リーダーシップ往復書簡 065

 

早いもので2020年も終わろうとしています。特に春先から新型コロナウイルス感染症が世界的に流行し、with コロナ下で、リモートワークなど新しいライフスタイルが求められたためか、今年はあっという間に時が流れたように思います。

本連載も今回が年内最後の更新になりますが、多くの読者の皆様のご質問やコメントもあって、筆不精な私もどうにか年末まで連載を続けて来られました。御礼申し上げます。

さて、年内最後のテーマですが、私が伝えたいリーダーシップに関することの前提にいつもあるのは、経営学者の伊丹敬之先生が仰っている「人は性善なれど弱し」です。

全ての人は、本来ならば善い人ばかりで悪い人はいなけれども、決して強い存在ではなくて弱い存在である。

心にゆとりある平時であれば笑っていられるようなことであっても、自分に自信がなくなって不安になって精神的に追い詰められていれば、人は簡単に嘘もつくし、悪い行いもするのです。

こういった人間の特性を理解したうえで、リーダーは「性善でいて強い」存在にならなければならないと思います。そして、一般的な「性善なれど弱し」の人々であるフォロワーの「荷物」も持ってあげる必要があります。

優れたリーダーになるためには、暗闇の中を先頭で進む不安と戦い、フォロワーが本当に自分についてきてくれているかという不安とも戦い、もし手元に組織上の権限(パワー)があったとしても安易に行使せず、そして、どのような状況下においても、フォロワーのことを慮れるかどうかが大事になってくると思います。

私も39歳となって、リーダーシップという深遠なテーマについて、一人前にこのように語らせていただいていますが、まだまだリーダーとしての人生の修養が必要だと思っています。

例えどんなに追い詰められたり忙しかったりする状況下にあっても、周囲の人全てに気を遣い、それらの人々の「荷物」も抱えてあげて、愛を持って人に接することができるかが問われています。

私の「リーダーシップの旅」はまだまだ続きます。2020年も大変お世話になりました。来年もよろしくお願いします。

リーダーシップについて疑問がある、質問をしたいという方がいらっしゃいましたら、コメントや個別にメッセンジャーでご連絡ください。

また、コメントも大歓迎です。もし興味ある人がいれば、これを酒の肴に一杯やりましょう!

 

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【Q.65】
今後さらにデジタルが人類に普及する過程で、リーダーシップは変容していくのでしょうか?

 

<コメント>

以前「リーダーシップ往復書簡 021」において、リーダーのSNS活用についてご質問を受けたことがありますが、デジタルはあくまで手段・道具であり、これによってリーダーシップの本質そのものが変わることはないと考えています。

もちろん、リーダーの具体的な行動は、手段・道具の進化とともに、時代とともに変わっていくと思いますし、その時代に適した手段・道具を使いこなすことも、リーダーとして求められていることだと思います。

さすがに多くの人々が当たり前のように使いこなしている手段・道具を使えない程度の情熱しかないのでは、リーダーとして失格になってしまいます。

特に私はデジタルの普及は素晴らしいことだと捉えています。

今ではデジタルとは業界を問わない一般的な言葉になっていますが、デジタルの中核にあるのは、Information Technologyと表現されるように情報通信技術です。

昔と違って、デジタルの普及のおかげで、コミュニケーション・コストがこれだけ下落しているわけですから、世のため人のために何かやりたいリーダーにとって、素晴らしい環境が揃っていると思います。

リーダーが世のため人のために一歩踏み出して、フォロワーの共感を集めることができれば、遠隔地同士であっても何かを具現化することもできますし、それこそお金だってクラウド・ファンディングのように小口化して大衆から集めることもできるようになっています。

リーダーシップの本質は変わらないと思いますが、デジタルによってマネジメント・スキルはじめ知識などは相対的に価値が下落していますので、ますますリーダーシップが求められるようになってくると思います。

 

 

※この記事は、2020年12月27日付Facebook投稿を転載したものです。

リーダーシップ往復書簡 064

 

企業再生をしていると、毎回のように「私がいなくなったら困りますよ。」とか「その仕事は、私にしかできない仕事ですよ。」と脅されます。

もちろん、その人にしかできない仕事が全くないとは言いませんが、多くの場合は、そのような特定の個人に紐づいた仕事がそうあるわけではありません。

会社が属するそれぞれの業界には、どんなに少なく見積もっても数百人から数万人の同じ業界人、つまりプロフェッショナルがいます。

そのため、ほとんどの場合は、「私がいなくなっても困らない」ですし、「その仕事は、私以外でもできる仕事」なのです。

なぜこのような話をしてくる人が多くいるのか。それは多くの場合、会社が良くなることに対して、自分の居場所はなくなってしまうのではないかと不安に駆られているからです。つまるところ、自分に自信がないのです。

そういった人たちは、いざという時に、自分の身を守るために常日頃から種をまいています。具体的には私だけしか分からない「ブラックボックス」を作るのです。外部との接点を自分だけにしたり、他のスタッフには難しい言葉でけむにまいたりして「大変だ。大変だ。」を繰り返すのです。

リーダーは、前向きなエネルギーを持って、こういった不安な人たちを安心させて、前を向かせて、再成長させなければなりません。

私もプロ経営者と名乗らせていただいていますが、他の経営者よりも少しだけ経営者歴が長いので、その分くらいは上手く会社経営できる自信はありますが、私でなければ務まらない仕事はないと思います。

人生と同じで、私たちは次の世代にバトンを繋ぐことが求められていて、自分でせき止めてしまってはいけないのです。ちゃんと次にバトンを繋ぐとしても、多くの先人たちは、その役割を果たしながら楽しい毎日を送っています。

リーダーは、不安に駆られている人が「自分がそこにいても大丈夫なんだ」という安心感を与えられなければなりません。

リーダーシップについて疑問がある、質問をしたいという方がいらっしゃいましたら、コメントや個別にメッセンジャーでご連絡ください。

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【Q.64】
私は、会社で経営者などではなく、まだまだ若手社員なのですが、どのようにリーダーシップを発揮すればいいでしょうか?

 

<コメント>

本連載でも繰り返し述べてきていますが、リーダーシップに立場は関係ないのです。

そのため経営者であれ若手社員であれ、リーダーシップを発揮することはできます。

会社に所属する若手社員であったとしても、お客様が喜んでくれ、一緒に働くスタッフも喜んでくれ、社会からも評価され、商売としても十分に利益が取れる内容であれば、会社全体を動かすことができるでしょう。

例え若手社員であっても、リーダーシップを発揮すれば、その会社の公式な権限を持つ経営者としっかりと話ができ、その経営者を動かすことができるはずです。

多くのサラリーマンは、経営者が悪い、会社のルールがない、他の部署の問題だからなど誰かのせいにして、一歩を踏み出さなくなってしまっているのです。

世の中を良くすること、会社を良くすることは、意志さえあれば、誰にでもできることなのです。

私は多くのサラリーマンに同じ話をしています。まずは明日会社に行ったら、リーダーシップを発揮して、隣の人を捕まえて「会社を良くしたい」と話をすべきだと思います。

別にこれは恥ずかしいことではありませんし、むしろ組織人として立派なことだと思います。きっと新入社員として希望を持って入社したときには、恥ずかしげもなく、このような話をしていたのではないでしょうか。

世のため人のため、お客様のため、会社のため、周りの人のためという純粋な想いが人を動かすのです。質問者の方がリーダーシップを発揮することを期待しています。

 

 

※この記事は、2020年12月20日付Facebook投稿を転載したものです。

リーダーシップ往復書簡 063

 

以前、本連載でもご紹介をしたことがありますが、マザーテレサは「愛の反対は憎しみではなく無関心」と言いました。

私がリーダーとして気を付けていることは、会社に関わっている全ての人々に関心を持つことです。

私も対外的には「プロ経営者」とカッコつけて名乗っていますので、多くの人は、日々、決算書やKPI(重要業績評価指標)などの難しい数字とにらめっこしていると思っているかもしれません。

しかし、実際は、毎日のようにお取引先の企業の方やスタッフと打ち合わせをし、その人たちがどのような人なのかを勉強させていただいています。

一見、社長というと強大な力を持っているように思うかもしれませんが、それは会社組織のスタッフや取引先の企業の方々らフォロワーがその社長をリーダーと思って担いでくれるのが前提になります。

社長といえど、人心を掌握して、多くのフォロワーに動いてもらえなければ、所詮、一人の人間で、大きなことができるわけではないのです。

リーダーは夢を描いて大きな方針を打ち出すとともに、それに共感するフォロワーに動いてもらわなければなりません。

そのためには、未来にある、遠くにいるお客様を知ることは大事なことではありますが、今、目の前にいるフォロワーを知ることも同じくらい大事なことなのです。

「愛」というと大仰かもしれませんが、リーダーたるものフォロワーを愛を持って導かねばなりません。その第一歩はフォロワー一人一人に関心を持つことなのだと思います。

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【Q.63】
より良いリーダーを目指すために、人格を磨かなければいけないと考えています。何か意識していることはありますか?

 

<コメント>

ご質問者の方のおっしゃるとおりだと思います。より良いリーダーを目指すからには人格を磨く必要があると思います。

リーダーシップを磨くために人格を磨きたい。人格を磨くためには、自らが意識するだけでは、やはりなかなか自分を変えられるものでもなく、何かしらの苦労が必要と考えます。

私が意識していることは、フォロワーの荷物を背負うことです。今までも本連載などで比喩を用いていますが、リーダーはフォロワーの分まで「焼け火ばし」を持たなければならないと考えています。

もう少しで私も不惑に差し掛かろうとしています。約20年も同じような仕事をしていると、さすがに不器用な私であっても、自らの手で大きなトラブルを引き起こすようなことは減ってきますし、予めトラブルを回避する経験も身についてきます。

「若い時の苦労は買ってでもせよ」ということわざがありますが、最近は自らに起因して苦労することは減ってきているのです。

日本社会において組織からリーダーシップの発揮が求められるのは、私と同い年ぐらいの人が多いのではないでしょうか。ご質問者の方がおいくつの方が分かりませんが、人格を磨くためには苦労が必要と考えると、やはり他人のトラブルを背負いこむ必要があると思います。

組織の上に立てば、部下のミス・トラブルも自分の問題として処理しなければなりません。中には、相手側がとても怒っていることもあるでしょうし、部下のミスが信じられないぐらい人の道に反していることもあるかもしれません。

このような時に、このトラブルを自分の問題として、真摯に相手と向き合って問題解決のために苦労すること。これによって人格を磨くことができると思います。

よく組織のトップは謝るのが仕事と言いますが、こういった数多くの機会を得て、リーダーとして人格が磨かれていくのだと思います。

 

 

※この記事は、2020年12月13日付Facebook投稿を転載したものです。

リーダーシップ往復書簡 062

 

私は企業再生とは人の再生だと考えています。

会社経営は決して難しいことではありません。ビジネスは、極めてシンプルで、お客様が求めている商品・サービスを提供して、適正な対価をいただく。売上よりも少ない原価・経費で経営すれば黒字となり利益が手元に残るのです。微分や積分のような数学も一切出てきませんし、小学生が習うような四則計算ができれば簡単にシミュレーションすることができます。

このシンプルなことができなくなると、会社は赤字となり、企業再生が必要になります。

なぜ赤字になるのか。原因は簡単です。コーポレート・ガバナンスに問題が生じて、所属するスタッフの多くも、社会常識や「当たり前」に対して片目をつぶるのです。

長くサラリーマンをしていると、株主がいるにも関わらず経営努力をしなかったり、中には私利私欲にまみれ会社のお金をくすねたり、悪い経営陣に巡り合うこともあるでしょう。このような状況下でも、人として、組織人として正しくいられるか。これは言うは易く行うは難しで、とても難しいことなのです。

人間は、知らず知らずのうちに組織の中で生き抜こうと、所属する組織に染まるのです。極端な話、世の中のマフィアがしっかりと組織化されているように、いざとなったら普通の人であっても思考を停止して悪事を担ぐのです。

冒頭の話に戻ります。私は企業再生とは人の再生だと考えています。

企業再生とは、社会常識や「当たり前」に対して片目をつぶってしまった人々を再生することなのです。

企業再生というと、人員リストラ、財務リストラ(債務免除)やリ・ブランディングなど、テクニカルな話になりがちですが、実務は違います。

真摯に所属するスタッフらと向き合って、社会常識や「当たり前」を取り戻す人の再生を行い、組織の規律を取り戻し、ケイパビリティの獲得をすることです。

それさえ成し遂げられれば、あとは四則計算で成り立つシンプルなビジネスをすれば、必ず黒字化できるのです。

企業再生に興味を持った方は、完結している別連載「企業再生メモランダム」をぜひご一読ください。企業再生は人間ドラマの集積です。何かしら自分の人生に活かせる気づきがあるのではないかと思います。

リーダーシップについて疑問がある、質問をしたいという方がいらっしゃいましたら、コメントや個別にメッセンジャーでご連絡ください。

また、コメントも大歓迎です。もし興味ある人がいれば、これを酒の肴に一杯やりましょう!

 

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【Q.62】
自分を成長させてくれるメンターが欲しいと思いますが、どのような基準で選べばよいでしょうか?

 

<コメント>

私は自分から意識してメンターを選んだことはありません。

自分が成長している感覚は、自分の可能性が広がっているように感じられるため、嬉しくもあり楽しいものです。

自分を成長させてくれる人がメンターなのだと思います。

不思議なことに、同じような内容の話をされても、その話をしてくれる人やタイミング・場所によって、心から納得が得られるときと得られないときがあります。

私は、メンターとは、自分で薄々認識しているものの耳が痛い正しいことを言ってくれる人で、なおかつ、その話がすんなりと自分に入ってくる人なのだと考えています。

多くの人にご共感いただける話だと思いますが、例えば、自分より知識や経験のない格下だと思っている後輩に正論を言われても、すんなりと受け止められず、腹立たしいときがあると思います。

メンターとは、本来は、年齢が下であっても成立する関係性なのですが、多くの場合は、年長者で、自分よりも社会的な地位や立場が上で格上だと認識していることがほとんどなのではないかと思います。

ありがたいことに、私の場合は、過去に大臣を務めた経験のある方やエンターテイメント業界の重鎮の方などがメンターになってくださっています。

さすがに鼻っ柱が強い若かりし頃の私であっても、彼らの人間力には一目を置かざるを得ない迫力がありましたし、話の内容も傾聴に値する素晴らしいものでした。

長くなりましたが、メンターの基準ですが、メンターとは自分で意識的に選択するものではなく、自分を成長させてくれる人がメンターなので、結果が先に来るものだと思います。

もし質問者の方にメンターだと思う人ができたら、その方を尊重し、大事に付き合うと良いと思います。

 

 

※この記事は、2020年12月6日付Facebook投稿を転載したものです。

リーダーシップ往復書簡 061

 

リーダーシップとは「やり方」ではなく「あり方」です。そのためリーダーシップを学ぶには、どうしても方法論になりがちな「座学」よりも、そのリーダーシップを発揮する人の人生そのものの勝負となる「実践」に勝るものはないと思います。

本稿では、久しぶりに、少しだけ私個人の話を記載させてもらおうと思います。

縁あって、2020年10月下旬より、大手YouTuber事務所の株式会社VAZの代表取締役社長を務めることになりました。前職の上場会社の代表取締役社長を辞して以来、約6年ぶりの事業会社の社長になります。

その間に、時価総額100億円以下の中小・中堅会社やスタートアップ企業を経営支援する株式会社スーツを創業したわけですが、同社は「ハンズオン」(hands onという「実践」の意味から転じ、投資ファンドやコンサルティング・ファームのスタッフが出資先やクライアント企業の経営に直接参画すること)をコンセプトにしているとはいえ、あくまでクライアント企業様の社長(リーダー)を支えることが主な仕事です。

今回は私自らが社長ですので、自らが旗振り役、会社のリーダーとしての役割を全うしなければなりません。

私が本連載などリーダーシップに関する情報発信をするようになって数年が経過していますが、久々に経営実務家としてリーダーシップを発揮することで、日々リーダーとしての「あり方」を勉強をさせていただいています。

まだ社長就任以来、1ヶ月しか経っておりませんが、VAZには素晴らしいクリエイターやスタッフが数多く在籍しており、必ず良くなると確信しています。

20代の時にメンターの方に「正しく地位にある人間が、正しくリーダーシップを発揮すれば、その組織は必ず成功する。」と言われたことを思い出しながら執務に当たっています。

VAZですが、ありがたいことに、新しいオーナーでもある共同PRの谷社長のご支援もあって、強力なベテランスタッフ陣からもご支援いただいています。また、多くの社外の経営者、投資家やメディア・エンターテイメントの先輩方からもご協力をいただいています。

新型コロナウイルス感染症問題もあって、2020年は世の中には暗いニュースがあふれています。このような時こそ、世のため人のためにも、最高のエンターテイメントを提供できるように努力したいと思います。

私もYouTuber事務所のVAZの社長として、新しいエンターテイメント領域において、今までのキャリアをかけて、強いリーダーシップを発揮していきたいと思います。久々の戦線復帰ですので、しばらくは至らない点もあるかもしれませんが、ぜひともご指導くださいますようお願い申し上げます。

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【Q.61】
リーダーシップの醍醐味について教えてください。

 

<コメント>

リーダーシップの醍醐味は、多くのフォロワーが自らの足で前を向いて歩み始めるお手伝いをできることだと思います。また、それを通じて、自らが組織のリーダーとして達成したい夢も叶えることができることだと思います。

前者は、GEのジャック・ウェルチがリーダーシップの4Eとして提唱したEnergy(自分自身がエネルギーにあふれている)、Energize(周囲を元気付ける)、Edge(競争心が強く、困難な決断を下すことが出来る)、Execute(実行力があり、結果に結びつけることが出来る)の中の、Energizeに近いイメージかもしれません。

後者は、リーダーシップの素晴らしいところは、何と言っても、最初は自分が思い描いた夢であり、実現時にはみんなの夢となっていることを実現することができることだと思います。

会社の社長ならば、醍醐味として経営成績を上げること、IPOをすることなど考える方がいるかもしれませんが、それらは所詮、お客様や社内のスタッフなどフォロワーの皆さんに共感いただいて、ご支持をいただいた結果に過ぎません。

前段でも記載をしましたが、リーダーシップは「やり方」ではなく「あり方」が問われており、今までの生き方も含めて、リーダーの人生そのものが問われています。

リーダーが想い描く具体個別の夢は様々あると思いますが、多くのフォロワーの先頭にいて、世のため人のために尽くす機会を得られるということはそうあることではありません。

リーダーシップとは、リーダーの人生を総括するようなチャレンジでもあり、こんなにも挑戦的で面白いことはないと思います。

 

 

※この記事は、2020年11月28日付Facebook投稿を転載したものです。

リーダーシップ往復書簡 060

 

長らく、リーダーが身に着けなければならないスキルである利害関係の調整について記載をしてまいりましたが、このテーマについては今回で最後にしたいと思います。

リーダーは、物事を進めるために利害関係の調整をするだけでなく、利害関係の調整を通じて影響力の獲得を行います。

そのため、利害関係の調整が不調に終わるということは、リーダーに相談しても問題解決できないということをフォロワーに露呈させるだけのため、一度相談を受けるからには、必ず当事者が満足するような利害関係の調整をしなければなりません。

本連載において、利害関係の調整と裁判をたびたび比較してまいりましたが、利害関係の調整では当事者の納得度が優先されるため、必ずしも厳密な証拠が求められるわけではないのです。

裁判は過去の行動について法律に基づいて裁くものですが、利害関係の調整は未来志向で、各当事者のことはもちろんですが、組織の理屈や世間への体裁など全体のバランスも考えながら利害関係を調整することなのです。

そのため、前提となる情報分析が非常に大事になってきます。リーダーの影響力の強さによって、当事者や当事者周辺の情報にアクセスできるかどうかが変わります。また、情報を取得した後に、正しく情報分析できるかどうかは、リーダーのインテリジェンス能力にかかっています。

正しい情報分析さえできれば、あとはリーダーが持つ道徳心や倫理観にしたがって、利害関係の調整を行えばよいのです。

リーダーにおいて、利害関係の調整がいかに重要かについて記載をしてまいりましたが、実践を繰り返すことでどんどん上手になっていくと思います。

特に情報は影響力の強い人に対して流れてきます。そのためリーダーが利害関係の調整を繰り返した結果、影響力が強くなっていけばいくほど、より簡単に情報にアクセスできるようになり、より当事者の納得度の高い、正しくミスのない利害関係の調整ができるようになると思います。

リーダーシップについて疑問がある、質問をしたいという方がいらっしゃいましたら、コメントや個別にメッセンジャーでご連絡ください。

また、コメントも大歓迎です。もし興味ある人がいれば、これを酒の肴に一杯やりましょう!

 

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【Q.60】
リーダーシップとマネジメントのバランスについて教えてください。

 

<コメント>

回答が非常に難しいご質問です。

理想論で言えば、やはりリーダーは、人を導くリーダーシップのみでフォロワーに接するべきだと思います。

リーダーの掲げた夢やビジョンに共感して、自発的にフォロワーが一生懸命に活動してくれる。

最近はティール組織や、このティール組織の発想の元となっているインテグラル理論などが流行りですので、多くの人がリーダーとフォロワーの理想的な関係を追い求めていると思います。

現実的には、会社の場合は、業種や成長ステージによって、リーダーシップとマネジメントの最適なバランスは変わってくると思います。

特に、人を管理するマネジメントとITの親和性は高く、今の時代では、この論点を無視しては、競合他社と比べて、生産性が著しく落ちてしまいます。

但し、本来あるべき姿としては、このIT含むマネジメントは、やはりリーダーシップを助けるためのものだということを正しく理解しなければなりません。

本来の位置づけを正しく理解したうえで、リーダーシップとマネジメントのバランスに留意する必要があります。この2つは組織運営を行う上では非常に大事な概念ですし、両立すべき概念です。

決して片手落ちにならないように、その時その時で、リーダーが最適な答えを判断していくしかありません。

 

 

※この記事は、2020年11月21日付Facebook投稿を転載したものです。