エクセルでの売上分析表の作り方|基本7ステップとABC分析を完全解説
「上司から売上分析を頼まれたけれど、何から手をつければいいかわからない」
「エクセルの基本操作はできるものの、分析表としての正しい形がわからない」
「自己流で作ると見栄えが悪く、説得力のある資料にならない」
このような悩みを抱えていませんか。
売上分析は経営判断に直結する重要な業務。正しい作り方を知っておくと安心ですよね。
売上分析は経営判断の基盤となる重要な業務です。
しかし、正しい手順や分析手法を知らないまま作成すると、データの集計ミスや的外れな分析につながり、誤った意思決定を招くリスクがあります。
また、非効率な作業方法では毎月の分析業務に膨大な時間を取られ、本来注力すべき業務に支障をきたすことにもなりかねません。
さらに、実務で活用頻度の高いABC分析の具体的な作成手順、ピボットテーブルやグラフの活用法、よくあるエラーの解決方法まで網羅しています。
コピペですぐに使える数式サンプルも豊富に掲載しているため、手を動かしながら学ぶことができます。
この記事を読めば、説得力のある売上分析資料を効率的に作成できるようになりますよ!
明日の会議や週次報告にも自信を持って臨めるようになります。
目次
エクセルで売上分析表を作る基本の7ステップ
売上分析表をエクセルで作成する際、「どこから手をつければいいのかわからない」という悩みを持つ方は少なくありません。
上司から「売上をまとめておいて」と依頼されたものの、ただ数字を並べるだけでは説得力のある資料にはなりません。
「見やすく整理されていて、すぐに傾向がわかる」と言われる資料を作りたいですよね
売上分析表を効果的に作成するには、明確な手順に沿って進めることが重要です。
ここでは、エクセル初心者でも実践できる基本の7ステップを、具体的な操作方法とともに解説します。
この手順に従えば、今日中に実務で使える売上分析表を完成させることができます。
Step1:必要なデータを準備する(日付・商品名・数量・金額)
売上分析表を作成する第一歩は、分析に必要なデータを正しい形式で準備することです。
データの準備が不十分だと、後の工程でエラーが発生したり、正確な分析ができなくなったりするため、この段階での丁寧な作業が成果を左右します。
- 日付(必須)
- 商品名または商品コード(必須)
- 数量(必須)
- 金額(必須)
これらに加えて、分析の目的に応じて「顧客名」「担当者名」「地域」「カテゴリ」などの項目を追加することで、より多角的な分析が可能になります。
まずは必須の4項目を押さえて、慣れてきたら項目を増やしていくのがおすすめです
データを準備する際に注意すべきポイントがあります。
📝 日付形式の統一
日付は「2024/4/1」のような日付形式で統一してください。
「4月1日」や「2024年4月1日」など表記がばらついていると、後でピボットテーブルを使う際に正しく集計されません。
エクセルのセルを選択し、右クリックから「セルの書式設定」を開き、「日付」を選択して形式を統一しましょう。
分析前に「検索と置換」機能(Ctrl+H)を使って表記を統一しておくことをおすすめします。
数量と金額については、数値のみが入力されている状態を確認します。
「100個」「10,000円」のように単位が含まれていると、計算時にエラーの原因となります。
単位は列見出しに記載し、セル内には数値のみを入力する形式に整えましょう。
データ準備の最後に、空白行や空白列がないかも必ず確認してくださいね
データの途中に空白行があると、エクセルがデータ範囲を正しく認識できず、集計漏れが発生する可能性があります。
不要な空白行は削除し、データが連続した状態にしておくことが大切です。
Step2:データをテーブル形式に変換する
データの準備ができたら、次にエクセルの「テーブル」機能を使ってデータを変換します。
テーブル形式にすることで、データの追加や修正が容易になり、後で作成するピボットテーブルとの連携もスムーズになります。
準備したデータの中のどこかのセルを選択します
「テーブルの作成」ダイアログが表示されます
データ範囲が自動的に選択されているのを確認し、「OK」をクリックで完了です
- フィルター機能が自動追加(特定のデータを抽出可能)
- 縞模様で自動色分け(視認性が向上)
- データ追加時に範囲が自動拡張(数式修正不要)
毎月データを追記していく運用なら、テーブル機能は必須ですね!
テーブルに名前を付けておくと管理がしやすくなります。
テーブル内の任意のセルを選択した状態で「テーブルデザイン」タブを開き、左端の「テーブル名」欄に「売上データ」などのわかりやすい名前を入力しましょう。
この名前は後でピボットテーブルを作成する際や、数式で参照する際に役立ちます。
Step3:ピボットテーブルで月別売上を集計する
テーブル形式への変換が完了したら、ピボットテーブルを使って月別の売上を集計します。
ピボットテーブルは、大量のデータを瞬時に集計・分析できるエクセルの強力な機能であり、売上分析において欠かせないツールです。
先ほど作成したテーブルのどこかのセルをクリックします
ダイアログボックスで「新規ワークシート」を選択し「OK」をクリックします
画面右側の「ピボットテーブルのフィールド」パネルで操作します
これで各月の売上合計が自動的に計算されます
商品別の月次売上も見たい場合は、「商品名」を「列」エリアにドラッグするとクロス集計表になりますよ
さらに詳細な分析を行いたい場合は、「商品名」フィールドを「列」エリアにドラッグすると、縦軸が月、横軸が商品名のクロス集計表が完成します。
これにより、どの商品がどの月に売れているかを一目で把握できるようになります。
ピボットテーブルのレイアウトは後からでも自由に変更できます。
フィールドをドラッグして配置を入れ替えたり、不要なフィールドをエリア外にドラッグして削除したりすることで、分析目的に合わせた最適な形式に調整できます。
Step4:前年同月比を計算する数式を追加する
月別売上の集計ができたら、前年同月比を計算して売上の成長率を可視化します。
前年同月比は、季節変動の影響を排除して売上の推移を正確に把握できる重要な指標です。
📝 前年同月比の計算式
前年同月比(%)= 当期売上 ÷ 前年同期売上 × 100
具体的な数式をエクセルで入力する方法を説明します。
たとえば、C列に当期売上、D列に前年売上が入力されており、E列に前年同月比を表示したい場合、E2セルに次の数式を入力します。
=IF(D2=0,”N/A”,C2/D2*100)
この数式では、IF関数を使って前年売上がゼロの場合にエラーを回避しています。
前年同期にデータがない新商品などは「N/A」と表示されるため、#DIV/0!エラーで見づらくなることを防げます。
増減率として表示したい場合は別の数式を使いましょう
前年同月比を「増減率」として表示したい場合は、次の数式を使用します。
=IF(D2=0,”N/A”,(C2-D2)/D2*100)
この計算式では、前年比100%を基準として、そこからの増減を百分率で表示します。
結果がプラスなら成長、マイナスなら減少を意味します。
数式を入力したら、セルの書式設定で表示形式を整えましょう。
E列を選択し、右クリックから「セルの書式設定」を開き、「数値」タブで小数点以下の桁数を1桁に設定します。
さらに「ユーザー定義」で「0.0%」と設定すれば、より見やすい表示になります。
Step5:商品別の売上構成比を算出する
売上分析において、商品別の売上構成比は非常に重要な指標です。
構成比を把握することで、自社の売上がどの商品に依存しているか、どの商品に注力すべきかが明確になります。
📝 売上構成比の計算式
売上構成比(%)= 各商品の売上 ÷ 総売上 × 100
エクセルで構成比を計算するには、まず商品別の売上合計を算出し、次に総売上で割る数式を入力します。
たとえば、B列に商品名、C列に売上金額が入力されており、D列に構成比を表示したい場合、D2セルに次の数式を入力します。
=C2/SUM($C$2:$C$100)*100
テーブル形式なら構造化参照を使うともっと便利ですよ
テーブル形式のデータを使用している場合は、構造化参照を使うとより便利です。
たとえば、テーブル名が「売上データ」、金額列の名前が「金額」の場合、次のように記述できます。
=[@金額]/SUM(売上データ[金額])*100
構成比を計算したら、降順に並べ替えることで売れ筋商品が一目でわかるようになります。
構成比の列を選択し、「データ」タブの「降順で並べ替え」をクリックすれば、構成比の高い順に商品が並びます。
さらに見やすくするために、構成比の累計も追加しましょう。
累計構成比があれば、「上位何商品で売上の何割を占めているか」がすぐにわかります。
=SUM($D$2:D2)
この数式は、D2から現在のセルまでの累計を計算します。
累計構成比が80%に達する商品までを重点管理対象とするABC分析への発展にも活用できます。
Step6:売上推移グラフを作成する
数値データだけでは伝わりにくい売上のトレンドも、グラフを使えば視覚的にわかりやすく表現できます。
上司への報告資料や会議での発表において、グラフは説得力を高める重要な要素となります。
売上推移には折れ線グラフが最適です!
売上推移を表現するのに最も適したグラフは「折れ線グラフ」です。
時系列での変化を把握しやすく、複数の商品や年度を比較する際にも有効です。
月の列と売上の列を含む範囲をドラッグして選択します
折れ線グラフのアイコンから「折れ線」をクリックします
「月別売上推移」などのタイトルを入力し、縦軸に「金額(円)」、横軸に「月」と表示させましょう
複数年度の比較を行う場合は、年度ごとに色を変えた複数の折れ線を表示します。
データ範囲に複数年のデータを含め、凡例で年度を区別できるようにしましょう。
グラフの配色にも気を配りましょう。
「グラフデザイン」タブの「色の変更」から、プレゼンテーションや印刷時に見やすい配色を選択できます。
赤と緑の組み合わせより、青とオレンジの方が多くの人に見分けやすいですよ
赤や緑は色覚特性によって区別しにくい場合があるため、青とオレンジの組み合わせなど、多くの人が識別しやすい配色を選ぶことをおすすめします。
Step7:条件付き書式で重要データを可視化する
分析表の最後の仕上げとして、条件付き書式を設定しましょう。
条件付き書式を使えば、特定の条件を満たすデータを自動的に色分けし、重要な情報を一目で把握できるようになります。
| 目標達成率 | セルの色 |
|---|---|
| 100%以上 | 緑(達成) |
| 80%以上100%未満 | 黄色(注意) |
| 80%未満 | 赤(要改善) |
達成率が入力されている列をドラッグして選択します
「指定の値を含むセルだけを書式設定」を選びます
「セルの値」「次の値以上」「100」と設定し、書式ボタンから塗りつぶしの色を指定します
同様の手順で80%以上100%未満、80%未満のルールも追加してくださいね
- データバー:セル内に棒グラフのような表現を追加
- カラースケール:数値の大小でグラデーション表示(ヒートマップ風)
「データバー」を使うと、セル内に棒グラフのような視覚的な表現が追加され、数値の大小関係が直感的にわかります。
売上金額や構成比の列に適用すると効果的です。
設定は「条件付き書式」から「データバー」を選択するだけで完了します。
「カラースケール」も売上分析で役立つ機能です。
数値の大きさに応じてセルの背景色がグラデーションで変化するため、ヒートマップのような表現が可能になります。
月別・商品別のクロス集計表に適用すれば、どの商品がどの月に好調だったかを色で把握できます。
エクセル売上分析で使える4つの基本フレームワーク
売上分析表の基本的な作成手順を理解したら、次は分析の「切り口」について学びましょう。
同じ売上データでも、どの角度から分析するかによって見えてくる課題や改善策は大きく異なります。
「売上を分析して」と言われても、何から手をつければいいか迷いますよね。フレームワークを知っておくと、分析の方向性が明確になりますよ。
売上分析には、目的に応じたさまざまなフレームワークが存在します。
ここでは、エクセルで実践できる代表的な4つの分析フレームワークを紹介します。
これらを組み合わせることで、単なる数字の羅列ではなく、経営判断に役立つ洞察を得られる分析資料を作成できるようになります。
| フレームワーク | 分析の目的 | 主な活用シーン |
|---|---|---|
| 時系列分析 | 売上のトレンドと季節性を把握 | 販売計画、在庫計画 |
| 商品別分析 | 売れ筋・死に筋商品の特定 | 商品ラインナップ見直し |
| 顧客別分析 | 優良顧客の見極め | 営業戦略、顧客維持 |
| ABC分析 | 重点管理対象の明確化 | 在庫管理、リソース配分 |
時系列分析:売上トレンドと季節性を把握する
時系列分析は、売上データを時間軸に沿って並べ、トレンド(傾向)や季節性(周期的な変動パターン)を把握する分析手法です。
売上が伸びているのか縮小しているのか、どの時期に売上が集中するのかを明らかにすることで、適切な経営判断や販売戦略の立案につなげられます。
「なんとなく12月は売上が良い気がする」という感覚を、データで裏付けられるのが時系列分析の強みです。
📝 月次推移データの作成方法
時系列分析をエクセルで行う際の基本は、月別または週別の売上推移表を作成することです。
前のセクションで解説したピボットテーブルを活用し、日付を月単位でグループ化して集計すれば、簡単に月次推移データを作成できます。
トレンドを把握するには、移動平均を併用すると効果的です。
移動平均とは、一定期間のデータの平均値を連続して計算したもので、短期的な変動を平滑化して長期的な傾向を見やすくします。
エクセルでは、AVERAGE関数を使って計算できます。
たとえば、3か月移動平均を計算する場合、C4セルに以下の数式を入力します。
=AVERAGE(B2:B4)
この数式を下にコピーすれば、各月の3か月移動平均が算出されます。
移動平均と実際の売上を折れ線グラフで重ねて表示すると、短期的なブレに惑わされずに売上の基調を判断できます。
- 前年同月との比較が有効
- 季節イベント(正月・GW・クリスマス等)の影響を把握
- 複数年データで自社特有のパターンを発見
小売業やサービス業では、季節イベント(正月、ゴールデンウィーク、クリスマスなど)の影響で特定の月に売上が集中する傾向があります。
複数年のデータを比較することで、自社特有の季節パターンを把握し、在庫計画や人員配置に活かせます。
「過去12か月で売上は前年比108%と堅調に推移しており、特に6月と12月にピークを迎える季節パターンが確認された」といった形で、分析から得られた示唆を明確に伝えましょう。
商品別分析:売れ筋商品と死に筋を特定する
商品別分析は、個々の商品やサービスの売上パフォーマンスを評価し、売れ筋商品と死に筋商品を特定する分析手法です。
限られた経営資源を効果的に配分するために欠かせない分析であり、商品ラインナップの見直しや販促施策の優先順位付けに活用されます。
📝 エクセルでの商品別分析の基本
ピボットテーブルで商品名を行ラベルに設定し、売上金額と販売数量を値として集計します。
これにより、商品ごとの売上高と販売数量が一覧表示されます。
売れ筋商品を特定するには、売上金額の降順で並べ替えを行います。
ピボットテーブル上で売上金額の列見出しを右クリックし、「並べ替え」から「降順」を選択すれば、売上上位の商品から順に表示されます。
可能であれば、原価データを組み合わせて粗利益ベースでの分析も行うと、より正確な判断ができますよ。
- 在庫コスト・管理コストの発生
- 売り場スペースの占有による機会損失
- 売上下位10%をリストアップして継続販売の是非を検討
商品別分析では、売上の推移も確認することをおすすめします。
現時点で売上上位の商品でも、売上が減少傾向にあれば将来的なリスクとなります。
逆に、現在は売上下位でも急成長している商品があれば、今後の主力商品候補として注目すべきです。
ピボットテーブルに月次の列を追加し、商品ごとの売上推移を確認することで、より深い洞察が得られます。
顧客別分析:優良顧客を見極める
顧客別分析は、取引先や顧客ごとの売上を分析し、自社にとって重要な顧客を特定する手法です。
BtoB(法人向け)ビジネスでは取引先企業別の分析、BtoC(消費者向け)ビジネスでは顧客セグメント別や会員ランク別の分析が行われます。
📝 顧客別分析の基本ステップ
顧客ごとの売上高と取引頻度を把握することが基本です。
エクセルのピボットテーブルで顧客名を行ラベルに設定し、売上金額の合計と取引件数(注文ID等のカウント)を集計します。
分析の結果、多くの場合「パレートの法則」(80対20の法則)が確認されます。
これは、売上の80%が上位20%の顧客から生み出されているという経験則です。
自社のデータでこの傾向を確認し、上位顧客への対応を手厚くする戦略を検討しましょう。
- 購買金額が大きい顧客
- 購買頻度が高い顧客
- 取引期間が長い顧客
- 利益率の高い商品を購入する顧客
優良顧客の定義は企業によって異なりますが、これらの条件を組み合わせて、自社にとっての優良顧客を定義し、顧客ランク分けを行うことが有効です。
売上依存度を計算し、特定顧客への依存度が20%を超えている場合は、リスク分散の観点から新規顧客開拓を検討することをおすすめします。
顧客別売上依存度は、次の数式で計算できます。
=顧客別売上/総売上*100
この分析結果をもとに、優良顧客の維持・育成策と、特定顧客への依存リスク軽減策をバランスよく立案することが重要です。
ABC分析:重点管理すべき商品を明確化する
ABC分析は、売上や利益への貢献度に基づいて商品や顧客をA・B・Cの3つのランクに分類し、重点的に管理すべき対象を明確化する分析手法です。
イタリアの経済学者パレートが発見した「パレートの法則」を応用した手法であり、在庫管理や営業戦略の効率化に広く活用されています。
| ランク | 累計構成比 | 特徴 | 管理方針 |
|---|---|---|---|
| Aランク | 0〜70% | 売上貢献度が最も高い上位商品群 | 最重点管理 |
| Bランク | 70〜90% | 標準的な売上を持つ中位商品群 | 標準管理 |
| Cランク | 90〜100% | 売上貢献度が低い下位商品群 | コスト抑制・見直し検討 |
この分類基準は業種や企業の方針によって調整が可能です。より厳格に管理したい場合は、Aランクの基準を累計構成比60%までに設定することもあります。
📝 ABC分析の基本的な流れ
①商品別の売上を集計し、売上金額の降順で並べ替え
②各商品の売上構成比を計算し、上から順に累計構成比を算出
③累計構成比に基づいてIF関数でABCランクを自動判定
ABC分析をエクセルで実施する具体的な手順は、次のセクションで詳しく解説します。
- Aランク:欠品防止のため在庫を厚めに確保、販促で優先的に取り上げ
- Bランク:適正在庫の維持、Aランクへの育成可能性を検討
- Cランク:在庫の圧縮、取り扱い終了の判断を検討
ABC分析は定期的に実施し、ランクの変動を追跡することも大切です。
Aランクから転落した商品、Cランクから浮上した商品を把握することで、市場の変化や顧客ニーズの変化を早期に察知できます。
半年や1年ごとにABC分析を更新し、前回との比較を行うと、商品の「勢い」が見えてきますよ。
ABC分析をエクセルで作成する実践方法
ABC分析の概念を理解したら、実際にエクセルで分析表を作成してみましょう。
ABC分析は売上分析の中でも特に実務で活用される機会が多く、上司や経営層への報告資料としても説得力があります。
「上位20%の商品が売上の80%を占めている」といった分析結果は、経営層にもインパクトがありますよね
ここでは、売上データからABC分析表を作成し、パレート図として視覚化するまでの具体的な手順を解説します。
数式やグラフ作成の方法を詳しく説明しますので、この手順に沿って操作すれば、初めての方でもABC分析を完成させることができます。
売上累計と構成比累計の計算手順
ABC分析の第一歩は、商品別売上データをもとに構成比と累計構成比を計算することです。
この計算が正確に行われていないと、後のABCランク判定やパレート図の作成に影響が出るため、丁寧に進めていきましょう。
📝 データ準備のポイント
まず、商品別の売上集計データを準備します。
ピボットテーブルで集計したデータを使用する場合は、値のみをコピーして新しいシートに貼り付けることをおすすめします。
ピボットテーブル上で直接計算列を追加することもできますが、初心者の方は通常のワークシートで作業する方が理解しやすいでしょう。
ピボットテーブルのデータをそのまま使うと、数式が複雑になりやすいので注意してくださいね
データの準備ができたら、売上金額の降順で並べ替えを行います。
A列に商品名、B列に売上金額が入力されている場合、B列の任意のセルを選択し、「データ」タブの「降順で並べ替え」をクリックします。
これで売上上位の商品から順に並びます。
次に、C列に売上構成比を計算します。
C2セルに以下の数式を入力してください。
=B2/SUM($B$2:$B$100)*100
この数式では、各商品の売上金額を総売上で割って100を掛けることで、百分率としての構成比を算出しています。
分母のSUM関数の範囲は絶対参照($記号付き)にすることで、数式を下にコピーしても参照先が固定されます。
実際のデータ範囲に合わせて「$B$100」の部分を調整してください。
絶対参照を忘れると、コピーしたときに計算がずれてしまうので要注意です!
数式を入力したら、C2セルを選択し、セル右下の小さな四角(フィルハンドル)をダブルクリックするか、下方向にドラッグして数式をコピーします。
これで全商品の構成比が計算されます。
続いて、D列に累計構成比を計算します。
累計構成比は、上位商品から順に構成比を足し合わせた値です。
D2セルに以下の数式を入力します。
=SUM($C$2:C2)
この数式のポイントは、開始セル「$C$2」を絶対参照にし、終了セル「C2」を相対参照にしていることです。
この書き方により、数式を下にコピーすると、D3では「=SUM($C$2:C3)」、D4では「=SUM($C$2:C4)」というように、累計範囲が自動的に拡張されます。
数式を最下行までコピーすると、最後の商品の累計構成比がほぼ100%になっているはずです。
100%ちょうどにならない場合は、小数点以下の端数処理によるもので、分析には影響ありません。
📝 書式設定で見やすく
計算結果を見やすくするために、書式設定を行いましょう。
C列とD列を選択し、「ホーム」タブの「数値」グループにある小数点表示桁数のボタンで、小数点以下1桁に設定します。
これで「25.3」のような表示になり、資料としての見やすさが向上します。
IF関数でABC分類を自動判定する設定
累計構成比の計算ができたら、IF関数を使ってABCランクを自動判定する数式を設定します。
この数式を設定しておけば、売上データが更新されても自動的にランクが再計算されるため、定期的なABC分析の効率化につながります。
| ランク | 累計構成比の基準 | 位置づけ |
|---|---|---|
| Aランク | 70%まで | 重点管理商品 |
| Bランク | 70%超〜90%まで | 準重点管理商品 |
| Cランク | 90%超 | 一般管理商品 |
この70%・90%という基準は一般的なものですが、業種や目的に応じて調整することもできますよ
この基準をIF関数で表現すると、以下のようになります。
E列にABCランクを表示する場合、E2セルに次の数式を入力します。
=IF(D2<=70,”A”,IF(D2<=90,”B”,”C”))
この数式の構造を解説します。
最初のIF関数で累計構成比(D2)が70以下かどうかを判定し、条件を満たせば「A」を表示します。
条件を満たさない場合は、次のIF関数に進み、90以下かどうかを判定します。
90以下なら「B」、それ以外(90超)なら「C」を表示するという入れ子構造になっています。
数式を下にコピーすれば、全商品のABCランクが自動的に判定されます。
正しく計算されていれば、上位の商品から順にA、A、A…と続き、途中でBに変わり、さらにCに変わるはずです。
分類基準を変更したい場合は、数式内の数値を書き換えるだけで対応できます。
たとえば、より厳格な基準として累計構成比60%までをAランクにしたい場合は、「70」を「60」に変更します。
📝 より柔軟な運用方法
分類基準をセルに入力しておく方法もあります。
たとえば、G1セルに「70」、G2セルに「90」と入力しておき、E2セルの数式を次のように書き換えます。
=IF(D2<=$G$1,”A”,IF(D2<=$G$2,”B”,”C”))
この方法なら、G1やG2の値を変更するだけで全商品の分類が再計算されるため、基準値の検討や感度分析を行う際に便利です。
「Aランクの基準を65%にしたらどうなる?」といったシミュレーションが一瞬でできますね
ABC分類が完了したら、各ランクの商品数と売上合計を集計しましょう。
COUNTIF関数とSUMIF関数を使えば簡単に集計できます。
| 集計項目 | 数式 |
|---|---|
| Aランクの商品数 | =COUNTIF(E:E,”A”) |
| Aランクの売上合計 | =SUMIF(E:E,”A”,B:B) |
これらの集計結果をまとめた表を作成しておくと、「Aランク商品15品目で売上の72%を占めている」といった分析サマリーを報告しやすくなります。
パレート図の作成で視覚的に分析する
ABC分析の結果をより効果的に伝えるには、パレート図を作成することをおすすめします。
パレート図は、棒グラフと折れ線グラフを組み合わせた複合グラフで、各項目の大きさと累計の推移を同時に表現できます。
プレゼンテーションや報告書で使用すると、分析結果の説得力が大幅に向上します。
数字の羅列よりもグラフで見せた方が、経営層への報告でもインパクトがありますよね
パレート図を作成する手順を説明します。
商品名(A列)、売上金額(B列)、累計構成比(D列)の3つの列を選択してください。
連続していない列を選択するには、最初の範囲を選択した後、Ctrlキーを押しながら次の範囲を選択します。
データ範囲を選択したら、「挿入」タブをクリックし、「複合グラフ」のアイコンから「ユーザー設定の複合グラフを作成する」を選択します。
グラフの種類を選択するダイアログが表示されるので、売上金額には「集合縦棒」を、累計構成比には「折れ線」を指定します。
さらに、累計構成比の「第2軸」にチェックを入れます。
この設定により、左側の縦軸が売上金額(円)、右側の縦軸が累計構成比(%)を示すパレート図が作成されます。
棒グラフは各商品の売上を表し、折れ線グラフは累計構成比の推移を表します。
グラフが作成されたら、見やすく調整しましょう。
まず、グラフタイトルを「商品別売上ABC分析(パレート図)」などに変更します。
タイトル部分をクリックして直接入力できます。
📝 第2軸の調整
右側の縦軸をダブルクリックして「軸の書式設定」を開き、「軸のオプション」で最大値を「100」に設定します。
これで累計構成比の推移が見やすくなります。
ABCランクの境界線を追加すると、さらにわかりやすくなります。
グラフを選択した状態で「グラフデザイン」タブの「グラフ要素を追加」から「線」を選択し、70%と90%の位置に水平線を追加します。
または、図形の「直線」を使って手動で線を引き、「A」「B」「C」のテキストラベルを追加する方法もあります。
境界線があると「ここからBランク」「ここからCランク」が視覚的にわかりやすくなりますね
パレート図の配色も重要です。
棒グラフ部分をABCランクごとに色分けすると、視覚的な理解がさらに促進されます。
| ランク | 推奨カラー | 設定方法 |
|---|---|---|
| Aランク | 青 | 各棒を個別に選択して塗りつぶしの色を変更 |
| Bランク | 黄色 | 各棒を個別に選択して塗りつぶしの色を変更 |
| Cランク | グレー | 各棒を個別に選択して塗りつぶしの色を変更 |
完成したパレート図を見れば、「上位数品目で売上の大半を占めている」というABC分析の本質が一目で理解できます。
報告を受ける側も、どの商品が重要なのかを直感的に把握できるため、意思決定のスピードが向上します。
パレート図は売上の大きい順に左から並んでいることが前提のグラフです。
データを降順で並べ替えてからグラフを作成することを忘れないようにしましょう。
並べ替え忘れは本当によくあるミスなので、グラフ作成前に必ず確認してくださいね
- データが売上の降順で並んでいるか確認
- 累計構成比の第2軸設定をオンにする
- 第2軸の最大値を100%に設定する
- 70%・90%の境界線を追加する
エクセル売上分析でよくあるエラーと解決方法
売上分析表を作成していると、思わぬエラーに遭遇することがあります。
数式を入力したのに結果が表示されない、ピボットテーブルの集計結果がおかしい、グラフが意図したとおりに表示されないなど、トラブルの種類はさまざまです。
エラーが出ると焦って最初から作り直してしまいがちですが、実はほとんどのエラーには決まった解決パターンがあります!
エラーが発生すると作業が止まってしまい、締め切りに間に合わないという焦りから、原因を特定できないまま最初から作り直してしまう方も少なくありません。
しかし、エクセルで発生するエラーの多くは典型的なパターンがあり、原因と対処法を知っていれば短時間で解決できます。
ここでは、売上分析でよく遭遇するエラーとその解決方法を具体的に解説します。
これらの知識があれば、トラブル発生時にも冷静に対処でき、作業効率を維持できます。
#REF!・#VALUE!エラーの原因と修正手順
エクセルの数式で最も頻繁に遭遇するのが、セルにエラー値が表示されるケースです。
特に「#REF!」と「#VALUE!」は売上分析の作業中によく発生するエラーであり、原因と対処法を理解しておくことが重要です。
📝 #REF!エラーとは
「Reference(参照)」の略で、数式が参照しているセルが存在しないことを示しています。
最も一般的な発生原因は、数式が参照しているセルや行・列を削除してしまったケースです。
たとえば、B10セルに「=B2+B5+B8」という数式が入っている状態で、5行目を削除すると、B5への参照が無効になり「#REF!」エラーが表示されます。
削除後の数式は「=B2+#REF!+B7」のように変化しています。
行や列を削除したとたんにエラーが出た場合は、まず「Ctrl+Z」で元に戻してから確認するのがおすすめです!
- 数式バーで「#REF!」部分を確認
- 正しいセル参照に書き換える
- 不明な場合は「Ctrl+Z」で操作を元に戻す
このエラーを予防するには、行や列を削除する前に、その範囲を参照している数式がないかを確認する習慣をつけることが大切です。
また、データ範囲全体を参照するSUM関数やAVERAGE関数を使用していれば、途中の行を削除しても自動的に参照範囲が調整されるため、エラーが発生しにくくなります。
📝 #VALUE!エラーとは
「Value(値)」の問題を示しており、数式に不適切な種類のデータが含まれている場合に発生します。
典型的な原因は、数値を期待している場所に文字列が入力されているケースです。
「#VALUE!」エラーを修正するには、まず数式が参照しているセルの内容を確認します。
数値であるべきセルに文字列が混入していないかをチェックしましょう。
セルを選択して数式バーを見ると、実際に入力されている内容がわかります。
- 「検索と置換」(Ctrl+H)で単位や記号を削除
- VALUE関数で変換(例:=VALUE(A1))
もう一つの「#VALUE!」エラーの原因として、日付の計算で形式が一致していないケースがあります。
日付として認識されていないデータに対して日付関数を適用すると、このエラーが発生します。
日付データは「2024/4/1」のような標準形式で入力し、セルの書式設定が「日付」になっていることを確認しましょう。
「#DIV/0!」エラーもよく見かけますね。これはゼロで割り算しようとしたときに出るエラーです!
その他にも「#DIV/0!」エラーがよく発生します。
これはゼロで除算しようとした場合に表示されます。
前年同月比を計算する際、前年データがゼロまたは空白の場合にこのエラーが出ます。
IF関数を使って「=IF(B2=0,”N/A”,A2/B2)」のように、ゼロ除算を回避する数式を書くことで対処できます。
| エラー | 原因 | 対処法 |
|---|---|---|
| #REF! | 参照セルが削除された | 正しいセル参照に修正 |
| #VALUE! | 文字列が数式に混入 | VALUE関数で変換 |
| #DIV/0! | ゼロで除算 | IF関数で回避 |
ピボットテーブルの集計がずれる時の対処法
ピボットテーブルは売上分析において非常に便利な機能ですが、集計結果が期待どおりにならないトラブルも発生しやすい機能です。
ここでは、ピボットテーブルでよく起こる問題とその解決方法を解説します。
ピボットテーブルは自動更新されないため、元データに変更を加えた後は手動で更新操作を行う必要があります。
- 右クリックメニューから「更新」を選択
- 「ピボットテーブル分析」タブの「更新」ボタン
- ショートカット「Alt+F5」で即座に更新
「Alt+F5」を覚えておくと、ワンタッチで更新できてとても便利ですよ!
📝 データを追加したのに集計に含まれない問題
ピボットテーブルのデータソース範囲が固定されており、追加したデータが範囲外になっているために発生します。
この問題を解決するには、データソース範囲を変更する必要があります。
ピボットテーブル内の任意のセルをクリックして選択状態にします。
「ピボットテーブル分析」タブの「データソースの変更」をクリックします。
表示されるダイアログで、新しいデータを含む範囲を選択し直して「OK」をクリックします。
この問題を根本的に解決するには、元データをテーブル形式に変換しておくことをおすすめします。
テーブル形式のデータをピボットテーブルのソースにしていれば、データを追加した際に自動的にソース範囲が拡張されるため、範囲の再設定が不要になります。
📝 日付のグループ化がうまくいかない問題
日付フィールドを行ラベルに追加しても、月や四半期でグループ化されず個々の日付がそのまま表示されてしまうケースがあります。
この原因の多くは、日付列に日付として認識されないデータが混入していることです。
日付形式で入力されていないデータや、空白セル、文字列が含まれていると、エクセルは日付列全体をグループ化できなくなります。
日付列に1つでも文字列や空白があると、グループ化機能が使えなくなってしまいます。元データのチェックが大切ですね!
対処法として、まず元データの日付列を確認します。
すべてのセルが日付形式になっているか、空白や文字列が混入していないかをチェックしましょう。
問題のあるセルを修正した後、ピボットテーブルを更新すれば、グループ化が正常に機能するようになります。
📝 集計方法が意図と異なる問題
金額の合計を表示したいのに、データの個数が表示されてしまうケースです。
これは、金額列に文字列や空白が含まれている場合に発生しやすい現象です。
エクセルは数値以外のデータが含まれる列をテキストとして扱い、集計方法のデフォルトが「個数」になってしまいます。
- 値エリアのフィールドをクリック
- 「値フィールドの設定」を選択
- ダイアログで「合計」を選択
ただし、元データに問題がある場合は、根本的な解決のために元データの修正も行いましょう。
| トラブル | 原因 | 対処法 |
|---|---|---|
| データが反映されない | 手動更新が必要 | Alt+F5で更新 |
| 追加データが含まれない | ソース範囲が固定 | データソースの変更 |
| 日付がグループ化されない | 不正データの混入 | 元データを修正 |
| 個数で集計される | 文字列混入 | 値フィールドの設定変更 |
グラフが正しく表示されない場合の確認ポイント
売上推移グラフやパレート図を作成した際、データは正しいはずなのにグラフの表示がおかしいというトラブルに遭遇することがあります。
グラフは視覚的なインパクトが大きいため、表示の問題は資料全体の信頼性に影響します。
よくある問題と解決方法を確認しておきましょう。
📝 データ範囲が正しく認識されていない問題
グラフを選択すると、元データの範囲が色付きの枠で表示されます。この枠が意図したデータ範囲と一致しているか確認しましょう。
グラフのデータ範囲が正しく認識されていないケースは非常に多く発生します。
範囲がずれている場合は、枠の角をドラッグして正しい範囲に調整できます。
グラフを選択したときに表示される色付きの枠線をチェックするクセをつけておくと、トラブルを未然に防げますよ!
📝 軸の設定に問題がある場合
売上金額の差が小さいのに棒グラフの高さが極端に異なって見える場合、縦軸の最小値がゼロではなくデータの最小値付近に設定されている可能性があります。
グラフの縦軸をダブルクリックして「軸の書式設定」を開きます。
「軸のオプション」で最小値を「0」に設定すれば、適切なスケールでグラフが表示されます。
📝 折れ線グラフで線が途切れる問題
データ系列に空白セルが含まれている場合に発生します。空白セルがあると、その部分で線が切れて表示されます。
- 「グラフデザイン」タブ→「データの選択」をクリック
- 「非表示および空白のセル」をクリック
- 「データ要素を線で結ぶ」を選択
これで空白部分があっても線がつながって表示されます。
売上データに欠損がある月があっても、この設定をしておけばグラフが途切れずに済みますね!
📝 複合グラフで第2軸の設定がうまくいかない問題
パレート図を作成する際、累計構成比を第2軸に設定したはずなのに、棒グラフと折れ線グラフのスケールが合わないという問題です。
グラフ内の折れ線を右クリックし、「データ系列の書式設定」を選択します。
「系列のオプション」で「第2軸」にチェックが入っているかを確認し、入っていなければ選択します。
これで折れ線グラフが右側の第2軸を基準に表示されるようになります。
📝 凡例が正しく表示されない問題
データ系列の名前が「系列1」「系列2」のようになってしまう問題は、元データに適切な見出しが設定されていない場合に発生します。
元データの1行目に列見出し(「売上金額」「累計構成比」など)が入力されていることを確認し、グラフのデータ範囲に見出し行が含まれていることを確認しましょう。
- 「グラフデザイン」タブ→「データの選択」をクリック
- 変更したい系列を選択して「編集」をクリック
- 「系列名」欄に適切な名前を入力
凡例がわかりやすいと、グラフを見た人がすぐに内容を理解できますね。報告資料の質がグッと上がります!
| トラブル | 原因 | 対処法 |
|---|---|---|
| データ範囲のズレ | 範囲選択ミス | 色付き枠をドラッグ調整 |
| 棒グラフの高さが極端 | 軸の最小値設定 | 軸の書式設定で0に変更 |
| 折れ線が途切れる | 空白セルの存在 | 「線で結ぶ」設定に変更 |
| 第2軸が機能しない | 第2軸未設定 | 系列オプションで第2軸選択 |
| 凡例が「系列1」表示 | 見出し行の問題 | データ選択で系列名を編集 |
売上分析テンプレートの活用とエクセルの限界
ここまで、エクセルで売上分析表を作成する方法を詳しく解説してきました。
基本の7ステップやABC分析の作成方法を実践すれば、実務で活用できる分析資料を作成できるようになります。
でも正直、毎回ゼロから作るのは大変ですよね…
しかし、売上分析が定例業務になっている場合、毎回ゼロから分析表を作成するのは非効率です。
また、データ量が増えてくると、エクセルでの処理に限界を感じる場面も出てきます。
ここでは、テンプレートを活用して分析作業を効率化する方法と、エクセルで対応できるデータ量の目安、そしてエクセルの限界を超えた場合の代替案について解説します。
これらの知識があれば、自社の状況に合った最適な分析環境を構築できるようになります。
テンプレート活用で分析時間を30分に短縮する方法
売上分析が月次や週次の定例業務になっている場合、テンプレートを活用することで作業時間を大幅に短縮できます。
ゼロから分析表を作成すると数時間かかる作業も、適切なテンプレートがあれば30分程度で完了させることが可能です。
- フォーマット統一で過去との比較が容易
- 分析の抜け漏れ防止と品質の安定
- 担当者が変わっても業務継続が可能
属人化を防げるのは、チームにとって大きなメリットですね!
📝 テンプレートの入手方法
最も手軽なのは、マイクロソフトが提供している公式テンプレートを利用する方法です。
エクセルを起動し、「ファイル」タブから「新規」を選択すると、さまざまなテンプレートが表示されます。
検索ボックスに「売上」「分析」などと入力すれば、関連するテンプレートが見つかります。
公式テンプレートは基本的な構成が整っているため、すぐに使い始めることができます。
ただし、自社の業務に完全にフィットするテンプレートを見つけるのは難しいことが多いため、ダウンロードしたテンプレートをベースにカスタマイズして使用するのが一般的です。
これまで解説してきた手順で一度分析表を作成し、それをテンプレートとして保存します。
数式やグラフ、条件付き書式の設定はそのまま残し、データ部分だけを入れ替えれば分析が完了する状態にしておきましょう。
- データ入力エリアと計算・表示エリアを明確に分ける
- 数式の参照範囲に余裕を持たせる(500〜1000行)
- 入力規則を設定してミスを防止する
入力エリアを色分けしておけば、どこにデータを入力すればよいかが一目でわかります。
現在のデータ行数が100行だとしても、数式の参照範囲は500行や1000行まで設定しておけば、データが増えても数式を修正する必要がありません。
テーブル機能を使えば、この問題はさらに簡単に解決できます。
入力規則の設定は地味ですが、ミス防止に効果抜群です!
入力規則を設定しておくと、データ入力時のミスを防げます。
たとえば、日付列には日付形式のみ入力可能にする、商品名列にはリストから選択させる、金額列には数値のみ入力可能にするといった設定です。
「データ」タブの「データの入力規則」から設定できます。
テンプレートには、使い方を説明するシートを追加しておくと親切です。
入力手順、更新方法、各シートの役割などを記載しておけば、他のメンバーがテンプレートを使用する際にもスムーズに作業を進められます。
📝 テンプレートの保存方法
作成したテンプレートは、エクセルテンプレート形式(.xltx)で保存すると便利です。
「ファイル」タブの「名前を付けて保存」で、ファイルの種類を「Excelテンプレート」に変更して保存します。
テンプレートファイルを開くと、元のテンプレートはそのままに、新しいブックとして開かれるため、テンプレート自体を誤って上書きしてしまう心配がありません。
分析を繰り返す中で、「この指標も追加したい」「このグラフは不要だった」といった改善点が見つかることがあります。
四半期に一度程度、テンプレートの内容を見直し、より使いやすいものにブラッシュアップしていきましょう。
エクセルで対応可能なデータ量の目安と代替案
エクセルは非常に優れた表計算ソフトですが、扱えるデータ量には限界があります。
売上データが蓄積されてくると、エクセルでの処理が遅くなったり、ファイルが開けなくなったりすることがあります。
エクセルの限界を理解し、必要に応じて代替手段を検討することが重要です。
| 項目 | 数値・目安 |
|---|---|
| 最大行数 | 1,048,576行 |
| 最大列数 | 16,384列 |
| 快適に作業できる目安 | 約10万行まで |
| 動作が重くなり始める | 数万行を超えたあたり |
スペック上は100万行以上ですが、実務では10万行を超えると厳しくなってきます…
特に、複雑な数式やピボットテーブル、条件付き書式を多用している場合は、より少ない行数でも処理速度の低下を感じることがあります。
日次の売上明細データを数年分蓄積している場合や、SKU(在庫管理単位)が非常に多い場合は、この上限に達しやすくなります。
- 分析に必要なデータだけを抽出して作業
- 日次データを週次・月次に集約
- xlsb形式(バイナリ形式)で保存
全期間のデータをそのまま使うのではなく、分析対象期間のデータだけをコピーして別ファイルで作業すれば、処理速度の問題を軽減できます。
明細レベルの分析が必要ない場合は、あらかじめ集約したデータで作業することを検討しましょう。
従来のxls形式ではなく、xlsx形式やxlsb形式(バイナリ形式)で保存すると、ファイルサイズが小さくなり、処理速度が向上することがあります。
| ツール | 特徴 | おすすめの場面 |
|---|---|---|
| Microsoft Access | エクセルと親和性が高いデータベースソフト | エクセルの延長で始めたい場合 |
| Power BI | 数百万行も高速処理、ダッシュボード作成可能 | 視覚的な分析を重視する場合 |
| Tableau | 高度な可視化機能を搭載したBIツール | 複雑な分析・可視化が必要な場合 |
| Google スプレッドシート | 複数人での同時編集、クラウド連携 | チームでのリアルタイム共同作業 |
Microsoft Accessは、大量のデータを効率的に管理でき、クエリ機能を使った集計も可能です。
エクセルからのデータ移行も比較的容易なため、エクセルの延長線上で使い始められます。
Power BIはエクセルユーザーにとって移行しやすいツールとして人気です!
BIツール(ビジネスインテリジェンスツール)は、大量のデータを視覚的に分析するためのツールです。
Microsoft Power BIやTableauが代表的な製品です。
これらのツールは数百万行のデータも高速に処理でき、インタラクティブなダッシュボードを作成できます。
Google スプレッドシートは、エクセルと似た操作感でありながら、複数人での同時編集やデータの自動連携といったクラウドならではの機能を備えています。
ただし、大量データの処理性能はエクセルと同様の課題があるため、本格的なデータ分析にはBIツールとの併用が望ましいでしょう。
📝 移行時のポイント
エクセルからの移行を検討する際は、段階的に進めることをおすすめします。
まずは現在のエクセル運用を維持しながら、新しいツールを試験的に導入し、メリットとデメリットを評価します。
十分な検証を経てから本格移行することで、業務への影響を最小限に抑えられます。
高機能なツールを導入しても、使いこなせなければ意味がありません。
現在のエクセル運用で十分な成果が出ているのであれば、無理に移行する必要はありません。
データ量の増加や分析ニーズの高度化に応じて、適切なタイミングで次のステップを検討しましょう。
まとめ:今すぐ始められるエクセル売上分析の実践ガイド
本記事では、エクセルで売上分析表を作成する方法を基本から実践まで詳しく解説してきました。
上司から「売上をまとめておいて」と依頼されたとき、どこから手をつければよいかわからないという悩みを解消し、説得力のある分析資料を作成できるようになることを目指して、具体的な手順と数式を紹介しました。
「急に頼まれた売上分析」でも、この記事の手順に沿えば対応できますよ!
📝 売上分析表作成の基本7ステップ
売上分析表の作成は、基本の7ステップに沿って進めることで効率的に完成させることができます。
データの準備から始まり、テーブル形式への変換、ピボットテーブルによる集計、前年同月比や構成比の計算、グラフの作成、条件付き書式による可視化という流れで作業を進めれば、初めての方でも実務で使える分析表を作成できます。
- 時系列分析:売上推移やトレンドを把握
- 商品別分析:商品ごとの売上貢献度を可視化
- 顧客別分析:重要顧客の特定とフォロー戦略
- ABC分析:重点管理商品の明確化
これらを組み合わせることで、単なる数字の羅列ではなく、経営判断に役立つ洞察を得られる分析資料に仕上げることができます。
特にABC分析は、重点管理すべき商品を明確化するための強力な手法であり、パレート図と組み合わせることで視覚的にもわかりやすい資料を作成できます。
ABC分析×パレート図の組み合わせは、上司への報告資料として説得力抜群です!
「#REF!」や「#VALUE!」といった数式エラー、ピボットテーブルの集計ずれ、グラフの表示問題など、典型的なトラブルにはパターンがあり、対処法を知っていれば短時間で解決できます。
エラーに遭遇しても焦らず、本記事で紹介した確認ポイントを順番にチェックしていきましょう。
📝 テンプレート活用で効率化
売上分析が定例業務になっている場合は、テンプレートの活用が効率化のカギとなります。
一度作成した分析表をテンプレートとして保存し、データ部分だけを入れ替える運用にすれば、毎回の作業時間を大幅に短縮できます。
入力規則や使い方説明の追加など、テンプレートの完成度を高めることで、チーム全体の業務効率化にもつながります。
10万行を超えるような大規模データを扱う場合や、より高度な分析が必要な場合は、BIツールなどの代替手段も視野に入れましょう。
ただし、多くの中小企業の売上分析においては、エクセルで十分な成果を出すことが可能です。
まずはエクセルでしっかり基礎を固めてから、必要に応じてツールを検討するのがおすすめです!
- 分析を目的化しない
- 具体的なアクションにつなげる
分析結果から「どの商品に注力すべきか」「どの顧客を重点的にフォローすべきか」「どの時期に販促を強化すべきか」といった示唆を読み取り、実際の営業活動や経営判断に活かしてこそ、売上分析の価値が発揮されます。
本記事で紹介した手順と数式は、すべてエクセルの標準機能で実現できるものです。
特別なアドインや追加ソフトは必要ありません。
まずは自社の売上データを使って、基本の7ステップを試してみてください。
最初は時間がかかるかもしれませんが、繰り返し作成するうちに操作にも慣れ、より短時間で高品質な分析資料を作成できるようになります。
売上分析スキルは、経理・営業・マネジメントなど、どの立場でも役立つ「一生モノ」のスキルです!
売上分析のスキルは、一度身につければさまざまな場面で活用できる汎用的なビジネススキルです。
経理担当者や営業アシスタントだけでなく、マネージャーや経営者にとっても、データに基づいた意思決定を行うための基礎となります。
本記事が、皆様の売上分析業務の効率化と質の向上に貢献できれば幸いです。
エクセルでの売上分析に慣れてきたら、より高度な分析手法やツールにも挑戦してみましょう。
データ分析の世界は奥深く、学べば学ぶほど新しい発見があります。
本記事を出発点として、継続的なスキルアップを目指していただければと思います。
株式会社スーツ 代表取締役社長CEO
2013年3月に、新卒で入社したソーシャル・エコロジー・プロジェクト株式会社(現社名:伊豆シャボテンリゾート株式会社、東証スタンダード上場企業)の代表取締役社長に就任。同社グループを7年ぶりの黒字化に導く。2014年12月に株式会社スーツ設立と同時に代表取締役に就任。2016年4月より総務省地域力創造アドバイザー及び内閣官房地域活性化伝道師。2019年6月より国土交通省PPPサポーター。2020年10月にYouTuber事務所の株式会社VAZの代表取締役社長に就任。月次黒字化を実現し、2022年1月に上場企業の子会社化を実現。2022年12月にスーツ社を新設分割し同社を商号変更、新たに株式会社スーツ設立と同時に代表取締役社長CEOに就任。
現在、スーツ社では、チームのタスク管理ツール「スーツアップ」の開発・運営を行い、中小企業から大企業のチームまで、日本社会全体の労働生産性の向上を目指している。