダーが身に着けなければならないスキルである利害関係の調整について共に考えたいと思います。
本稿では、具体的な利害関係の調整の方法について記載をしたいと思います。
なお、利害関係の調整は、案件ごとに全く違う内容・違う当事者のため、この場合にはこの対応といった正解のない世界です。また、報酬を得る目的で、法的な紛争に関して他人と交渉をしたり法律相談に応じたりすることは非弁行為となり違法行為なので注意が必要です。
以前も記載をしてきましたが利害関係の調整は、裁判ではありませんので手続きや証拠うんぬんよりも、当事者の納得度が大事になってきます。
そのため、まずはリーダーの正義や倫理観に基づいて、利害関係の調整が必要な当事者たちの主張を整理し、インテリジェンスに基づき正確に状況把握し、落としどころのイメージを掴むことが効率良いやり方だと思います。
将来の利害の調整であれば、利害関係が一致しない当事者2名の希望の間を取るという調整方法が一般的です。2名が、冷静で合理的なプレイヤーの場合は、この方法で調整がつく可能性が高いでしょう。
既に当事者間でいざこざになっていて、そのうえで、将来の利害の調整が必要な場合であれば、過去のいざこざに対して評価し調整する必要があります。
明かに暴走している当事者については、あえて正論だけで対処するのもまとめる利害関係の調整のコツです。
パワハラやDVなどと同じで感情的に暴走している人は自制が利かなくなっていて止まれなくなっている可能性があります。その場合は、中途半端な調整ではまとまらない可能性があり、目を覚まさせる必要があります。その場合は、ペナルティを示唆したり、脅したりするなど厳しく対処することも視野に入れなければなりません。
日本は村社会だからか、最初にドンと厳しい交渉をしてから落としどころを見つける交渉スタイルの人はあまり多くなく、優れたリーダーの中には、このようなまとめ方に慣れている方もいます。
あと、本当に筋が悪い場合以外は、利害関係人の当事者のメンツを保てるように配慮するなど、調整上手な方は様々なテクニックを持っていると思います。
リーダーシップについて疑問がある、質問をしたいという方がいらっしゃいましたら、コメントや個別にメッセンジャーでご連絡ください。
また、コメントも大歓迎です。もし興味ある人がいれば、これを酒の肴に一杯やりましょう!

【Q.58】
私もリーダーシップの考え方にとても共感していますが、どのように社内に、この考え方を広めていけばいいでしょうか?
<コメント>
以前から本連載でも紹介していますが、「リーダーはリーダーを育てる」という格言があります。
そのため、一番はご質問者の方が、自らリーダーとなって、リーダーシップを実践するのが良いと思います。
リーダーシップを実践する過程で、ご質問者と行動を共にした人は将来、立派なリーダーになると思いますし、リーダーシップの力を知る機会を得ることになると思います。
もちろん、リーダーシップの実践の後は言語化する努力も必要だと思います。私もリーダーの端くれとして、このような連載をするなどして、少しでも多くの人にリーダーシップを学んで欲しいと思い、自身の体験を元にリーダーシップの言語化を目指しています。
今の時代ですので、座学で、リーダーシップを学ぶことも大事なことではないかと思います。
科学的なデータは把握していませんが、私は、座学でもリーダーシップの勉強をした人のほうが、全くリーダーシップを勉強していない人よりも、実際にもリーダーシップを発揮できるような気がしています。
※この記事は、2020年11月8日付Facebook投稿を転載したものです。
株式会社スーツ 代表取締役社長CEO
2013年3月にソーシャル・エコロジー・プロジェクト株式会社(現社名:伊豆シャボテンリゾート株式会社、東証スタンダード上場企業)の代表取締役社長に就任。7年ぶりの黒字化に導く。2014年12月に当社前身の株式会社スーツ設立。2016年4月より総務省地域力創造アドバイザー及び内閣官房地域活性化伝道師登録。2019年6月より国土交通省PPPサポーター。2020年10月に大手YouTuberプロダクションの株式会社VAZの代表取締役社長に就任。月次黒字化を実現し上場会社の子会社化を実現。2022年12月に株式会社スーツを新設分割し当社設立と同時に代表取締役社長CEOに就任。
執筆者 小松 裕介 | 11月 1, 2020 | CEO

前回に引き続き、リーダーが身に着けなければならないスキルである利害関係の調整について共に考えたいと思います。
本稿では、利害関係の調整の際のリーダーの心構えについて記載をしたいと思います。
利害関係の調整をするリーダーには、無私の心が必要です。これは優れたリーダーからすれば自然体で臨めることだと思います。
リーダーは、利害関係が一致しない当事者のため、組織全体のため、社会のためなど、多くの人のことを考えなければ、利害関係の調整をすることができません。
特に利害関係が一致しない当事者が多い場合などは、蟻の一穴で、一人の当事者の判断によって、利害関係の調整全体が不調に終わってしまう場合もあります。
リーダーは、利害関係の調整を成功させることが最優先で、もちろん自分のことなどは二の次にしなければなりません。
利害関係の調整内容次第によっては、短期的にリーダーが損をすることがあるかもしれませんが、成功させれば、必ずリーダーの影響力は拡がります(以前も記載したとおり、リーダーが利害関係の調整を引き受けるからには、必ず成功させなければなりません。)。
この事例として落語の「三方一両損」を挙げたいと思います。これは「左官金太郎が三両拾い、落とし主の大工吉五郎に届けるが、吉五郎はいったん落とした以上、自分のものではないと受け取らない。大岡越前守は一両足して、二両ずつ両人に渡し、三方一両損にして解決する」というエピソードです。
この話は、大岡越前の史実ではないようですが、リーダーの利害関係の調整の事例の一つとして参考になると思います。これは江戸時代の裁判を紹介した話ではなく、リーダーによる利害関係の調整のエピソードなのだと私は考えています。
まず、この話ですが、前述の記載のとおり、現代の裁判では信じられない判決です。過去に起きていることではなく、未来志向で、問題解決されています。
次に、利害関係の調整人が、目の前の問題解決のために、自らが金銭的な負担をすることで問題を解決し、その結果、名判決をしたという中長期的な影響力を手に入れるというのもよく出来ている話だと思います。
このようにリーダーによる利害関係の調整は、当事者のため、世のため人のために一生懸命に行い成功させれば、短期的にリーダーが損するようなことがあったとしても、中長期的にはリーダーの影響力を高めることになると思います。
リーダーシップについて疑問がある、質問をしたいという方がいらっしゃいましたら、コメントや個別にメッセンジャーでご連絡ください。
また、コメントも大歓迎です。もし興味ある人がいれば、これを酒の肴に一杯やりましょう!

【Q.57】
プロ経営者などリーダーとしてキャリアを築いていく上で、注意しなければならない点は何でしょうか?
<コメント>
前提として、質問者の方が考えるキャリアと私の考えるキャリアが一致しているかという論点があります。
どういうことかというと、例えば多くの人から憧れられる大企業に入社し順調に歩んでいるキャリアは、それはそれで素晴らしいことだと思いますが、その大企業の地位になければ力を発揮できないことが往々にしてあります。
私が考えるキャリアは、過去のキャリア(経験や経歴)というよりも、過去から未来へと繋がる「生き様」なのです。
こういった観点からアドバイスをすると、あまり要領が良くなり過ぎないことが大事です。
日々の仕事において、要領の良さは仕事のアウトプットに直結しますから、多くの人が重きを置いて捉えていると思います。
しかし、キャリアという観点では、眼鼻が利きすぎて、要領が良いと、問題を回避する選択をしがちです。そうなってしまうと、本来ならば、その人にとって必要となる成長の機会をみすみす逃しかねないのです。
ある程度の年齢になると、いかに過去の経験や経歴が立派であっても、まさに今、周囲の人から期待され求められていることを成し遂げられないのであれば、そのキャリアには意味がないと評価されてしまいます。
もちろんバランス感覚が必要であることは言うまでもありませんが、私は、適度に不器用に生きたほうが、リーダーシップも磨かれますし、人生が豊かになると考えています。
※この記事は、2020年10月31日付Facebook投稿を転載したものです。
株式会社スーツ 代表取締役社長CEO
2013年3月にソーシャル・エコロジー・プロジェクト株式会社(現社名:伊豆シャボテンリゾート株式会社、東証スタンダード上場企業)の代表取締役社長に就任。7年ぶりの黒字化に導く。2014年12月に当社前身の株式会社スーツ設立。2016年4月より総務省地域力創造アドバイザー及び内閣官房地域活性化伝道師登録。2019年6月より国土交通省PPPサポーター。2020年10月に大手YouTuberプロダクションの株式会社VAZの代表取締役社長に就任。月次黒字化を実現し上場会社の子会社化を実現。2022年12月に株式会社スーツを新設分割し当社設立と同時に代表取締役社長CEOに就任。
執筆者 小松 裕介 | 10月 24, 2020 | CEO

前回に引き続き、リーダーが身に着けなければならないスキルである利害関係の調整について共に考えたいと思います。
本稿では、利害関係の調整の前提となる当事者に関する情報収集と、その情報に対する分析について記載をしたいと思います。
利害関係の調整をするうえで一番重要なことは、当事者2名に関する情報収集と情報分析です。
当たり前ですが、もし利害関係の調整人であるリーダーが前提となる情報を間違って持っていたら、正しい判断ができず、調整が不調に終わる可能性が高いです。
以前も説明をしましたが、私がここで言う利害関係の調整とは、裁判とは似て非なるものです。
裁判は過去の行動について法律に基づいて裁くものですが、利害関係の調整は未来志向で、各当事者のことはもちろんですが、組織の理屈や世間への体裁など全体のバランスも考えながら利害関係を調整することです。
また、裁判では、なるべくその人の年齢、性別、出身、学歴や職業など属性を排して、その人が起こした行動に着目して、合理的に判断がなされていくわけですが、利害関係の調整では、行動のみならず、その人の属性も内心も、これからのことも全て考慮されて調整がなされます。
そのため、利害関係の調整は、裁判以上に、多岐にわたって、当事者の情報を取得する必要があります。
例えば、利害関係の調整の際に、困っている一方を優先して、もう一方の順番を劣後させる調整をするとします。リーダーがこの片方が困っている、もう片方は困っていないという情報を持っていれば、利害関係の調整は未来志向ですので、将来の時間差を利用した調整も可能になります。
このように手元に情報があれば、様々な判断ができ、様々な調整を図ることができるのです。
そして、やはり難しいのは情報分析です。
利害関係の調整において、多くの当事者は全ての情報を提供してくれませんから、自ら情報収集しなければなりませんし、限られた情報の中で分析をしなければなりません。
時には当事者の顔色を見て判断したり、行間を読んだりしながら、本心を探って、両者の納得度を高める必要があります。
そこは裁判ではありませんので、核心を捉えていれば、証拠不十分でも論理の飛躍でも構わないのです。
インテリジェンスが優れたリーダーならば、優秀な利害関係の調整人になれると思います。
リーダーシップについて疑問がある、質問をしたいという方がいらっしゃいましたら、コメントや個別にメッセンジャーでご連絡ください。
また、コメントも大歓迎です。もし興味ある人がいれば、これを酒の肴に一杯やりましょう!

【Q.56】
社員がリーダーシップを発揮しやすくするために何か意識していることはありますか?
<コメント>
リーダーシップは誰しもが持っているものです。また、地位や役職に問わず、誰もが発揮しなければならないものです。
では、なぜ、多くの場合、一部の人しかリーダーシップを発揮することがないか。
それは「人は性善なれど弱し」だからです。
人は、自分に自信があって、ゆとりがある。つまり強ければ、誰かのために、より良いことをしようとするのです。
そのため、今回のご質問ですが、どのように人を強くすればいいかを考えれば、自然と、社員はリーダーシップを発揮するようになるでしょう。
具体的に意識していることとしては、以下のようなことがあります。
1.まずはリーダーがフォロワーに対して正しくリーダーシップを発揮する。
2.経営理念など、どこに自分たちが向かおうとしているのか明確にする。
3.愛情深く接して、何があっても、自分たちの身が安全であることを理解してもらう。
4.地位や役職は関係なく、全ての人にリーダーシップが求められていることを伝える。
5.情報開示を徹底して、リーダーシップの発揮が求められている状況にあることを理解してもらう。
6.勝ち筋を提示する。
7.マネジメント(経営管理)を徹底して、すぐに成果が出るようにする。
8.リーダーシップの発揮した場合に得られる指標を社内で設定する。
9.期待していることを伝える。
10.ユーモアを大事にする。
※この記事は、2020年10月24日付Facebook投稿を転載したものです。
株式会社スーツ 代表取締役社長CEO
2013年3月にソーシャル・エコロジー・プロジェクト株式会社(現社名:伊豆シャボテンリゾート株式会社、東証スタンダード上場企業)の代表取締役社長に就任。7年ぶりの黒字化に導く。2014年12月に当社前身の株式会社スーツ設立。2016年4月より総務省地域力創造アドバイザー及び内閣官房地域活性化伝道師登録。2019年6月より国土交通省PPPサポーター。2020年10月に大手YouTuberプロダクションの株式会社VAZの代表取締役社長に就任。月次黒字化を実現し上場会社の子会社化を実現。2022年12月に株式会社スーツを新設分割し当社設立と同時に代表取締役社長CEOに就任。
執筆者 小松 裕介 | 10月 18, 2020 | CEO

前回に引き続き、リーダーが身に着けなければならないスキルである利害関係の調整について共に考えたいと思います。
本稿では、改めて、リーダーが行う利害関係の調整について整理したいと思います。
普段ビジネスの世界で生きている人からすると、例えば会社の社長(マネジメントトップ)の人事権の行使など、組織マネジメントでは当たり前となる組織のルールに基づく利害関係の調整は理解できるようですが、組織とは別の非公式に影響力を持つリーダーによる利害関係の調整がいまいち理解できない人が多いようです。
ボランティア団体のトップ、マフィアのボス、幼い子どもたちのリーダーや動物の群れのボスなどを想像すると分かりやすいかもしれません。彼らはしっかりとした組織のルールがない中で、利害関係の調整をしています。上手く調整すれば新たなフォロワーの獲得もできるでしょうが、逆に、下手な論功行賞をすれば寝首を搔かれ下剋上もありうるのです。
リーダーが行う利害関係の調整の関係者ですが、リーダーが利害関係の調整人、そして、調整される側として、利害関係が一致しない当事者2名になります(本稿では分かりやすいように2名としていますが、当事者が2名以上の場合もあります。)。
リーダーと当事者らは必ずしも同じ組織に所属している必要はなく、双方の当事者が実質的にリーダーの影響下にあるところが特徴です。
利害関係の調整の方法ですが、特に法律や組織のルールに縛られることもなく、当事者が納得する方法であれば何でもありです。
そのため、当事者が納得するのであれば、リーダーが直接的に当事者や関係者に対してヒヤリングや調査(捜査)することも許されますし、個別に話を聞こうが2人揃って話を聞こうが、様々な調整の方法が考えられます。
法律に定められた裁判ではありませんから、それこそ明確な証拠がなくとも構いませんし、因果関係が甘くても構いません。当事者が納得する進め方であればよいのです。但し、一般的には、リーダーが公平な手続きを踏まなければ、当事者が納得しない可能性は高いと思います。
裁判と違って、当事者の過去の行動にのみフォーカスがあたっているわけではなく、将来に向かって、どう当事者の利害関係を調整するかがポイントになってきます。
調整の結果ですが、当事者が納得するのであれば、外部から見て合理性を欠いた結論であっても問題ありません。しかし、中長期的に考えて、あまりにも非合理的な結論だと、周囲の人に対して、リーダーの影響力の低下を及ぼす可能性があります。
当たり前ですが、利害関係の調整の結果は、法律や組織のルールによる強制力があるものではありません。そのため、当事者らは、法律的には、その結果を反故にすることができないわけではありません。
しかし、当事者が、もし調整の結果を反故にする場合は、そのリーダーの影響力からの離脱を意味します。リーダーの立場からすると、調整の結果を無視されることはリーダーの影響力の低下を意味しますので、何が何でも当事者が納得するような利害関係の調整をしなければなりません。
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【Q.55】
リーダーはどのようにマネジメント・スキルを活かすべきでしょうか?
<コメント>
別連載の「リーダーと考える経営の現場・第3回 マネジメントとリーダーシップの違い」でも記載をしていますが、マネジメント・スキルは人を管理するためのスキルです。これに対して、リーダーシップ・スキルは人を導くためのスキルです。
この違いをしっかりと理解したうえで、リーダーは、フォロワーのためにも、積極的にマネジメント・スキルを活用すべきだと思います。
もちろん、フォロワーをがちがちに管理する必要はありません。フォロワーが、より楽しく、よりクリエイティブに、より人間らしく、リーダーシップを発揮できるような環境づくりとして、組織運営が効率的となるように経営管理するのがよいでしょう。
以前から記載のとおり「人は性善なれど弱し」です。フォロワーは弱い存在ですので、リーダーは、フォロワー個人のリーダーシップに期待し過ぎることは避けなければなりません。
リーダーがマネジメント・スキルを活かしてしっかりとした組織管理を行い、フォロワーの成果が出やすくすることは、フォロワーの自信の向上にもつながります。
フォロワーの自信が向上することで、心に余裕が生まれ、他の人を慮ったり新しいことに挑戦したり、フォロワーはリーダーシップを発揮できるようになります。
新たなフォロワーを増やし多くの人が関われるようにするためには、マネジメント・スキルを活かして、リーダーが率いる集団・組織を進化させる必要があります。
マネジメントもリーダーシップも、経営において、ともに重要となるスキルですが、それぞれスキルが求められる場面が違うだけです。
優れたリーダーになるためには、リーダーシップ・スキルもマネジメント・スキルも共に身に着けなければなりません。
※この記事は、2020年10月17日付Facebook投稿を転載したものです。
株式会社スーツ 代表取締役社長CEO
2013年3月にソーシャル・エコロジー・プロジェクト株式会社(現社名:伊豆シャボテンリゾート株式会社、東証スタンダード上場企業)の代表取締役社長に就任。7年ぶりの黒字化に導く。2014年12月に当社前身の株式会社スーツ設立。2016年4月より総務省地域力創造アドバイザー及び内閣官房地域活性化伝道師登録。2019年6月より国土交通省PPPサポーター。2020年10月に大手YouTuberプロダクションの株式会社VAZの代表取締役社長に就任。月次黒字化を実現し上場会社の子会社化を実現。2022年12月に株式会社スーツを新設分割し当社設立と同時に代表取締役社長CEOに就任。
執筆者 小松 裕介 | 10月 10, 2020 | CEO

前回に引き続き、リーダーが身に着けなければならないスキルである利害関係の調整について共に考えたいと思います。
リーダーは、利害関係の調整を引き受けるからには、必ず成功させなければなりません。
フォロワーから利害関係の調整の依頼を受けることは、フォロワーのリーダーに対する期待の表れでもあり、リーダーの影響力のバロメーターです。
リーダーシップがあり影響力があると目されているリーダーならば、日々、決裁権・決定権など組織上のルールの有無の如何に関わらず、多くの利害関係の調整の依頼が舞い込みます。
なぜなら利害関係の調整によって、当事者同士の問題が解決されるばかりか、依頼者であるフォロワーとリーダーとの人間関係も深まるのです(そのため、下心あって、リーダーに近づくために利害関係の調整を依頼する人も数多くいます。)。
そもそも利害関係の調整ができそうにないと思われていたり、活躍が期待されていないリーダーには、このような利害関係の調整の相談は来ないのです。
そのため、リーダーは利害関係の調整が失敗に終わることは避けなければなりません。
失敗のケースには、利害関係の調整の途中で当事者に席を立たれたり、リーダーが利害関係の調整をしたにもかかわらず、当事者が調整結果である取り決めを反故にしたりする場合があります。
これらのケースでは、もはや、こうなってしまったら、個別の利害関係の調整の内容の問題ではなく、リーダーとフォロワーの信頼関係の低下の問題であり、リーダーの影響力の低下の問題なのです。
映画や小説でよくあるシーンですが、2つの下部団体のケンカの仲裁役を買って出た上部団体のマフィアのボスが「俺の顔に泥を塗りやがったな!」というセリフは、まさにこのような思考法から導き出されている言葉なのです。
リーダーには、組織をまとめる「機能」として、利害関係の調整が求められていますし、フォロワーは、この利害関係の調整を通じて、リーダーが付き従っていくに値するかを見ているのです。
リーダーシップについて疑問がある、質問をしたいという方がいらっしゃいましたら、コメントや個別にメッセンジャーでご連絡ください。
また、コメントも大歓迎です。もし興味ある人がいれば、これを酒の肴に一杯やりましょう!

【Q.54】
科学技術などのテクノロジーの発達によって、経営者に、リーダーシップは要らなくなるようにも思いますが、どのようにお考えでしょうか?
<コメント>
あくまで科学技術などのテクノロジーは道具であり手段ですので、世のため人のためといった想い・原点の部分では、経営者に、リーダーシップが要らなくなることはないと思います。
但し、テクノロジーの発達でも、特にデジタルの世界が広がることによって、強烈・猛烈なリーダーシップがなくとも、今より格段に優れた商品・サービスが世界に一気に広がる可能性はあると思います。
チームラボ代表の猪子寿之さんが「世界は、グローバル・ハイクオリティでノーコミュニティ層と、ローカル・ロークオリティでコミュニティ層に分断される」と言っていますが、まさに前者がそれに当たると思います。
GAFAに代表される企業群はテクノロジーで人類の生活を良くしているわけですが、私は、それら企業で働いている経営者やスタッフは、みな素晴らしいリーダーシップを持っていると思います。
彼らは、従来と比較して、営業やマーケティングにおいて、強いリーダーシップを発揮していないかもしれませんが、研究開発においては、過去では信じられないほどの投資をしていて、人類の明日を切り拓くことにチャレンジし主導的な役割を果たしていると思います。
今後は、テクノロジーの進化によって、一般的な経営者の多くにも、よりリーダーシップが求められるようになるかもしれません。
なぜなら経営管理のようなマネジメントの部分はテクノロジーで代替できるようになるからです。
一般的に経営者にはリーダーシップとマネジメントが求められるわけですが、マネジメントにかかる時間が減少すれば、残りのリーダーシップの比重が増えるのは明らかです。
テクノロジーの進化によって、人との向き合いが増えると思います。
今まで以上に、経営者は、テクノロジーの活用を前提に、多くの人に共感されるような目標や夢を描くなど、リーダーシップの発揮が求められると思います。
※この記事は、2020年10月10日付Facebook投稿を転載したものです。
株式会社スーツ 代表取締役社長CEO
2013年3月にソーシャル・エコロジー・プロジェクト株式会社(現社名:伊豆シャボテンリゾート株式会社、東証スタンダード上場企業)の代表取締役社長に就任。7年ぶりの黒字化に導く。2014年12月に当社前身の株式会社スーツ設立。2016年4月より総務省地域力創造アドバイザー及び内閣官房地域活性化伝道師登録。2019年6月より国土交通省PPPサポーター。2020年10月に大手YouTuberプロダクションの株式会社VAZの代表取締役社長に就任。月次黒字化を実現し上場会社の子会社化を実現。2022年12月に株式会社スーツを新設分割し当社設立と同時に代表取締役社長CEOに就任。