私は会社経営を通じて経験できる分かりやすいリーダーシップの事例として、スタートアップ企業でのエクイティ・ファイナンスを挙げています。

スタートアップ企業は、経営資源が乏しく、新しく立ち上げるビジネスが軌道に乗るまで、金融機関や投資家から資金調達をして、そのお金を原資に、会社組織を運営していかねばなりません。

資金調達の中でも、新株発行による資金調達のことをエクイティ・ファイナンスと言います。

スタートアップ企業のエクイティ・ファイナンスでは、経営者はビジネスプランを片手に、投資家に対して未来を提示して、その投資家から投資をしてもらうわけです。

その際、経営者には、主体性、社会性、他人を巻き込む力、実現可能性ある計画、コミット力・やり抜く力など様々なリーダーシップが求められます。

スタートアップ企業でのエクイティ・ファイナンスを経験すると、「0」から「1」への分かりやすい劇的な変化を目の当たりにでき、ほん少しのリーダーシップが世の中を進めることに感動を覚えると思いますし、社会に対する一体感や全体性などを感じることができると思います。(似たようなビジネスプランやアイデアが同時に生まれる共時性も体験できるかも?)

リーダーシップについて疑問がある、質問をしたいという方がいらっしゃいましたら、コメントや個別にメッセンジャーでご連絡ください。

また、コメントも大歓迎です。もし興味ある人いれば、これを酒の肴に一杯やりましょう!

 

 

【Q.6】
以下メタファーですが、よろしくお願いします。

知識や経験を刃として捉えた時、歳を経るたびに、その刃は自然と研ぎ澄まされていくものだと思います。一方で、研がれた刃は安易に振るうこと(行動や言動で示すこと)で他者を切り裂き、もし抜き方を間違えれば、自らをも切り裂く諸刃の剣となるようにも思います。
最近、この研がれた刃(知識や経験)の取扱いに困っています。少しでも気を抜くと、他者に対して振るってしまいそうになる。本当は振るいたくはない。

このような葛藤を感じた時に、どのように乗り越えれば良いでしょうか?

 

<コメント>

メタファーを使った、私の予想の斜め上をいく質問が来ました(笑)。

最初に言葉の定義をしたいと思います。

以前も紹介したとおり、成人発達理論では「水平的な成長」・「垂直的な成長」という考え方があり、「水平的な成長」は知識やスキルの獲得で、それに対して、「垂直的な成長」は「人間の器」のような認識の枠組みを指します。

質問文に「知識や経験」とありますが、質問文における「知識」は、まさに「水平的な成長」の指すものだと思います。「経験」は、多くの場合、「人間の器」を拡げる機会でもあり、「垂直的な成長」に繋がることもあるかと思いますが、ここでは「知識や経験」は「水平的な成長」として単なる知識やスキルの意味合いで使用しているものと思います。

さて、質問に回答したいと思いますが、いつものようにリーダーシップとマネジメントに大別して説明をしたいと思います。

私は、「知識や経験」は、決して未来志向なリーダーシップに基づくものではなく、過去に基づいて得られた知見だと考えています。そして、これは組織を効率的に運営するマネジメントとして重要だと思いますが、時と場合によっては、リーダーの信頼を失墜させたりフォロワーみんなのやる気を削いだりするような害悪にすらなる可能性があると思います。

なお、この質問者の方は「知識や経験」は諸刃の剣になる、取扱いについて困る、本当は振るいたくはないと認識しているようで、この質問ができること自体が、発達段階が進んでいる方ならではのように思います。

マネジメント優位の方であれば、「知識や経験」の行使に躊躇はないと思います。

私は、リーダーが、ご質問にある「知識や経験」や組織の指示命令系統上の制度的権限など「パワー」を適切に行使できることは、フォロワーの尊敬を集める行為だと思います。

神話などで、なぜ年老いた村長に対して、フォロワーである若い村民たちに畏怖があるかというと、村長は適切に「知識や経験」や「パワー」を行使することができるからなのです。

適切な「知識や経験」や「パワー」の行使は、自制心がなければなりませんし、何よりも経験が必要になります。

適切に「知識や経験」や「パワー」の行使ができることが、村長に対する畏怖に繋がっているのです。

自分勝手な「知識や経験」や「パワー」の行使は、フォロワーにとって尊敬に値しない行為であり、単なる恐怖でしかありません。

「知識や経験」の行使について葛藤を感じた時に、リーダーの本来あるべき姿は、「知識や経験」の行使ではなく、未来志向で新しいビジョンの提示をすることだと思います。

しかし、リーダーにそこまでの確信やインスピレーションが得られないときは、とにかく慎重に「知識や経験」の行使をすべきです。

フォロワーは、リーダーの未来志向の失敗を、時にはチャレンジと評価し、尊敬すらするものです。しかし、リーダーが過去を振り返った挙句の失敗は、誰からも評価されません。

リーダーが、過去から学んだ「知識や経験」を行使をして、空振りをしたのでは目も当てられません。

 

 

※この記事は、2019年9月3日付Facebook投稿を転載したものです。

株式会社スーツ 代表取締役 小松 裕介

 2013年3月に、新卒で入社したソーシャル・エコロジー・プロジェクト株式会社(現社名:伊豆シャボテンリゾート株式会社、JASDAQ上場企業)の代表取締役社長に就任。同社グループを7年ぶりの黒字化に導く。2014年12月に当社設立と同時に代表取締役に就任。2016年4月より総務省地域力創造アドバイザー及び内閣官房地域活性化伝道師。2019年6月より国土交通省PPPサポーター。