リーダーシップの考え方では、社会や組織における地位や立場は一切関係ありません。世のため人のためという共通目的の下においては、全ての人が対等な人間関係なのです。
そのため、もしあなたがリーダーであるならば、例え相手が大物政治家であろうがマフィアのボスであろうが、どのような権威や権力に対しても臆することなく、一人の人間として、一国一城の主として、しっかりと対峙しなければなりません。
多くの人々は勘違いをしているかもしれませんが、もし片方のリーダーが巨大な組織の背景を有しており、その組織のお金や権限などのパワーがあるからといっても、必ずしももう一方のリーダーを御せるとは限らないのです。
なぜなら、現時点において片方のリーダーが多くの影響力を有していたとしても、リーダーシップの基本原則にもとるパワーの行使をすれば、中長期的な目線では影響力を減らすことになるのです。そのため、論理的に考えても、リーダーが、このような非合理的な選択肢を採用することはありません。
例え相手と意見の相違や利害関係の対立があったとしても、相手を一人の人間として尊重して対話することができなければ、このリーダーはフォロワーから尊敬されないのです。
リーダーが組織の権限が及ばない相手にさえもパワーの行使をするということは、リーダーの率いる組織の影響下にいあるフォロワーにとっては、そのリーダーは恐怖の対象でしかありません。
逆に考えれば、もしあなたが影響力の乏しい立場にあるリーダーの場合、弱い立場にあっても強い相手に対して「正論」を吐けるのであれば、多くのフォロワーはこのリーダーシップを高く評価してくれるに違いありません。
このように組織の大小あれどリーダー同士の対話は、お互いのフォロワーが固唾を飲んでその様子を見ているのです。常にフォロワーは、一度しかない人生において、自分がそのリーダーに付き従っていていくに値するか、リーダーの人間の器の大きさを見定めているのです。
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【Q.70】
会社経営の実務におけるリーダーシップとマネジメントについて教えてください。
<コメント>
私はリーダーシップとマネジメントを大別して説明することが多いのですが、あくまでこの2つは別の論点で、会社経営には共に不可欠だと考えています。
前述のとおり、リーダーシップの考え方によれば、リーダーは、組織における地位や権限など「パワー」を行使することがあってはなりません。
そのため、私の場合は「社長命令だから、これをやって欲しい」という指示を部下に対して出すことはありませんし、あくまでフォロワーを対等の関係と捉え、「会社を良くするために、これをやって欲しい」と話をしています。
一方、マネジメントの考え方によれば「上司の指示に部下は従う」という組織のルールがあると思います。但し、これには一つ前提があります。「組織にとって正しいことであれば」という前提です。
リーダーは「組織にとって正しいこと」をフォロワーに対して指示していれば、リーダーシップの観点からもマネジメントの観点からも、そのフォロワーを動かすことができます。
それこそ、リーダーが「組織にとって正しいこと」を言えてさえすれば、マネジメントは少し雑でも成り立つとも思います。
このような中で、留意しなければならないことは、リーダーが正しくリーダーシップを発揮するためには、フォロワーに対して、多くのコミュニケーションを取らなければならないのです。
本来あるべき姿は、リーダーが、全てのフォロワーを、夢や共感の力で動かすことだと思いますが、リーダーシップが不足しているリーダーには、マネジメントで補完することは、会社経営の実務上においては必要なことなのだと思います。
マネジメントは、フォロワーが夢や目標などの理解が弱くとも、人を管理することができる「やり方」なのです。
※この記事は、2021年1月31日付Facebook投稿を転載したものです。
株式会社スーツ 代表取締役社長CEO
2013年3月にソーシャル・エコロジー・プロジェクト株式会社(現社名:伊豆シャボテンリゾート株式会社、東証スタンダード上場企業)の代表取締役社長に就任。7年ぶりの黒字化に導く。2014年12月に当社前身の株式会社スーツ設立。2016年4月より総務省地域力創造アドバイザー及び内閣官房地域活性化伝道師登録。2019年6月より国土交通省PPPサポーター。2020年10月に大手YouTuberプロダクションの株式会社VAZの代表取締役社長に就任。月次黒字化を実現し上場会社の子会社化を実現。2022年12月に株式会社スーツを新設分割し当社設立と同時に代表取締役社長CEOに就任。