執筆者 小松 裕介 | 5月 5, 2021 | CEO

立教大学や神戸大学のようにリーダーシップ教育で有名な大学がリーダーシップを教える前提として説明しているように、私も、リーダーシップ・スキルは、後天的に誰でも身に着けることができ、再現性があるものと考えています。
私は日々、バリューアップを仕事にしておりますので、クライアント企業の人や組織にまつわるトラブルに際して、そのクライアントの経営幹部に対して、「今後このように事態が展開していきます」という見通しを意見させてもらうことが多いです。そして、後日、その経営幹部の方々から「あの時点でこうなることが分かっていたのですね」と言われることも多いです。
もちろん私は預言者でも超能力者でもないのですが、リーダーシップという観点から、人を見て、組織を見ているに過ぎません。
例えば「企業再生あるある」だとは思いますが、倒産に瀕した会社の業績や社内の雰囲気が良くなっていくにもかかわらず、一定数のスタッフの入れ替わりが起きてしまうのです。
スタッフの入れ替わり、一部のスタッフが離れていってしまうことについては、もちろんリーダーのリーダーシップ不足に起因していますが、私の実務経験だと、相当なフォローをしたとしても一定数の入れ替わりが起きてしまいます。
リーダーはフォロワーを成長させるのが役割ですが、企業再生の場合だと、会社の成長スピードにフォロワーの成長スピードがついていけず、「成長痛」が生じてしまいます。そうなると、いかに会社が業績や社内の雰囲気が良くなったとしても、取り残されたスタッフからすれば、他のスタッフの活躍が妬ましく息苦しくなってしまったり、スタッフ全体から発せられる前向きなエネルギーですら、ある種の疎外感を感じてしまったりするのです。
また、ポジティブな事例だと、リーダーが、リーダーシップを正しく発揮できていると、フォロワーがどんどん成長していきます。フォロワー自らがリーダーシップを発揮して、スキルの習得をしたり新しい仕事にチャレンジをしたりするようになります。
私は、MBAのようなマネジメント・スキルがこれだけ社会人の間で普及したわけですから、ぜひともこのリーダーシップ・スキルについても同様に、多くの人に身に着けてもらいたいと考えています。
リーダーシップについて疑問がある、質問をしたいという方がいらっしゃいましたら、コメントや個別にメッセンジャーでご連絡ください。
また、コメントも大歓迎です。もし興味ある人がいれば、これを酒の肴に一杯やりましょう!

【Q.86】
私はいわゆる2代目社長です。創業者のように、リーダーとして強いリーダーシップを発揮したいと考えていますが、どうすればよいでしょうか?
<コメント>
素晴らしい心持ちだと思います。日本社会でも事業承継がこの数年でピークを迎え、「経営者の代替わり」は大きなトピックだと思います。
私が2代目社長によくアドバイスをするのは、社長、大株主やオーナー創業者の子息という有形無形のパワー(地位や立場に基づく力)がなかったとしても、フォロワーがついてくる発言と行動をしなければならない、リーダーとして相応しい謙虚さと人間力を身に着けなければならないと伝えています。
本連載でもたびたび記載をしてきましたが、リーダーシップには地位や立場は関係ないのです。あなたがフォロワーから尊敬と尊重される本当のリーダーになりたいと考えるならば、一人の人間として、世のため人のためとなる夢や目標を掲げ、共にその夢や目標を実現したいと考えるフォロワーを募らなければなりません。但し、そのためには、それこそ創業者と同じような相当な努力が必要になることは言うまでもありません。
本当のリーダーには「リーダーになりたい」「リーダーを目指したい」と言ってなれるものではなく、リーダーとは、夢や目標などを掲げて、暗闇の中を勇気を持って歩み始めた結果、多くのフォロワーがついてきて、結果としてリーダーになるのものなのです。
次に、リーダーシップは、その人の個性や背景、また、受け取り手側の状況に応じて、発揮の仕方を変えなければなりません。
そのため、間違っても、強いリーダーシップを発揮したいからといって、創業者の方の行動を単純に真似してはなりません。創業者の方と幹部社員の間には長年にわたる人間関係があります。その人間関係を無視して、創業者の方と同じ行動やコミュニケーションをしたら、当たり前ですが、行き違いが生じて、人間関係の悪化が生じる可能性が高いです。
リーダーは自然体で、その人のキャラクターに適したリーダーシップを発揮すれば良いのです。サーバント・リーダーシップのような、リーダーがフォロワーを支えるといった新しいリーダーシップの概念も普及しつつあります。焦ることなく、自分なりのリーダーシップを模索されることをお薦めします。
※この記事は、2021年5月5日付Facebook投稿を転載したものです。
株式会社スーツ 代表取締役社長CEO
2013年3月にソーシャル・エコロジー・プロジェクト株式会社(現社名:伊豆シャボテンリゾート株式会社、東証スタンダード上場企業)の代表取締役社長に就任。7年ぶりの黒字化に導く。2014年12月に当社前身の株式会社スーツ設立。2016年4月より総務省地域力創造アドバイザー及び内閣官房地域活性化伝道師登録。2019年6月より国土交通省PPPサポーター。2020年10月に大手YouTuberプロダクションの株式会社VAZの代表取締役社長に就任。月次黒字化を実現し上場会社の子会社化を実現。2022年12月に株式会社スーツを新設分割し当社設立と同時に代表取締役社長CEOに就任。
執筆者 小松 裕介 | 5月 4, 2021 | CEO

「きれいごと」という言葉があります。辞書を引くと、実情にそぐわない、体裁ばかりを整えた事柄とあります。
分別のつく年齢のフォロワーであれば、私たちの夢を実現するためには、例えば組織運営に多額のお金がかかったり、ステークホルダーのしがらみに悩まされたりなど極めて現実的な問題が山積していることを理解していると思います。
しかし、私は、これらの現実的な問題解決以上に、リーダーは「きれいごと」を掲げ続けることが重要だと考えています。
本連載では、幾度となく「人は性善なれど弱し」という考え方を紹介してまいりましたが、リーダーとフォロワーからなるその集団において、本来はリーダーが一番強くあるべきなのです。
その一番強いリーダーが「きれいごと」を言わなくなってしまったら、誰も正しいことを言う人がいなくなってしまいます。一般的に、リーダーのように強くないフォロワーが「きれいごと」をずっと維持していくことは難しく、「現実的」や「実際に」という言葉を人質に、妥協を繰り返すことになってしまいます。
想像してもらいたいのですが、もしあなたがフォロワーならば、現実的な話ばかりしているリーダーについていきたいと思いますか。
リーダーが現実的な問題解決の話ばかりをし始めたら、それは短期的に組織運営に必要なことであったとしても、中長期的にはリーダーの影響力の低下をもたらす危機的な状況だと思います。
フォロワーによっては、リーダーが「きれいごと」を言うことに非難する人もいるかもしれません。しかし、リーダーは、例え苦しい時期であっても、焼け火ばしを持って、「きれいごと」を言い続けなければならないのです。フォロワーの目線を上げて成長を促す。それがリーダーに課せられた役割なのです。
リーダーシップについて疑問がある、質問をしたいという方がいらっしゃいましたら、コメントや個別にメッセンジャーでご連絡ください。
また、コメントも大歓迎です。もし興味ある人がいれば、これを酒の肴に一杯やりましょう!

【Q.85】
リーダーは、怠惰な人間、ズルい人間や器の小さい人間などとは、どのように付き合えばいいのでしょうか?
<コメント>
リーダーシップの原則に立ち返れば、リーダーは、どのような人であれ、全ての人を使いこなせなければなりません。
以前、私のメンターの言葉として「神を目指せ」という言葉を紹介しましたが、ほとんどのリーダーは現時点では「神様レベル」の人間力を持ち合わせおりませんので、これらの問題児たちとどう付き合うかが論点になります。
一つの答えは「人は善なれど弱し」という人間の特性をよく理解することだと思います。人間は誰しも善いことを行いたいと考えています。しかし、弱いから善いことができない。弱いから怠惰にサボってしまい。弱いからズルいことをしてしまい。弱いから鷹揚に構えることもできないのです。
リーダーは、この人間の弱さを理解したうえで、フォロワーを導いていくことが必要だと考えます。怠惰な人には、当初は手厚く声がけを意識的に増やす。ズルい人には、報告を小まめにさせることでズルをできないようにする。器の小さい人には、今後の展開をなるべく見通せるように情報共有してあげて、精神的にいっぱいいっぱいにならないようにして配慮してあげるなどです。
これらの人々と向き合って、しっかりと成長させるということも、リーダーの醍醐味の一つだと思います。
もう一つの答えは、消極的な考え方ではありますが、現実的な解決策の一つとして、これらの人々とは極力絡まないようにするという考えもあるかもしれません。
もちろんその場合は、人間は誰しも悪い部分や弱い部分がありますので、こういった「普通の人々」を遠ざけてしまうと、フォロワーも限られた人だけになってしまいますし、大きなことが成し遂げられなくなってしまう可能性があることにも留意する必要があると思います。
※この記事は、2021年5月4日付Facebook投稿を転載したものです。
株式会社スーツ 代表取締役社長CEO
2013年3月にソーシャル・エコロジー・プロジェクト株式会社(現社名:伊豆シャボテンリゾート株式会社、東証スタンダード上場企業)の代表取締役社長に就任。7年ぶりの黒字化に導く。2014年12月に当社前身の株式会社スーツ設立。2016年4月より総務省地域力創造アドバイザー及び内閣官房地域活性化伝道師登録。2019年6月より国土交通省PPPサポーター。2020年10月に大手YouTuberプロダクションの株式会社VAZの代表取締役社長に就任。月次黒字化を実現し上場会社の子会社化を実現。2022年12月に株式会社スーツを新設分割し当社設立と同時に代表取締役社長CEOに就任。
執筆者 小松 裕介 | 5月 4, 2021 | CEO

長年にわたり経営者という役割を果たしていると、誰かに嫌われることより、誰かを気にかけて好きになる(愛する)ことの方が遥かに難しいと思わされます。
以前、メンターの方が、問題あるスタッフを捕まえて、「あなたの人格を否定しているのではなく、行動を変えてもらいたいのだ」という話をしているのを聞いて以来、私も誰かの行動を注意する際はこの言い回しを使わせてもらっています。
リーダーには、夢や目標のために、フォロワーを成長させることが求められます。しかし、いくら夢や目標のためという大義名分があったとしても、行動を否定されて嬉しい人はいません。そのため、せめて丁寧に人格と行動を分けて説明し内省を促すわけですが、それでも残念ながら嫌われてしまうことがあると思います。
特に私は企業再生を仕事にしてきたので、今まで数百人の方に直接通告してリストラをしてきた経験があります。もちろん会社が行き詰っており、資金繰りの観点からいかんともし難い状態だったためにリストラをしてきたわけですが、リストラされたスタッフからすれば、私のことを恨み骨髄に徹していたことでしょう。
リストラについては、私にはあまり感情的なところはなく、経営危機にある会社の経営者としての役割を果たしているに過ぎません。「感情的ではない」「役割を果たしているに過ぎない」という表現も私の自己防衛的な心持ちからくるものかもしれませんが、正直なところ、少しでも多くのスタッフや取引先企業の雇用を守るという目的があるため、恨まれるのもやむなしとも思っています(むしろ、リストラされた人の恨む矛先も経営者の役割と考えています。)。
このように長い間、経営者をしていると、他人に嫌われることや恨まれることに対する耐性はどんどんついていくわけです。しかし、冒頭に記載したとおり、誰かを気にかけて好きになる(愛する)ことは本当に難しいのです。
気にかける、好きになる、愛する・・・これらは、自らが主体性を持って取り組まねばできないことですし、頭で考える以上に大きなエネルギーを必要とするのです。もしかするとリーダーにとって、夢を描いて、不特定多数の世のため人のためを語るほうが楽かもしれません。
以前もご紹介したとおり、マザーテレサは「愛の反対は憎しみではなく無関心」と述べましたが、毎日限られた時間の中で、自分以外の特定の人に興味を持つことの難しさを感じています。それと同時に、これはリーダーとして向き合わなければならない本当に重要な課題だとも捉えています。
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【Q.84】
会社経営で特にリーダーシップが必要だと考えるのは、どのような時でしょうか?
<コメント>
会社が危機的状況にあって、一見、合理的・論理的に考えたら問題解決できないような状況にある時です。
常日頃からリーダーシップが必要であることは言うまでもありませんが、やはり危機的状況においてこそリーダーシップが求められます。
もちろん、合理的・論理的には「詰んでいる」状況なので、この状況で白旗を上げたとしても、誰からも責められることはないでしょう。リーダーが諦めたら、そこでゲームセットになってしまうわけです。
もしリーダーが諦めなければ、例えば、来月資金ショートするような状況であっても、投資家を説得してまわって、投資家から新たな投資資金を引き出したり、取引先や金融機関に対して支払いを繰り延べてもらったりすることができるかもしれません。
リーダーが、正しくリーダーシップを発揮すれば、最後は人が動くか動かないかという「人の問題」に収れんします。もし人を動かすことができれば、問題解決できる場合もあるのです。
なお、このようにつらつらと書きましたが、私の実務感覚としては、そう都合よく、危機的状況の時だけリーダーシップを発揮するというわけにはいかないようにも思います。
やはりリーダーシップも日頃から板についていないと勝負どころで正しくリーダーシップを発揮できず、人が動かない、つまりは、誰かが救いの手を差し伸べてくれることはないように思います。
※この記事は、2021年5月3日付Facebook投稿を転載したものです。
株式会社スーツ 代表取締役社長CEO
2013年3月にソーシャル・エコロジー・プロジェクト株式会社(現社名:伊豆シャボテンリゾート株式会社、東証スタンダード上場企業)の代表取締役社長に就任。7年ぶりの黒字化に導く。2014年12月に当社前身の株式会社スーツ設立。2016年4月より総務省地域力創造アドバイザー及び内閣官房地域活性化伝道師登録。2019年6月より国土交通省PPPサポーター。2020年10月に大手YouTuberプロダクションの株式会社VAZの代表取締役社長に就任。月次黒字化を実現し上場会社の子会社化を実現。2022年12月に株式会社スーツを新設分割し当社設立と同時に代表取締役社長CEOに就任。
執筆者 小松 裕介 | 5月 1, 2021 | CEO

リーダーの情熱は、費やした時間と身に着けたスキルで測ることができます。
一般的に会社の社長や経営幹部になるような人であれば、コミュニケーション能力も高く、その場をとりつくろうような嘘をつくことは造作もないでしょう。しかし、その人が、どの程度の時間を費やしたのか、どの程度のスキルを身に着けたのかを確認すれば、その人の生き様と本気度を知ることができます。
リーダーとは、暗闇の中、集団の先頭で、たいまつを持って、フォロワーを率いて進む存在です。リーダーが手に持つたいまつの輝きがあればあるほど、未来を見通すことができるようになりますし、多くのフォロワーも導くことができるのです。
私はリーダーが手に持つたいまつは、リーダーの情熱だと考えています。リーダーの情熱が未来を引き寄せ、フォロワーを惹きつけるのです。
しかしながら、情熱という言葉は、言うは易く行うは難しだと思います。
もしあなたが情熱あるリーダーならば、夢や目標のため、フォロワーのために、24時間365日、尽くさなければなりません。また、それ相応の現場の知恵や業界の知識などスキルが身についていなければなりません。
周囲の人々に情熱を証明するには、一度きりの人生のうちでどの程度の時間を費やしたかと、どの程度のスキルを身に着けたのかしかないのです。
逆に言えば、時間を費やさない人やいつまで経ってもスキルを身に着けない人は、明らかに情熱が不足しており、リーダーとしては不適格と言わざるを得ないのです。リーダーになりたいと口で言っても、少しの時間をかけて、夢の実現に必要となる専門書の一冊も読まないような人はリーダーにはなれないのです。
リーダーシップについて疑問がある、質問をしたいという方がいらっしゃいましたら、コメントや個別にメッセンジャーでご連絡ください。
また、コメントも大歓迎です。もし興味ある人がいれば、これを酒の肴に一杯やりましょう!

【Q.83】
人を動かす言葉とはどのようなものでしょうか?
<コメント>
リーダーは、夢や共感の力で、人を魅了し、人を動かさなければなりません。その時に大事になってくるのが言葉であり、コミュニケーションです。
私は、やや不遜な物言いかもしれませんが、リーダーとしての自分の言葉に自信を持っており、私の描く夢に共感して動いてくれる人が必ずいると信じています。
それでは、その時に、どのような言葉を用いているのかというと、それは魂が込められた言葉とでも形容すればいいでしょうか。リーダーが自然体で世のため人のために本気で思っている言葉が、人を動かす言葉なのです。
これは面白いことに、人を動かす言葉は、話が上手であることと必ずしも同義ではありません。もちろん常識的な納得度がなければ人が動かないのは言うまでもありませんが、未来の話をするときに、論理性や合理性よりも大事な何かがあるように思います。
また、本連載でも、今までも成人発達理論の「垂直的な成長」などを引き合いに出して説明をしてまいりましたが、人には「深さ」があるのです。つまりは、言葉以上に、誰が言ったか、どのタイミングで言ったかという、言葉の背景、コンテキスト(context)を聴衆の多くは読み取っているのです。
そのため、同じ言葉を使っていても、心に響かない軽い人もいれば、心にずっしりと響き、そして、聞いた人に気づきを与えてくれるような人もいるのです。
私はよくメンターの方から「聡明かつ深みのある人間になりなさい」と言われます。人を動かす言葉とは、聡明かつ深みのあるリーダーが発する言葉だと思います。
本当に人を動かしたいと思うならば、人間力を身に着けたうえで、リーダーとして前を向いたしっかりとした言葉を使わなければなりません。
※この記事は、2021年5月1日付Facebook投稿を転載したものです。
株式会社スーツ 代表取締役社長CEO
2013年3月にソーシャル・エコロジー・プロジェクト株式会社(現社名:伊豆シャボテンリゾート株式会社、東証スタンダード上場企業)の代表取締役社長に就任。7年ぶりの黒字化に導く。2014年12月に当社前身の株式会社スーツ設立。2016年4月より総務省地域力創造アドバイザー及び内閣官房地域活性化伝道師登録。2019年6月より国土交通省PPPサポーター。2020年10月に大手YouTuberプロダクションの株式会社VAZの代表取締役社長に就任。月次黒字化を実現し上場会社の子会社化を実現。2022年12月に株式会社スーツを新設分割し当社設立と同時に代表取締役社長CEOに就任。
執筆者 小松 裕介 | 4月 25, 2021 | CEO

世間話の中などで特に意識することなく日常的に行われている他人に対する人物評は、多くの場合、人間の本質的な評価とかけ離れて、社会的な地位やお金を持っているなど表面的な評価に留まっているように思います。
倫理観、正義感や優しさはもちろんのこと、言葉の重み、度量の広さ、懐の深さ、人間の器・・・リーダーシップに着目していると、会社の規模や役職など社会的な地位とは全く別の尺度である、これらの価値に気づかされます。
他人を評価するなど傲慢なことと感じるかもしれませんが、リーダーには「人をフラットに見ること」が求められます。
リーダーが他の組織のリーダーと会う時にも、このリーダーは信頼に足りるか、経験に裏付けられた言葉の重みがあるか、部下の失敗などに対して寛容さを持ち合わせているか、そして、器の大きい人間かどうかなど、一つ一つを確認することになります。
なぜなら冒頭に記載したような社会的な地位やお金を持っているなど表面的な評価が、中長期的に価値ある判断になり得ないことを私たちは経験則として理解しているからです。
現時点において、大きな決裁権を持つ大企業の幹部社員であったり資金量が豊富なファンドマネージャーであったりしても、「人間力」のある人でなければ、中長期的に成功し続けられる可能性は低いでしょうし、少なくとも一度きりの自分の人生において、長く時間を割いて、信頼して付き合うには足らないのです。
特にリーダーは、フォロワーを率いており、多くの人に対する責任を背負っています。そのため、リーダーは人を見誤るわけにはいかないのです。
優秀な剣士が剣の切っ先が触れ合うまでもなく相手の力量が分かると言うように、「人間力」も、その人のたたずまいや少しの所作や発言で見えてしまうから不思議です。もっと言うと、私たち全員は、子どもの頃から、人間の本質的な評価をし続けているのかもしれません。そのため、社会人になればお互い立場があるので他人の人物評の答え合わせをする機会は少ないかもしれませんが、別々の人がそれぞれ評価をしたとしても、「人間力」という点については評価が大きく乖離することはないように思います。
リーダーは、ついてきてくれるフォロワーのためにも、人を正しく評価することが求められます。その時には、それこそリーダーという役割を念頭において、職業的な懐疑心を持って、表面的な評価を排し、人をよく見なければなりません。
リーダーシップについて疑問がある、質問をしたいという方がいらっしゃいましたら、コメントや個別にメッセンジャーでご連絡ください。
また、コメントも大歓迎です。もし興味ある人がいれば、これを酒の肴に一杯やりましょう!

【Q.82】
リーダーシップ・スキルを習得するには、どれぐらいの時間がかかるものですか?
<コメント>
私はリーダーシップ・スキルの習得には、少なくとも3年程度の時間がかかるものと考えています。
まず前提として、今までも繰り返し述べてきておりますが、リーダーシップは、決して先天的な能力ではなく、後天的に誰でも習得できるスキルだと考えています。
そして、リーダーシップとは「やり方」ではなく「あり方」です。そのためリーダーシップ・スキルを学ぶには、どうしても方法論を学ぶ座学よりも、実際にリーダーシップを発揮して体得することが必要になります。
私は、ヒーローズ・ジャーニー(英雄の旅)のように、リーダーシップ・スキルを習得するためには、実際に、あなたがリーダーとなって、夢や目標を掲げて、旅に出て、仲間(フォロワー)を引き連れて、目標を達成して、帰還するという経験が必要だと考えています。
今の社会人の時間感覚だと、この旅の出発から帰還まで、少なくとも3年ぐらいを要するのではないかと思います。
具体例として、昨今、非常に話題のベンチャー業界を例にしましょう。創業者が、その他メンバーを誘って、スタートアップ企業を設立します。創業融資を借りて、プロトタイプの商品・サービスを制作します。そこから半年ぐらいかけて、収益シミュレーション、資本政策など事業計画を策定して、エンジェル投資家などから、シードマネーとなる資金調達を行います。資金調達が完了したら、策定した事業計画の実行です。この実行には1年から2年ぐらい時間を要します。ここで2度目の資金調達を行い、株式上場を目指すという選択肢もありますし、ここでM&AでEXITするということもできます。これで3年程度の時間です。
最近の優秀なベンチャー経営者の方々を思い浮かべればイメージがわきやすいと思いますが、このように自らがリーダーシップを発揮すれば、必ずリーダーシップ・スキルを磨くことができると思います。
ヒーローズ・ジャーニーは、主人公の成長物語です。人生100年時代の長い人生において3年程度ならば大した時間ではありませんから、ぜひとも読者の皆さんにも、リーダーシップの旅に出てもらい、リーダーシップ・スキルを習得してもらいたいと思います。
※この記事は、2021年4月24日付Facebook投稿を転載したものです。
株式会社スーツ 代表取締役社長CEO
2013年3月にソーシャル・エコロジー・プロジェクト株式会社(現社名:伊豆シャボテンリゾート株式会社、東証スタンダード上場企業)の代表取締役社長に就任。7年ぶりの黒字化に導く。2014年12月に当社前身の株式会社スーツ設立。2016年4月より総務省地域力創造アドバイザー及び内閣官房地域活性化伝道師登録。2019年6月より国土交通省PPPサポーター。2020年10月に大手YouTuberプロダクションの株式会社VAZの代表取締役社長に就任。月次黒字化を実現し上場会社の子会社化を実現。2022年12月に株式会社スーツを新設分割し当社設立と同時に代表取締役社長CEOに就任。