早いもので2020年も終わろうとしています。特に春先から新型コロナウイルス感染症が世界的に流行し、with コロナ下で、リモートワークなど新しいライフスタイルが求められたためか、今年はあっという間に時が流れたように思います。

本連載も今回が年内最後の更新になりますが、多くの読者の皆様のご質問やコメントもあって、筆不精な私もどうにか年末まで連載を続けて来られました。御礼申し上げます。

さて、年内最後のテーマですが、私が伝えたいリーダーシップに関することの前提にいつもあるのは、経営学者の伊丹敬之先生が仰っている「人は性善なれど弱し」です。

全ての人は、本来ならば善い人ばかりで悪い人はいなけれども、決して強い存在ではなくて弱い存在である。

心にゆとりある平時であれば笑っていられるようなことであっても、自分に自信がなくなって不安になって精神的に追い詰められていれば、人は簡単に嘘もつくし、悪い行いもするのです。

こういった人間の特性を理解したうえで、リーダーは「性善でいて強い」存在にならなければならないと思います。そして、一般的な「性善なれど弱し」の人々であるフォロワーの「荷物」も持ってあげる必要があります。

優れたリーダーになるためには、暗闇の中を先頭で進む不安と戦い、フォロワーが本当に自分についてきてくれているかという不安とも戦い、もし手元に組織上の権限(パワー)があったとしても安易に行使せず、そして、どのような状況下においても、フォロワーのことを慮れるかどうかが大事になってくると思います。

私も39歳となって、リーダーシップという深遠なテーマについて、一人前にこのように語らせていただいていますが、まだまだリーダーとしての人生の修養が必要だと思っています。

例えどんなに追い詰められたり忙しかったりする状況下にあっても、周囲の人全てに気を遣い、それらの人々の「荷物」も抱えてあげて、愛を持って人に接することができるかが問われています。

私の「リーダーシップの旅」はまだまだ続きます。2020年も大変お世話になりました。来年もよろしくお願いします。

リーダーシップについて疑問がある、質問をしたいという方がいらっしゃいましたら、コメントや個別にメッセンジャーでご連絡ください。

また、コメントも大歓迎です。もし興味ある人がいれば、これを酒の肴に一杯やりましょう!

 

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【Q.65】
今後さらにデジタルが人類に普及する過程で、リーダーシップは変容していくのでしょうか?

 

<コメント>

以前「リーダーシップ往復書簡 021」において、リーダーのSNS活用についてご質問を受けたことがありますが、デジタルはあくまで手段・道具であり、これによってリーダーシップの本質そのものが変わることはないと考えています。

もちろん、リーダーの具体的な行動は、手段・道具の進化とともに、時代とともに変わっていくと思いますし、その時代に適した手段・道具を使いこなすことも、リーダーとして求められていることだと思います。

さすがに多くの人々が当たり前のように使いこなしている手段・道具を使えない程度の情熱しかないのでは、リーダーとして失格になってしまいます。

特に私はデジタルの普及は素晴らしいことだと捉えています。

今ではデジタルとは業界を問わない一般的な言葉になっていますが、デジタルの中核にあるのは、Information Technologyと表現されるように情報通信技術です。

昔と違って、デジタルの普及のおかげで、コミュニケーション・コストがこれだけ下落しているわけですから、世のため人のために何かやりたいリーダーにとって、素晴らしい環境が揃っていると思います。

リーダーが世のため人のために一歩踏み出して、フォロワーの共感を集めることができれば、遠隔地同士であっても何かを具現化することもできますし、それこそお金だってクラウド・ファンディングのように小口化して大衆から集めることもできるようになっています。

リーダーシップの本質は変わらないと思いますが、デジタルによってマネジメント・スキルはじめ知識などは相対的に価値が下落していますので、ますますリーダーシップが求められるようになってくると思います。

 

 

※この記事は、2020年12月27日付Facebook投稿を転載したものです。