リーダーシップ往復書簡 077

 

私は長らく本連載を含めてリーダーシップについてWEBメディアで記事を書かせてもらったりSNSで情報発信したりしているのですが、多くの読者の方から「うちの会社(経営者)にも当てはまる」や「まるで自分の一番の課題を指摘されているよう」とコメントバックをいただきます。

このことから分かるのは、いかに多くの会社で、経営トップのリーダーシップが不足しているのか、サラリーマンの間でリーダーシップに対する理解が不足しているかだと思います。

また、以前から私は、リーダーシップは、先天的なものではなく後天的に、誰しも身に着けることができるスキルであるということを言っています。

スキルであるということは、リーダーシップには再現性があるのです。

もしこの2つの前提条件が正しいならば、私は会社経営において競争戦略としてのリーダーシップが成り立つのではないかと考えています。

よくビジネス書において、競争優位性の一つとして経営理念や企業文化を強化しようという話がありますが、そのコンテキストに近い内容だと思います。

社歴が浅くて勢いのある優良企業に所属するスタッフと話をしていると、リーダーシップに優れた人が多いことに驚かされます。このような優良企業は、スタッフ各人が意識して習得したか、意識せずに習得したかはさておき、リーダーシップが組織のケイパビリティの特徴として挙げられるほどになっています。

新型コロナウイルス感染症の蔓延からも分かるとおり、まさにVUCAの時代に突入しています。このような時代だからこそ、合理化・効率的な経営管理のマネジメントから、不確実性にも対応できるリーダーシップが競争優位性になるのだと思います。

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また、コメントも大歓迎です。もし興味ある人がいれば、これを酒の肴に一杯やりましょう!

 

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【Q.77】
私はリーダーは強くなければならないと思いますが、様々な文献にはフォロワーに弱みを見せられるのもリーダーのような記述もあります。どのようにお考えですか?

 

<コメント>

本連載でたびたび登場する「人は性善なれど弱し」という考え方をベースに回答をしたいと思います。

リーダーもフォロワーも全ての人の特性として「人は性善なれど弱し」があります。心にゆとりのある平時であれば、人は善なる生き物ですが、窮地に追い込まれれば、どうしても性悪の部分が顔を出してしまうものです。

ご質問に回答すると、一般的には、世のため人のために成し遂げたい夢や未来といった旗印を掲げているリーダーは、フォロワーよりも「強い」ことが求められると思います。

もちろん、ここでいう「強い」「弱い」は、腕っぷしが強かったり怒鳴り散らしたりといった決して「怖い」といったことではありません。本当の「強さ」とは何か、リーダーが持つべき本質的な人間の強さについても理解をしなければならないと思います。

また、「フォロワーに弱みを見せられるのもリーダー」とありますが、それはリーダーが「弱い」ということではありません。リーダーが「強い」存在だからこそ、自然体でいられて、「弱い」部分をフォロワーに見せることができるのだと思います。

私も、原理原則として、やはりリーダーは強くあるべきだと思いますし、一番大変な部分はリーダーが抱えるべき荷物だと思います。しかしながら、全てのことを一人で背負いきれるものではないと考えています。

同じ夢を追いかけているフォロワーであれば、一部の荷物ぐらいは抱えてもらってもいいのではないかと思いますし、フォロワーに任せられるぐらいの「強さ」がリーダーには求められていると思います。

 

 

※この記事は、2021年3月21日付Facebook投稿を転載したものです。

リーダーシップ往復書簡 076

 

今日はお金について書きたいと思います。私は32歳の時に上場会社の代表取締役社長を解任されていますし、資本主義社会で経営者をしている以上、お金のパワーを嫌というほど理解しているつもりです。

しかし、所詮、お金はお金。どんなに大金持ちになったところで、決してあの世にまで持っていけないわけですから、いつまでも使わずに貯めこんでいてもしょうがないですし、世のため人のために使わなければ意味がありません。また、例えば高価なモノを買ったり飲食をしたりしたとしても、お金を自分のために使うのは、すぐに限界が来ることも多くの先輩経営者方からも言われるとおりだと思います。

本連載において以前からリーダーシップと資本主義社会の親和性については述べてきたとおりですが、資本主義は素晴らしい仕組みで、世のため人のためであって、さらに経済性もしっかりしていれば、リーダーシップを発揮すれば、お金を資本家から集めて事業を興すことができます。もっと言えば、世のため人のためというだけでも、資本家で篤志家の方の共感さえ得られれば、お金を集めて社会活動を行うことができます。

つまり、誰であっても、しっかりとしたリーダーシップがあれば、世のため人のために、世の中にある莫大なお金を使うことができるのです。

私が大変お世話になったメンターの一人は、まさにリーダーシップの人で、東日本大震災が発生した後に、NPO、航空会社と鉄道会社と連携して、中東政府のオイルマネーで、被災した子供たちを観光地に連れていくツアーを企画して実現していました。

特に私は世の中の「端っこのお金」が世界を変えると思っています。国債・公社債や金融機関による大企業や不動産への融資が世の中の「真ん中のお金」であるとすれば、それはベンチャーキャピタルのようなリスクマネーであったり、タニマチやパトロンが行う経済的な支援であったりです。これらのお金によって、人々のイノベーションやクリエイティブがお金の力で増幅され、世の中を変えていくのです。

優れたリーダーシップがあれば、多額のお金を使いこなすことができます。たかがお金ですが、されどお金です。一度しかない人生において、どのように向き合うかが問われています。

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【Q.76】
残念なことに、組織の地位や権限など「パワー」の行使ばかりする上司を持ってしまっています。どのように対処すればいいでしょうか?

 

<コメント>

サラリーマンの悲哀で、サラリーマン人生において、常に良い上司に恵まれるとは限りません。ちょくちょく大企業でのパワハラのニュースが世間を騒がせますが、「パワー」の行使に過度に依拠した上司も一定数存在してしまっていると思います。組織の地位や権限を持ち出さないと人を動かせない状況は、末期的な状況と評価せざるを得ません。

それでは、もしこのような上司に出会ってしまったら、どうするべきか?

「人は性善なれど弱し」を思い出してもらいたいと思います。パワハラをするような人は弱い人なのです。社内外から評価されていないなど精神的に追い詰められていることが予想されますので、まずは自分自身に自信を持ってもらい、疎外感・孤独感を感じないように安心感を得てもらうことが重要です。

具体的な解決方法は、その上司の「荷物」を背負ってあげればいいのです。それは部署の営業成績なのかもしれませんし、部下のマネジメントなのかもしれません。もちろん、その人のプライドを傷つけることなくスマートに問題解決をしてあげることが重要です。負担がなくなれば、その上司は、本来の「性善」に戻ると思います。

上司の「荷物」まで持たなければならないのかと思われる方もいるかもしれません。そこについては、リーダーシップに地位や立場は関係ないということを思い出してもらいたいです。あなたが本当のリーダーならば、例え地位が下であっても、人を動かすことができるし、人を変えることができるのです。

とはいえ、多くの人はその人の組織における地位や立場を踏まえて話をしてきますので、部下の立場から上司の「荷物」を持つことは大変なことだと思います。しかし、人間性を磨く良い機会だと思って取り組むことをお薦めします。

 

 

※この記事は、2021年3月13日付Facebook投稿を転載したものです。

リーダーシップ往復書簡 075

 

最近、休日に、娘の付き添いで公園に一緒に遊びに行くことが多いのですが、小さい子どもたちに、リーダーシップを見ることができて、非常に学びが多いです。

子どもたちは遊びに際して「仲間に入れて」「一緒に遊ぼう」と声がけをします。そして、自分たちよりもさらに小さい子どもがいたら「大丈夫?」と声をかけ、危ない遊びをしている子どもがいたら「危ないよ」と声をかけます。

この子どもたちの公園でのやりとりを見ていると、いかに大人たちが、日々、相手の地位や立場を考えながら、行動をしているか(または、相手の地位や立場を考えた結果、行動をしていないか)に気付かされます。

社会人になったら、特に深く考えることもなく、当たり前のように、相手の地位や立場を考慮して行動するようにと習ったように思います。そのため、社長という肩書があれば、ある程度は盲目的に尊重し、決裁権がありそうならば、例えその人が間違っているとしても正しいことを言わずに口を紡いできました。

公園の小さい子どもたちを見ていると、いかに私たち大人が「社会の垢」にまみれているのかと思い知らされます。

それと同時に、特に利害関係がなく、それぞれに地位や立場もないと、人間はこんなにもリーダーシップを発揮できるものなのかと感動すら覚えます。

そもそも、リーダーシップとは人間に備わっている能力なのだと思います。

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【Q.75】
リーダーの厳しさと優しさのバランスについて教えてください。

 

<コメント>

ご質問の方の「厳しさと優しさのバランス」ですが、リーダーがフォロワーを怒ったり褒めたりするバランスのことを指しているのでしょうか。

もしそれならば極めて表層的な価値判断になってしまっているように思います。

そもそもリーダーとフォロワーの間には愛情や信頼関係がなければなりませんし、そのうえで、リーダーは、フォロワーに対して、本気で期待しているからこそ、厳しく怒り(叱り)もするし、優しく褒めるのです。

そのため、「厳しさと優しさのバランス」で言うならば、リーダーは、フォロワーに対して、全てに厳しく、全てに優しくなければならないと思います。

フォロワーに対して愛情があって、期待があればあるほど、厳しくなりますし、優しくもなります。

本来、リーダーは、フォロワーに対して、世のため人のため、共通の夢や目標の下において、正しいか正しくないかという価値判断で接するべきだと思います。

その際にリーダーは「厳しさと優しさのバランス」などを考えることも不要です。ただ、フォロワーの行動や考えが、正しければそれを褒め、正しくなければそれを修正し、自然体で、率直なコミュニケーションをすればよいと思います。

 

 

※この記事は、2021年3月7日付Facebook投稿を転載したものです。

リーダーシップ往復書簡 074

 

リーダーが掲げる夢の力は偉大だと本当に思います。会社経営においては、経営者は、経営理念の価値を忘れてはならないと思います。

ここ数回にわたり、リーダーシップには地位や立場は関係ないことを記載してきました。

リーダーシップを正しく発揮するうえで大事なことは、リーダーでもフォロワーでも、全員が対等であることが現実に実感できることだと思います。お互いに努力して一つの目標を実現したいと思えるのは、全員が対等だと信じられるからです。

優れたリーダーは、夢に向かっては全員が対等の関係で、フォロワーが自分で考え、本当の自分の意見を出し合えるようにすることに努力しています。

とはいえ、会社で、開放的で自由で率直なコミュニケーションを定着させることは難しいものです。やはり組織のヒエラルキーやマネジメントが上下関係を作ってしまって、各人のリーダーシップの発揮を阻害します。

このような状況下において、各人の地位や立場を忘れ去らせてくれるものは、リーダーが掲げる夢や会社の経営理念だと思います。

全員に共通の夢や目標があれば、いついかなる時も、その夢や目標の下において、リーダーもフォロワーも対等なのです。

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【Q.74】
リーダーシップとコーポレート・ガバナンス(企業統治)について教えてください。

 

<コメント>

「リーダーシップ往復書簡 018」でも記載をしましたが、リーダーシップと株式会社制度には非常に親和性があります。

昨今、スタートアップ界隈でも、コーポレート・ガバナンスについてかまびすしいですが、株式会社制度を語る上で、コーポレート・ガバナンスは最重要な論点だと言えます。

私は、優れたリーダーこそ、株式会社において自らを監視する仕組み、すなわち、コーポレート・ガバナンスを大事にしていると思います。

優れたリーダーならば、世のため人のために正しいことを行っており、社外取締役や監査役なども含めステークホルダー全てを魅了できるため、コーポレート・ガバナンスなど語る必要がないように思うかも知れません。

しかし、実際は違います。なぜなら優れたリーダーは謙虚さを持ち合わせており、自分が間違った意思決定をする可能性があることについても正しく認識しているものです。

そのため、多くの場合、正しくコーポレート・ガバナンスが機能して、株式会社におけるリーダーやフォロワーの行動に対して、ステークホルダーからのチェックが入ることは歓迎すべきことだと考えているのです。

 

 

※この記事は、2021年2月28日付Facebook投稿を転載したものです。

リーダーシップ往復書簡 073

 

リーダーとなり旗振り役をしていると沢山の役得があります。今回は、その中でも特に2つをご紹介したいと思います。

それは、尊敬すべき優れたリーダーにたくさん出会えることと、他の優れたリーダーから直接的にリーダーシップを学ぶことができることです。

小さい会社など少ないフォロワーであっても、リーダーシップを発揮していると、いろいろな人が他の優秀なリーダーを紹介してくれます。

リーダーシップには地位や立場は関係ありませんから、必ずしもその人が社長というわけではありませんが、リーダーシップを発揮して世の中を良くしたいというリーダーばかりと出会えます。

それぞれ別の夢や目標があるとはいえ、類は友を呼ぶで、リーダーとしての生き方や考え方も近いですし、お互いに励まし合い、切磋琢磨することができます。

また、このような優れたリーダーから直接的にリーダーシップを学ぶこともできます。

「リーダーはリーダーを育てる」という格言のとおり、組織的な地位の力(パワー)などによる影響力がなくとも、優れたリーダーからは、知らず知らずのうちに、より良い影響を受けてしまうのです。

私も稚拙ながらリーダーをしていて良かったことは、メンターとの出会いです。

改めて、最近メンターの方とお仕事をする機会をいただいておりますが、リーダーシップとインテリジェンスのプロフェッショナルさには舌を巻くばかりです。

リーダーシップにおいては、メンターの方の正直さ、真摯さ、情熱的、未来志向、そして、人としての器の大きさ、人間的魅力には感動を覚えます。特に、どうすればこのような愛嬌を身に着けることができるのか。本当に見習いたいと思います。

また、インテリジェンスにおいては、情報分析能力もさることながら、情報収集能力が桁違いです。自分と比較をすると、私は職業的とはいえ猜疑心が強く自己防衛的であるのに対して、メンターの方は誰とでも虚心坦懐に付き合うことができることが、すぐには真似できないなと思わされます。

このような方とご縁をいただいたことは、私の人生における財産だと思いますし、鶏口牛後で、若かりし頃からリーダーシップを発揮していたからだと思います。

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【Q.73】
どのようにリーダーは自分の好き嫌いと向き合っているのでしょうか?

 

<コメント>

優れたリーダーは、マネジメント・スキルを発揮する時には個人的な好き嫌いの一切を排除し、リーダーシップ・スキルを発揮する時には、人としての「あり方」や善悪という次元で、好き嫌いを前面に出しているように思います。

いつものようにマネジメント・スキルとリーダーシップ・スキルに分けて説明をしたいと思います。

「人を管理する」というマネジメントにおいて、決して、好き嫌いのような感情に任せた意思決定はしてはならないと言われています。

フォロワーは、リーダーの掲げる世のため人のためという目標達成のために、リーダーに追従しているわけであって、ただ単にリーダーにかしずきたいと思っているわけではないのです。

特に好き嫌いは感情の代表例であって、人の感情はその場その場のものです。もしこれがリーダーの意思決定として優先されるようになったら、フォロワーは目標達成のために論理的・合理的である建設的な議論をすることができなくなってしまいます。

そのため、多くの場合、マネジメントにおいては、好き嫌いは、忌み嫌うべきものとして扱われています。

一方で、「人を導く」というリーダーシップにおいては、好き嫌いは、必ずしも否定すべきものではありません。

なぜならリーダーシップの本質である誰かに貢献したいという願望の出発点は、好き嫌いだからです。

例えば、輝いている人がいて、このようなキラキラとしている人が「好き」だから、こういう人を増やしたい。困っている人がいて、この人を困らせるような事象が「嫌い」だから、このようなことをなくしたいなど、好き嫌いは、リーダーが掲げる夢や目標の出発時に必ずある感情です。

また、このような好き嫌いは、人々の共感を生みやすいという特徴もあります。リーダーは、多くのフォロワーが共感するような夢を掲げなければなりません。そのため好き嫌いは大事な感情なのです。

それこそ、私が若かりし頃には、好き嫌いどころではなく、メンターの方から「もっと怒りなさい。義憤という言葉を知りなさい。」と言われ、正義感や良心から「怒り」を持ちなさいとまで言われたものです。

 

 

※この記事は、2021年2月20日付Facebook投稿を転載したものです。

リーダーシップ往復書簡 072

 

前回にも記載しましたが、リーダーシップには地位や立場は関係ありません。

そのため、組織においては地位のある上司がいたとしても、その人が必ずしもリーダーシップを発揮できているとは限らないですし、部下が実質的にはリーダーということもあります。

以前から「リーダーはリーダーを育てる」という考え方を紹介してまいりましたが、真のリーダーである部下が、上司をリーダーに育てるということも実際に起こり得ることなのです。

多くのサラリーマンは、「人を管理する」というマネジメントの視点に慣れ過ぎているように思います。

リーダーとしての本当の信頼を誰が持っているかは、緊急時や有事になれば明らかになります。

平時であれば、多くの人は波風を立てないように、組織のルールを遵守して、上司を立てて行動をします。しかし、有事となれば、全員が生き残るのに必死になります。その時は、多くの人は名目的なリーダーである組織の上司を排除し、生き残るために本当に必要であると考える真のリーダーの指示に従うものです。

私はマネジメント・スキルとリーダーシップ・スキルを大別して説明することが多いのですが、このことは、人間のより根源的なスキルが、マネジメントではなくリーダーシップであることを証明しているように思います。

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【Q.72】
マネジメント・スキルだけでも企業価値向上ができると思いますが、リーダーシップ・スキルが重要である理由を教えてください。

 

<コメント>

ご質問のとおりで、私もMBAで教えるようなマーケティング、アカウンティングやファイナンスなどマネジメント・スキルだけでも企業価値向上ができると思います。

具体的には、取引先の見直し等によるコスト削減、デジタルマーケティングによる精緻なセグメンテーションによる広告宣伝費の見直し、オペレーションの改善、システム導入、余剰人員の整理や配置転換など、より効率的、合理的な経営管理によって、企業価値向上を図ることができます。

しかし、多くの場合は、マネジメント・スキルだけでできる企業価値向上は短期的なものなのです。

中長期的な企業価値向上を成し遂げるためには、やはりリーダーシップ・スキルが不可欠だと思います。この理由ですが、私はよく損益計算書を用いて説明をします。

前述の具体例からも明らかなとおり、マネジメント・スキルによってもたらされる企業価値向上は、損益計算書における原価及び販管費などに属する部分の話ばかりなのです。

損益計算書の最上部に来るのは売上です。この売上だけは、お客様に喜んでもらわなければ増えませんし、お客様は十人十色ですから、売上を増やすためには会社は試行錯誤が必要になります。

お客様とは、「人を管理する」というマネジメント・スキルでは影響力を行使できない存在なのです。

短期的に企業価値向上をするには、マネジメント・スキルをフル活用して、売上はどうにか維持して、ありとあらゆる原価及び販管費を合理化して、営業利益(EBITDAや営業CF)などを増やすことが安全策だと思います。

しかし、社会における企業活動の最重要な指標は売上なのです。一義的には、お客様がその会社の商品やサービスを買い求めてくれるから、その会社は社会において存在価値があるのです。

そして、この売上を中長期的に増やしていくには、「人を導く」というリーダーシップ・スキルを発揮して、お客様に影響力を行使していくしかありません。

世のため人のためにリーダーシップを発揮して、より良い商品やサービスを提供して、主体的に動いていくことが、売上を増やしていくということなのです。そのため、中長期的な企業価値向上にはリーダーシップ・スキルが重要なのです。

 

 

※この記事は、2021年2月13日付Facebook投稿を転載したものです。