執筆者 小松 裕介 | 5月 1, 2021 | CEO

リーダーの情熱は、費やした時間と身に着けたスキルで測ることができます。
一般的に会社の社長や経営幹部になるような人であれば、コミュニケーション能力も高く、その場をとりつくろうような嘘をつくことは造作もないでしょう。しかし、その人が、どの程度の時間を費やしたのか、どの程度のスキルを身に着けたのかを確認すれば、その人の生き様と本気度を知ることができます。
リーダーとは、暗闇の中、集団の先頭で、たいまつを持って、フォロワーを率いて進む存在です。リーダーが手に持つたいまつの輝きがあればあるほど、未来を見通すことができるようになりますし、多くのフォロワーも導くことができるのです。
私はリーダーが手に持つたいまつは、リーダーの情熱だと考えています。リーダーの情熱が未来を引き寄せ、フォロワーを惹きつけるのです。
しかしながら、情熱という言葉は、言うは易く行うは難しだと思います。
もしあなたが情熱あるリーダーならば、夢や目標のため、フォロワーのために、24時間365日、尽くさなければなりません。また、それ相応の現場の知恵や業界の知識などスキルが身についていなければなりません。
周囲の人々に情熱を証明するには、一度きりの人生のうちでどの程度の時間を費やしたかと、どの程度のスキルを身に着けたのかしかないのです。
逆に言えば、時間を費やさない人やいつまで経ってもスキルを身に着けない人は、明らかに情熱が不足しており、リーダーとしては不適格と言わざるを得ないのです。リーダーになりたいと口で言っても、少しの時間をかけて、夢の実現に必要となる専門書の一冊も読まないような人はリーダーにはなれないのです。
リーダーシップについて疑問がある、質問をしたいという方がいらっしゃいましたら、コメントや個別にメッセンジャーでご連絡ください。
また、コメントも大歓迎です。もし興味ある人がいれば、これを酒の肴に一杯やりましょう!

【Q.83】
人を動かす言葉とはどのようなものでしょうか?
<コメント>
リーダーは、夢や共感の力で、人を魅了し、人を動かさなければなりません。その時に大事になってくるのが言葉であり、コミュニケーションです。
私は、やや不遜な物言いかもしれませんが、リーダーとしての自分の言葉に自信を持っており、私の描く夢に共感して動いてくれる人が必ずいると信じています。
それでは、その時に、どのような言葉を用いているのかというと、それは魂が込められた言葉とでも形容すればいいでしょうか。リーダーが自然体で世のため人のために本気で思っている言葉が、人を動かす言葉なのです。
これは面白いことに、人を動かす言葉は、話が上手であることと必ずしも同義ではありません。もちろん常識的な納得度がなければ人が動かないのは言うまでもありませんが、未来の話をするときに、論理性や合理性よりも大事な何かがあるように思います。
また、本連載でも、今までも成人発達理論の「垂直的な成長」などを引き合いに出して説明をしてまいりましたが、人には「深さ」があるのです。つまりは、言葉以上に、誰が言ったか、どのタイミングで言ったかという、言葉の背景、コンテキスト(context)を聴衆の多くは読み取っているのです。
そのため、同じ言葉を使っていても、心に響かない軽い人もいれば、心にずっしりと響き、そして、聞いた人に気づきを与えてくれるような人もいるのです。
私はよくメンターの方から「聡明かつ深みのある人間になりなさい」と言われます。人を動かす言葉とは、聡明かつ深みのあるリーダーが発する言葉だと思います。
本当に人を動かしたいと思うならば、人間力を身に着けたうえで、リーダーとして前を向いたしっかりとした言葉を使わなければなりません。
※この記事は、2021年5月1日付Facebook投稿を転載したものです。
株式会社スーツ 代表取締役社長CEO
2013年3月にソーシャル・エコロジー・プロジェクト株式会社(現社名:伊豆シャボテンリゾート株式会社、東証スタンダード上場企業)の代表取締役社長に就任。7年ぶりの黒字化に導く。2014年12月に当社前身の株式会社スーツ設立。2016年4月より総務省地域力創造アドバイザー及び内閣官房地域活性化伝道師登録。2019年6月より国土交通省PPPサポーター。2020年10月に大手YouTuberプロダクションの株式会社VAZの代表取締役社長に就任。月次黒字化を実現し上場会社の子会社化を実現。2022年12月に株式会社スーツを新設分割し当社設立と同時に代表取締役社長CEOに就任。
執筆者 小松 裕介 | 4月 25, 2021 | CEO

世間話の中などで特に意識することなく日常的に行われている他人に対する人物評は、多くの場合、人間の本質的な評価とかけ離れて、社会的な地位やお金を持っているなど表面的な評価に留まっているように思います。
倫理観、正義感や優しさはもちろんのこと、言葉の重み、度量の広さ、懐の深さ、人間の器・・・リーダーシップに着目していると、会社の規模や役職など社会的な地位とは全く別の尺度である、これらの価値に気づかされます。
他人を評価するなど傲慢なことと感じるかもしれませんが、リーダーには「人をフラットに見ること」が求められます。
リーダーが他の組織のリーダーと会う時にも、このリーダーは信頼に足りるか、経験に裏付けられた言葉の重みがあるか、部下の失敗などに対して寛容さを持ち合わせているか、そして、器の大きい人間かどうかなど、一つ一つを確認することになります。
なぜなら冒頭に記載したような社会的な地位やお金を持っているなど表面的な評価が、中長期的に価値ある判断になり得ないことを私たちは経験則として理解しているからです。
現時点において、大きな決裁権を持つ大企業の幹部社員であったり資金量が豊富なファンドマネージャーであったりしても、「人間力」のある人でなければ、中長期的に成功し続けられる可能性は低いでしょうし、少なくとも一度きりの自分の人生において、長く時間を割いて、信頼して付き合うには足らないのです。
特にリーダーは、フォロワーを率いており、多くの人に対する責任を背負っています。そのため、リーダーは人を見誤るわけにはいかないのです。
優秀な剣士が剣の切っ先が触れ合うまでもなく相手の力量が分かると言うように、「人間力」も、その人のたたずまいや少しの所作や発言で見えてしまうから不思議です。もっと言うと、私たち全員は、子どもの頃から、人間の本質的な評価をし続けているのかもしれません。そのため、社会人になればお互い立場があるので他人の人物評の答え合わせをする機会は少ないかもしれませんが、別々の人がそれぞれ評価をしたとしても、「人間力」という点については評価が大きく乖離することはないように思います。
リーダーは、ついてきてくれるフォロワーのためにも、人を正しく評価することが求められます。その時には、それこそリーダーという役割を念頭において、職業的な懐疑心を持って、表面的な評価を排し、人をよく見なければなりません。
リーダーシップについて疑問がある、質問をしたいという方がいらっしゃいましたら、コメントや個別にメッセンジャーでご連絡ください。
また、コメントも大歓迎です。もし興味ある人がいれば、これを酒の肴に一杯やりましょう!

【Q.82】
リーダーシップ・スキルを習得するには、どれぐらいの時間がかかるものですか?
<コメント>
私はリーダーシップ・スキルの習得には、少なくとも3年程度の時間がかかるものと考えています。
まず前提として、今までも繰り返し述べてきておりますが、リーダーシップは、決して先天的な能力ではなく、後天的に誰でも習得できるスキルだと考えています。
そして、リーダーシップとは「やり方」ではなく「あり方」です。そのためリーダーシップ・スキルを学ぶには、どうしても方法論を学ぶ座学よりも、実際にリーダーシップを発揮して体得することが必要になります。
私は、ヒーローズ・ジャーニー(英雄の旅)のように、リーダーシップ・スキルを習得するためには、実際に、あなたがリーダーとなって、夢や目標を掲げて、旅に出て、仲間(フォロワー)を引き連れて、目標を達成して、帰還するという経験が必要だと考えています。
今の社会人の時間感覚だと、この旅の出発から帰還まで、少なくとも3年ぐらいを要するのではないかと思います。
具体例として、昨今、非常に話題のベンチャー業界を例にしましょう。創業者が、その他メンバーを誘って、スタートアップ企業を設立します。創業融資を借りて、プロトタイプの商品・サービスを制作します。そこから半年ぐらいかけて、収益シミュレーション、資本政策など事業計画を策定して、エンジェル投資家などから、シードマネーとなる資金調達を行います。資金調達が完了したら、策定した事業計画の実行です。この実行には1年から2年ぐらい時間を要します。ここで2度目の資金調達を行い、株式上場を目指すという選択肢もありますし、ここでM&AでEXITするということもできます。これで3年程度の時間です。
最近の優秀なベンチャー経営者の方々を思い浮かべればイメージがわきやすいと思いますが、このように自らがリーダーシップを発揮すれば、必ずリーダーシップ・スキルを磨くことができると思います。
ヒーローズ・ジャーニーは、主人公の成長物語です。人生100年時代の長い人生において3年程度ならば大した時間ではありませんから、ぜひとも読者の皆さんにも、リーダーシップの旅に出てもらい、リーダーシップ・スキルを習得してもらいたいと思います。
※この記事は、2021年4月24日付Facebook投稿を転載したものです。
株式会社スーツ 代表取締役社長CEO
2013年3月にソーシャル・エコロジー・プロジェクト株式会社(現社名:伊豆シャボテンリゾート株式会社、東証スタンダード上場企業)の代表取締役社長に就任。7年ぶりの黒字化に導く。2014年12月に当社前身の株式会社スーツ設立。2016年4月より総務省地域力創造アドバイザー及び内閣官房地域活性化伝道師登録。2019年6月より国土交通省PPPサポーター。2020年10月に大手YouTuberプロダクションの株式会社VAZの代表取締役社長に就任。月次黒字化を実現し上場会社の子会社化を実現。2022年12月に株式会社スーツを新設分割し当社設立と同時に代表取締役社長CEOに就任。
執筆者 小松 裕介 | 4月 17, 2021 | CEO

経営者にも一定数いるのですが、人を動かすためには、リーダーは怖くなければならないと誤解している人がいるように思います。日本人にありがちな「マッチョなリーダー像」をさらにダークで過激にした「怖いリーダー像」とでも言えばいいでしょうか。
若かりし頃、私は、メンターの方に、リーダーは愛され畏れられなければならないと教えられました。
文字どおり、「畏れる」は、自分より遥かに力のあるものを尊い、怖いと思う気持ちを表わす意味です。他方で、「怖れる」は、危険を感じて不安になる、恐怖心を抱く意味です。リーダーに求められているものは「畏れ」であって、単なる「怖れ」でないことに注意する必要があります。
リーダーは人を動かす際に、夢や共感の力でフォロワー自らが動くように導くべきであって、パワー(地位や立場に基づく影響力)や恐怖の力で強制するようなことがあってはなりません。
このようなコミュニケーションをすればするほど、フォロワーの心は離れていきますし、結果として、自身の影響力が著しく低下することになります。
それこそ組織を崩壊に向かわせてしまう経営者の特徴は、パワーに基づくコミュニケーションしかできない方です。フォロワーも人間ですので、パワーを利用して、例えばすぐに人を怒鳴りつけたり人事権の発動などをチラつかせたりするような恐怖によるコミュニケーションをする方についていきたいと思うわけがありません。
昨今では、フィアレス(Fearless)な職場、心理的安全性こそが学習・イノベーションの源泉であるということも言われ始めています。
リーダーは、まずはフォロワーの安心・安全を確保することが、彼らの能力発揮に不可欠であることを理解しなければならないと思います。
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【Q.81】
フォロワーに自信を持ってもらうために、リーダーはどうすればよいでしょうか?
<コメント>
本連載の重要なキーワードでもある「人は性善なれど弱し」。人間は平時であれば性善でいることができますが、窮地に追い込まれれば悪が顔をのぞかせます。
平時か窮地かの判断は、心理的な余裕から行われます。つまり、自分に問題解決できるという絶対的な自信があれば、平時と判断でき、周囲の人々に対してゆとりある性善なる対応を行うことができます。
そのため、ご質問の方のとおり、リーダーは、どのようにフォロワーに自信を持ってもらえばいいかが一つのポイントとなると思います。
自信の育み方は、大別すると2つあると思います。1つ目は、小さい成功体験を積み重ねて、少しずつ自分ができることを増やしていくことです。私たちは、子どもから大人となる過程で、まさにこのように小さな成功体験を積み重ねて大人になっていったと思います。
2つ目は、失敗しても、自分の居場所が確保されているということを知ることです。これは行動の成功・失敗に紐づいていない自信なので、より根源的な自信となります。何か失敗しても許される人間関係、友人や家族に愛された経験などは、まさに自信に繋がることだと思います。
私は、リーダーが、フォロワーの自信を育むに際して、この2つができるかが重要だと考えています。この自信の育み方は、子育てにも通じるものがあると考えています。
※この記事は、2021年4月17日付Facebook投稿を転載したものです。
株式会社スーツ 代表取締役社長CEO
2013年3月にソーシャル・エコロジー・プロジェクト株式会社(現社名:伊豆シャボテンリゾート株式会社、東証スタンダード上場企業)の代表取締役社長に就任。7年ぶりの黒字化に導く。2014年12月に当社前身の株式会社スーツ設立。2016年4月より総務省地域力創造アドバイザー及び内閣官房地域活性化伝道師登録。2019年6月より国土交通省PPPサポーター。2020年10月に大手YouTuberプロダクションの株式会社VAZの代表取締役社長に就任。月次黒字化を実現し上場会社の子会社化を実現。2022年12月に株式会社スーツを新設分割し当社設立と同時に代表取締役社長CEOに就任。
執筆者 小松 裕介 | 4月 10, 2021 | CEO

人を慮る、人に優しくする、人を愛する・・・あと少しで不惑になる私ですが、これらのことについて考えると、日々なんて難しいのだろうと反省をさせられます。
本連載では度々「人は性善なれど弱し」ということを紹介させていただいておりますが、恥ずかしながら、それこそ平時であっても、人が性善でいることは難しいことなのではないかと思う時があります。
しかも、最近は特に自分の4歳の娘を見ているからか、他人に対して優しくするという点においては、私たち大人より純真無垢な子どもの方がしっかりしているようにも思います(さすがに4歳児には人を慮るはなかなか難易度が高そうではありますが。)。
一緒に働く仲間に笑顔で話かけられないか。困っている人に心配していることをちゃんと伝えられないか。言葉選び一つでもニュアンスは変わりますし、細心の注意と感情をしっかりと自制しなければならないと思います。自然体でこういったことができない時点で、まだまだ自分の未熟さを感じずにはいられません。
自分よりも他人を優先させるというただそれだけなのですが、努力をして、人格を磨かねば、「無私」や「利他」の境地にはなかなか辿り着けません。
老婆心という言葉がありますが、老婆のような年齢にならなければ、必要以上の親切心を持てないのだろうかと思いもします。
私はライフワークとして、リーダーシップという考え方を広めるためにブログを書いたり講演する機会をいただいたりしていますが、自らがリーダーとしての振る舞いと人格を身に着けるにはどうすればいいのかと未だに自問自答をしています。
リーダーシップについて疑問がある、質問をしたいという方がいらっしゃいましたら、コメントや個別にメッセンジャーでご連絡ください。
また、コメントも大歓迎です。もし興味ある人がいれば、これを酒の肴に一杯やりましょう!

【Q.80】
リーダーになることの見返りは何でしょうか?
<コメント>
私はあまりリーダーになることの見返りを考えたことはありませんでしたが、今回のご質問を受けて、そういった観点もあるのだなと気づかされました。
そもそもリーダーシップとは、打算的なものではなく、自然発生的に生じるものだと考えています。
誰か他人のため、世のため人のために貢献したいという想い。これがリーダーシップの根源だと思います。
ご質問をしてくれた方は、リーダーに得があるように思えないからこのようなご質問をしたのかもしれませんが、世の中の様々なリーダーを見て、生き生きとしている人が多いようには思われないでしょうか。
リーダーになることによって、確かにフォロワーに対する責任も生まれますし、夢や希望に向かって活動していれば困難にぶつかることもあると思います。
しかし、誰かのために努力をすることは誇らしい気分とともに自己成長する機会と充実感を得ることができますし、共に困難に立ち向かうフォロワーたちは生涯の友となることもあるでしょう。そして何より、リーダーは多くの人の善意、世の中の善意を体感することができると思います。有能な人、有名な人、お金持ちなど様々な人々が、リーダーのあなたを応援してくれるのです。
リーダーとは、暗闇の中、集団の先頭で、たいまつを持って、フォロワーを率いて進む存在です。
確かに暗闇ですから怖いと思う時もあるかもしれませんが、その道を切り開いたからこそ得られる経験や仲間など、素晴らしい見返りもあると思います。
※この記事は、2021年4月10日付Facebook投稿を転載したものです。
株式会社スーツ 代表取締役社長CEO
2013年3月にソーシャル・エコロジー・プロジェクト株式会社(現社名:伊豆シャボテンリゾート株式会社、東証スタンダード上場企業)の代表取締役社長に就任。7年ぶりの黒字化に導く。2014年12月に当社前身の株式会社スーツ設立。2016年4月より総務省地域力創造アドバイザー及び内閣官房地域活性化伝道師登録。2019年6月より国土交通省PPPサポーター。2020年10月に大手YouTuberプロダクションの株式会社VAZの代表取締役社長に就任。月次黒字化を実現し上場会社の子会社化を実現。2022年12月に株式会社スーツを新設分割し当社設立と同時に代表取締役社長CEOに就任。
執筆者 小松 裕介 | 4月 3, 2021 | CEO

本連載を続けてお読みいたいだいている方からすれば、もはや当たり前のことかもしれませんが、社長という地位に就いたからといって、部下に慕われ、影響力で人を動かすことができるリーダーになれるわけではありません。職位と真のリーダーは別物です。
今回ご縁あって、一般社団法人日本プロ経営者協会のオンライン無料ウェビナーで、2021年4月6日19時から「中小・中堅企業で求められるプロ経営者のリーダーシップ~人を動かす本当の影響力」というタイトルでお話させていただくことになりました。
同団体は、多くのプロ経営者が生まれ、活躍するためのエコシステムを創出し、活力あふれる日本にすることを目指し活動されています。他方で、私が2014年に創業した株式会社スーツはプロ経営者をキーワードとして、時価総額100億円以下となる中小・中堅企業やベンチャー企業のバリューアップをしています。今回、同団体の掲げる目標と理事の方々が展開しようとしていることに共感してセミナー講師役をお受けすることにしました。
これはスーツ社でよく話をしているのですが、中小企業庁が発表する中小企業白書によれば、日本の企業数のうち大企業は0.3%、中小企業は99.7%。従業者数は大企業は約30%、中小企業は70%。それにもかかわらず、付加価値額は大企業が47%に対し、中小企業は53%しかありません。つまりは、中小企業の生産性が著しく低いのが日本の問題点です。これは私は中小企業の経営者の問題だと捉えています。
このような状況下において、中小企業の事業承継、特に後継者不足の問題が噴出しています。
そこに、社会的にも、プロ経営者が求められている背景があると思います。
もしかすると多くの読者の方は、プロ経営者というと、海外MBAを取得して、その後、大企業の経営幹部になられたキャリアの大企業でのプロ経営者を思い浮かべるかもしれません。しかし、今、日本社会で求められているのは、中小・中堅企業の事業承継を行った後のバリューアップや、それこそロールアップ(=同業のM&Aで規模拡大)できるプロ経営者なのです(他にも、新規事業の創出をして、中小・中堅企業やベンチャー企業を大企業にできるプロ経営者)。従来のプロ経営者の定義を広げなければ、この社会課題の解決ができないのです。
冒頭の話に戻します。今後、大企業の管理職や戦略コンサル、投資銀行家など経営全般の知識を備えた素晴らしいキャリアの方が、プロ経営者として中小・中堅企業のバリューアップに従事すると思いますが、いきなり社長になったとしても、大企業と違って、特に中小・中堅企業は組織がしっかりしていませんので、人を動かせません。
私は15年近くこのマーケットで経営者をしていますし、20代の時から自身で株式を所有せずに、「落下傘部隊」として乗り込んで経営という経験を多く積んできています。
当日は、実体験に基づいた経験・ノウハウをお話できればと考えております。問題解決の鍵になるのは、もちろん本連載でもおなじみのリーダーシップです。ご興味ある方はぜひともご参加ください。

【Q.79】
事業承継のように創業者など前任者からバトンを受けた経営者は、どのようにリーダーシップを発揮すれば良いのでしょうか?
<コメント>
リーダーシップの考え方では、社会や組織における地位や立場は一切関係ありません。そのため、基本的には、立場が変われど、リーダーシップの正しい発揮の仕方は変わりません。
しかし、その方が、職位だけでなく、本当の意味で追従してくれるフォロワーがいるリーダーになるにあたって、様々な場面分けができるのも事実かと思います。その一つが今回のご質問の事業承継です。
事業承継の場合は、前任者のリーダーやフォロワーの夢や想いを引き継ぐということに、後任のリーダーは意識する必要があります。
事業承継の場合は企業再生とは違い、事業そのものが上手くいかなくなっているわけではありません。会社は売上・利益をしっかりと計上し、そこで働いているスタッフも充実した日々を送っている。しかし、前任の経営者の年齢が高齢化して後任が必要という状況が多いと思います。
このような状況下において、やみくもに前任者を否定することがリーダーシップではありません。
前提として、後任の経営者は、創業者や前任の経営者の夢や想い、そこで働くスタッフの夢や想いをよく理解してから経営者に立候補すべきでしょう。
事業承継の案件で、代替わり後に経営成績が落ち込んだり組織がゴタゴタしたりする場合は、突き詰めて言えば、後任の経営者が社長という地位に就きたい人であって、本当の意味で、そこのリーダーになりたい人ではない場合に多いように思います。
事業承継におけるリーダーシップでは、その会社のスタッフや歴史に対するリスペクトが不可欠だと思います。例えば創業期の苦労であったりサービスや商品に対するスタッフの想いであったり、フォロワーは尊重して欲しいと思っているでしょうし、それを理解できる人が新しい旗振り役となるべきでしょう。
そして、ただ単に前任者を否定するのではなく、フォロワーとともに追いかけている夢や目標から逆算して、現状の不足を指摘し現状を否定し、共に未来志向で努力することが求められています。
事業承継により新体制になったら、まずは自分の指示や発言が地位に基づく権限(パワー)に依拠していないかをよくよく確認して臨むべきだと思います。フォロワーからの信頼がなくなるのはあっという間です。
新しいリーダーは、今までのフォロワーの信頼を勝ち得て、職位だけでなく本当のリーダーになることを目指すべきだと思います。
※この記事は、2021年4月3日付Facebook投稿を転載したものです。
株式会社スーツ 代表取締役社長CEO
2013年3月にソーシャル・エコロジー・プロジェクト株式会社(現社名:伊豆シャボテンリゾート株式会社、東証スタンダード上場企業)の代表取締役社長に就任。7年ぶりの黒字化に導く。2014年12月に当社前身の株式会社スーツ設立。2016年4月より総務省地域力創造アドバイザー及び内閣官房地域活性化伝道師登録。2019年6月より国土交通省PPPサポーター。2020年10月に大手YouTuberプロダクションの株式会社VAZの代表取締役社長に就任。月次黒字化を実現し上場会社の子会社化を実現。2022年12月に株式会社スーツを新設分割し当社設立と同時に代表取締役社長CEOに就任。
執筆者 小松 裕介 | 3月 27, 2021 | CEO

リーダーシップに興味を持てば持つほど、その神髄、奥深さに唸らせられます。
リーダーシップには夢と実現可能性、情熱と冷静さ、フォロワーに対する優しさと厳しさなど相反することが要求されることが、分かりづらさと難しさの要因のように思います。
そこには時間軸、相対する各人との関係性や言外のコミュニケーションなど複雑化する要素が沢山あります。例えば、過去と未来では人物や物事の評価は変わりますし、それこそ人を見て法を説けでリーダーは向き合う人ごとに最適なコミュニケーションを変えなければなりません。根底にあるのはその人に対する愛情だとしても、その場その場で優しい言葉・厳しい言葉、さらには言葉以外にも態度を使い分けなければなりません。それらの一面を切り取って、そこだけを見て考えると全体的な判断を誤りかねません。
そのため、前述のとおり、リーダーシップに求められていることを列挙すると、一見、それぞれが論理的に相反していて両立しないように思うわけですが、現実には両立しますし、リーダーたるもの両立させなければならないのです。
年を取るとより理解が深まると思いますが、人にはいろいろな顔があります。分かりやすさのために非科学的な表現を用いますが、人の評価は決して平面であってはならず、立体的な評価である三次元であり、さらには時間軸も加えた四次元でなければならないと思います。
この人間の持つ複雑さを理解し、この複雑さに対処しなければ、より良いリーダーになることはできません。
リーダーシップについて疑問がある、質問をしたいという方がいらっしゃいましたら、コメントや個別にメッセンジャーでご連絡ください。
また、コメントも大歓迎です。もし興味ある人がいれば、これを酒の肴に一杯やりましょう!

【Q.78】
リーダーの経営成績や営業成績などの数字との向き合い方について教えてください。
<コメント>
私も会社経営の仕事を長くしていますので、数値管理の重要性についてはよく理解をしているつもりです。リーダーがリーダーシップを正しく発揮していれば必ず良い数字を残すことができます。
そのうえで、本稿では、経営成績や営業成績などの数字について語るだけでは、会社が良くならないことを記載したいと思います。
これは企業会計でよく言われることですが、会計とは過去の企業の行動の結果を表したものに過ぎません。そのため、直接的に「売上を増やせ」、「利益を増やせ」や「営業成績を上げろ」とフォロワーに対して言ったとしても、自明過ぎて、ほぼ意味がありません。具体的に、未来に向けて、何を行えばいいのか、どのように行えばいいのかを伝えなければ意味がないのです。
本来であれば、会社に関わるリーダー・フォロワーみんなが実現したいとする経営理念があって、それを実現するための(モニタリング)数値として、経営成績や営業成績などの数字があるのです。
この会社の夢やスタッフ全員の共感を表す経営理念をないがしろにして、目先の数字を追いかけることなど本末転倒と言わざるを得ません。
特に残念ながら2021年においてもまだ一部のブラック企業に見られるようですが、上司が、部下に対して、必要以上の負荷をかけて精神的に追い込むようなコミュニケーションを取る会社に未来があるとは思えません。
サーバント・リーダーシップのように、リーダーは、ビジネスの現場や最前線で努力するフォロワーの支援者であるべきです。
組織に関する数字は科学的・論理的なアプローチとして使い勝手が良いものではありますが、リーダーは、経営管理のために用いるのではなく、各人のリーダーシップが強化できるように使い方を誤らないようにしなければならないと思います。
数字はあくまで会社の「健康状態」を測るツールであって、リーダーは、こういった数字の先にある人間を大事にしなければなりません。
※この記事は、2021年3月27日付Facebook投稿を転載したものです。
株式会社スーツ 代表取締役社長CEO
2013年3月にソーシャル・エコロジー・プロジェクト株式会社(現社名:伊豆シャボテンリゾート株式会社、東証スタンダード上場企業)の代表取締役社長に就任。7年ぶりの黒字化に導く。2014年12月に当社前身の株式会社スーツ設立。2016年4月より総務省地域力創造アドバイザー及び内閣官房地域活性化伝道師登録。2019年6月より国土交通省PPPサポーター。2020年10月に大手YouTuberプロダクションの株式会社VAZの代表取締役社長に就任。月次黒字化を実現し上場会社の子会社化を実現。2022年12月に株式会社スーツを新設分割し当社設立と同時に代表取締役社長CEOに就任。