棚卸をエクセルで効率化する方法|関数・テンプレート・作り方を完全解説
「来週の棚卸までにエクセルで使えるシートを完成させたい」「上司から効率化を指示されたが、何から始めればいいかわからない」「今の棚卸表が非効率だと感じているが、具体的な改善方法がわからない」——このような悩みを抱えていませんか?
棚卸作業は、在庫管理の正確性を担保し、企業の利益に直結する重要な業務です。
しかし、手書きとエクセル入力の二重作業、担当者ごとにバラバラなファイル管理、電卓での計算ミスといった問題を放置すると、作業時間の増大だけでなく、棚卸差異の見落としや経営判断の遅れにもつながりかねません。
エクセルを正しく使えば、これらの問題は一気に解決できます!
本記事では、エクセルを使った棚卸効率化のメリットから、8ステップで完成する棚卸表の作り方、コピペで使える必須関数5選、飲食店向けのカスタマイズ方法、さらにはGoogleスプレッドシートとの比較やシステム導入を検討すべきタイミングまで、網羅的に解説します。
すぐにダウンロードして使えるテンプレートの活用法も紹介しています。
目次
エクセルで棚卸を効率化する3つのメリット
棚卸作業の効率化を検討している方にとって、エクセルは最も身近で導入しやすいツールです。
特別なシステムを購入する必要がなく、多くの企業で既に導入されているため、追加コストをかけずに業務改善を始められます。
しかし、「本当にエクセルで効率化できるのか」「どの程度の効果が見込めるのか」という疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
「エクセルなんて使い慣れてるし、わざわざ覚え直す必要ないのが嬉しいですよね」
ここでは、エクセルを使った棚卸効率化によって得られる3つの具体的なメリットを解説します。
これらのメリットを理解することで、導入に向けた動機付けになるだけでなく、上司や経営層への説明材料としても活用できます。
手作業の削減で作業時間を50%短縮
エクセルを活用した棚卸効率化の最大のメリットは、手作業にかかる時間を大幅に削減できる点です。
従来の手書きベースの棚卸では、現場での数量記入、事務所でのデータ入力、電卓による集計という3つの工程が発生し、それぞれに相当な時間を要していました。
- 手書き+エクセル入力:8時間以上
- エクセル直接入力方式:約4時間
中小規模の倉庫や店舗で品目数が300〜500程度の場合、手書きとエクセル入力の二重作業では棚卸に8時間以上かかることも珍しくありません。
しかし、エクセルテンプレートを活用し、現場でタブレットやノートPCから直接入力する方式に切り替えることで、この作業時間を4時間程度まで短縮できるケースが多く報告されています。
「作業時間が半分になるって、かなりインパクト大きいですよね!」
📝 時間短縮の内訳
時間短縮の内訳を詳しく見ると、転記作業の廃止による効果が最も大きいことがわかります。
手書きの棚卸表からエクセルへの転記は、品目あたり平均20〜30秒かかります。
500品目であれば、転記だけで3時間近くを費やしていた計算になります。
エクセルへの直接入力に切り替えれば、この転記時間がゼロになります。
また、集計作業の自動化による効果も見逃せません。
手作業での集計では、カテゴリ別や倉庫別の合計を電卓で計算し、検算を行うという作業が必要でした。
100カテゴリの集計と検算に1時間以上かかることも珍しくありません。
エクセルのSUM関数やSUMIF関数を設定しておけば、データ入力と同時に集計が完了するため、この1時間以上の作業が数秒で済むようになります。
さらに、差異確認の時間も短縮されます。
帳簿在庫と実地在庫の差異を一つひとつ確認する作業は、手作業では品目数に比例して時間がかかります。
エクセルの条件付き書式を使えば、差異のある品目が自動的にハイライト表示されるため、確認すべき品目を瞬時に特定できます。
「年間12回棚卸をする企業なら、1回4時間短縮で年間48時間、つまり6営業日分も浮く計算です」
これらの効果を合計すると、多くの企業で50%前後の時間短縮を実現しています。
年間12回の棚卸を行う企業であれば、1回あたり4時間の短縮で年間48時間、つまり6営業日分の工数を他の業務に充てられるようになります。
この時間は、在庫分析や発注最適化といった付加価値の高い業務に活用できるでしょう。
リアルタイム集計で在庫状況を即座に把握
エクセルを活用した棚卸効率化の2つ目のメリットは、入力したデータが即座に集計結果に反映される点です。
この「リアルタイム集計」の機能は、業務判断のスピードを大きく向上させます。
従来の手書きベースの棚卸では、現場での数量記入が完了してからデータ入力、そして集計という流れで進むため、在庫状況の全体像を把握できるまでに数時間から場合によっては翌日以降までかかることがありました。
この時間差は、特に在庫切れや過剰在庫への対応が遅れる原因となっていました。
「集計を待っている間に欠品が起きてしまった…なんて経験ありませんか?」
- カテゴリ別・倉庫別の在庫総数
- 帳簿在庫との差異
- 在庫金額の自動計算
エクセルでリアルタイム集計の仕組みを構築すると、現場での入力と同時に上記の情報が自動更新されます。
まず、カテゴリ別・倉庫別の在庫総数が瞬時に表示されます。
棚卸作業の途中であっても、入力済みの範囲については正確な集計値を確認できるため、作業の進捗状況と在庫状況を同時に把握できます。
次に、帳簿在庫との差異がリアルタイムで表示されます。
入力した実地在庫が帳簿在庫と異なる場合、その差異が即座に計算され、画面上で確認できます。
差異が大きい品目があれば、その場で再確認や原因調査を行うことができるため、棚卸後の手戻りを防げます。
さらに、在庫金額の自動計算も可能です。
単価マスタと連動させておけば、数量を入力するだけで在庫金額が自動計算されます。
棚卸作業を進めながら、在庫資産の総額をリアルタイムで把握できるため、月次決算や財務報告に必要な数値をすぐに確認できます。
📝 リアルタイム集計が活きる具体的な場面
例えば、棚卸作業中に特定カテゴリの在庫が予想よりも大幅に少ないことが判明したとします。
リアルタイム集計があれば、その場で発注の判断ができます。
従来であれば、棚卸完了後に集計してから気づくため、欠品期間が長引くリスクがありました。
また、複数の担当者で分担して棚卸を行う場合、リアルタイム集計によって作業の偏りを早期に発見できます。
ある担当者の進捗が遅れていれば、他の担当者がサポートに回るといった柔軟な対応が可能になります。
「経営会議がある日でも、棚卸完了直後に確定値を報告できるのは大きなメリットですね」
経営判断の面でも、リアルタイム集計は大きな価値をもたらします。
棚卸当日の夕方に経営会議がある場合、従来であれば「集計中のため確定値は翌日になります」と報告するしかありませんでした。
リアルタイム集計が可能なエクセルシートがあれば、棚卸完了直後に確定値を報告できるため、タイムリーな経営判断につなげられます。
計算ミスゼロで棚卸差異を正確に管理
エクセルを活用した棚卸効率化の3つ目のメリットは、計算ミスを完全に排除し、棚卸差異を正確に管理できる点です。
棚卸差異の管理は在庫管理の要であり、その精度が企業の利益に直結します。
手計算による棚卸では、どれだけ注意深く作業しても一定の割合でミスが発生します。
電卓での計算ミス、転記時の数字の読み間違い、集計時の行の見落としなど、ヒューマンエラーの発生ポイントは複数存在します。
- 計算エラー率:1〜3%程度
- 1,000品目なら10〜30件のエラーが潜在
一般的に、手作業での計算エラー率は1〜3%程度と言われており、1,000品目の棚卸であれば10〜30件程度のエラーが潜在的に含まれている可能性があります。
「知らないうちにエラーが紛れ込んでいるかもしれないって、ちょっと怖いですよね」
エクセルの関数を活用すれば、これらの計算ミスを完全に排除できます。
一度正しく設定した数式は、何度計算しても同じ結果を返します。
「帳簿在庫−実地在庫=差異」という単純な計算でも、手作業では符号の間違いや桁の読み間違いが発生しますが、エクセルでは設定さえ正しければミスは発生しません。
📝 差異管理の精度向上がもたらす効果
まず、不正や盗難の早期発見につながります。
棚卸差異の中には、従業員の不正や外部からの盗難が原因のケースも含まれます。
計算ミスによる「見かけ上の差異」がなくなれば、本当に問題のある差異だけを抽出できるため、原因調査の精度が向上します。
次に、棚卸差異の傾向分析が可能になります。
正確なデータが蓄積されることで、どの商品カテゴリで差異が発生しやすいか、どの時期に差異が増加するかといった傾向を分析できます。
この分析結果をもとに、管理体制の改善や盗難防止策の強化など、根本的な対策を講じることができます。
また、差異調整の時間短縮にも効果があります。
手計算時代は、差異が発生すると「計算ミスではないか」という疑念から再計算を行うことが常態化していました。
エクセルによる自動計算であれば、計算結果を信頼できるため、差異の原因調査にすぐに着手できます。
「監査対応でも、数式を見せるだけで計算ロジックを証明できるのは助かりますね」
さらに、監査対応の効率化も期待できます。
棚卸差異は内部監査や外部監査でチェックされる重要な項目です。
計算過程がエクセルに記録されているため、監査人への説明が容易になります。
手計算の場合は「どのように計算したか」を説明するのに時間がかかりますが、エクセルであれば数式を見せるだけで計算ロジックを証明できます。
計算ミスゼロを実現するためには、最初の設定が正しいことが前提となります。
後述する棚卸表の作り方のセクションで、正確な数式設定の方法を詳しく解説しますので、そちらも併せて参考にしてください。
棚卸が非効率になる原因とエクセルでの解決方法
棚卸作業の効率化を進めるためには、まず現状の何が非効率を生み出しているのかを正確に把握する必要があります。
多くの企業では「棚卸に時間がかかりすぎる」「ミスが多い」といった漠然とした課題意識はあるものの、その根本原因を特定できていないケースが少なくありません。
「なんとなく非効率」のままでは、改善策も曖昧になりがちです。原因を明確にすることが効率化の第一歩ですね。
このセクションでは、棚卸作業が非効率になる代表的な3つの原因と、それぞれをエクセルでどのように解決できるかを具体的に解説します。
自社の棚卸作業に当てはまる原因を特定し、対応策を把握することで、効率化の第一歩を踏み出せるでしょう。
手書き入力の二重作業による時間ロスを自動化で解消
棚卸が非効率になる最も大きな原因の一つが、手書きとデータ入力の二重作業です。
現場で紙の棚卸表に数量を記入し、その後オフィスでエクセルやシステムに転記するという流れは、多くの企業で当たり前のように行われています。
しかし、この二重作業が膨大な時間ロスを生み出しています。
📝 二重作業が発生する背景
現場にPCがない、またはネットワーク環境が整っていないという物理的な制約がある場合があります。
また、「現場では紙の方が使いやすい」という慣習や、「PCだと入力に時間がかかる」という先入観から、あえて紙を選択しているケースもあります。
しかし、この二重作業によって失われる時間を冷静に計算すると、その非効率さは明らかです。
| 項目 | 数値・時間 |
|---|---|
| 1品目あたりの転記時間 | 約20秒 |
| 500品目の転記時間 | 約2時間50分 |
| 確認作業を含めた合計 | 3時間以上 |
3時間以上が「転記」という付加価値を生まない作業に消えているんです。これは大きなムダですよね。
この問題をエクセルで解決する方法は、現場での直接入力環境を整備することです。
具体的には、ノートPCやタブレットを使って現場から直接エクセルに入力する方式に切り替えます。
近年はタブレットの価格も手頃になり、Wi-Fi環境の整備も比較的容易になっているため、導入のハードルは以前よりも大幅に下がっています。
- 商品コードからプルダウン選択できる仕組み
- 商品名が自動表示される仕組み
- オフライン環境でも対応できる運用設計
Wi-Fi環境が不安定な倉庫では、オフラインで入力を進め、ネットワークに接続できる場所に移動してから同期するという運用も可能です。
エクセルファイルはローカルで動作するため、クラウドベースのシステムよりもオフライン対応がしやすいというメリットがあります。
担当者ごとのファイル分散を共有シートで一元管理
棚卸が非効率になる2つ目の原因は、担当者ごとに別々のファイルでデータを管理している状態です。
「Aさんは1階倉庫、Bさんは2階倉庫」というように担当を分けること自体は効率的です。
しかし、それぞれが独自のエクセルファイルを作成・管理していると、集計や分析の段階で大きな非効率が発生します。
📝 ファイル分散による3つの問題点
1. 集計作業の手間が増大:各担当者のファイルを集め、データを一つのシートにコピー&ペーストする作業が必要になります。抜け漏れや重複のリスクも発生します。
2. フォーマットの不統一:列の順序が違う、項目名が微妙に異なる、入力形式が違うといった状況が発生しやすくなります。
3. バージョン管理の混乱:「最新版はどれか」「誰の修正が反映されているか」がわからなくなり、古いデータで集計してしまうミスが発生します。
メールでファイルをやり取りしていると、複数バージョンが乱立して収拾がつかなくなることもありますよね。
この問題をエクセルで解決するには、一つの共有シートで全担当者のデータを管理する仕組みを構築します。
| 方法 | 特徴 |
|---|---|
| ネットワーク共有フォルダ方式 | 同じファイルに複数人がアクセス。共同編集機能で同時編集も可能。入力エリアを担当者ごとに分ける工夫が必要。 |
| 担当者別シート統合方式 | 担当者ごとに入力シートを分け、集計シートで自動集約。同時編集の競合を気にせず運用可能。 |
入力規則を設定して、決められた形式以外のデータが入力できないようにすることも有効です。
一元管理を実現することで、集計作業が自動化され、バージョン管理の問題も解消されます。
棚卸当日の終了時には、すべてのデータが一つのファイルに集約されている状態を作れるため、その場で最終集計を確認することが可能になります。
手計算によるミスを関数の活用で防止
棚卸が非効率になる3つ目の原因は、電卓や暗算による手計算で発生するミスです。
計算ミスそのものによる不正確なデータという問題に加えて、ミスを発見・修正するための検算作業や、ミスへの不安から生じる過剰な確認作業が、大きな時間ロスを生み出しています。
📝 手計算でミスが発生しやすい場面
棚卸差異の計算:数百件の計算を連続して行うと、疲労や集中力の低下によりミスが増加します。
カテゴリ別・倉庫別の集計:電卓で一度でも打ち間違えると最初からやり直しになります。
在庫金額の計算:「数量×単価=金額」を品目数分繰り返すと、一つのミスが全体を狂わせます。
検算として2回計算し、合わなければ3回目…という経験、ありませんか?これが積み重なると膨大な時間になります。
これらの問題をエクセルで解決するには、関数を活用して計算を自動化します。
エクセルの関数は、一度正しく設定すれば、入力データが変わっても常に正確な計算結果を返します。
検算の必要がなくなるため、計算に費やしていた時間を大幅に削減できます。
| 関数 | 解決する課題 |
|---|---|
| SUM関数 | 在庫数量や金額の合計を自動計算。電卓での足し算が不要に。 |
| SUMIF関数 | カテゴリ別・倉庫別など条件指定した集計を自動化。 |
| VLOOKUP関数 | 商品コードから商品名や単価を自動取得。参照ミスを防止。 |
| IF関数 | 差異の有無を自動判定。確認すべき項目を明確化。 |
これらの関数の具体的な使い方は、後述の「棚卸効率化に必須のエクセル関数5選」で詳しく解説します。
関数を活用することで、計算精度の向上と作業時間の短縮を同時に実現できるため、棚卸効率化の中核となる取り組みです。
【実践】エクセルの棚卸表の作り方|8ステップで効率化を実現
ここからは、実際にエクセルで棚卸表を作成する手順を8つのステップに分けて解説します。
エクセルの基本操作ができる方であれば、この手順どおりに進めることで、効率的な棚卸表を完成させることができます。
各ステップで「何を設定するのか」「なぜ必要なのか」を理解しながら進めると、後からのカスタマイズもしやすくなりますよ!
棚卸表の作成は、大きく分けて「準備フェーズ」「入力・計算フェーズ」「運用フェーズ」の3段階で進めます。
| フェーズ | 該当ステップ | 内容 |
|---|---|---|
| 準備フェーズ | ステップ1〜2 | マスタシート・入力シートの作成 |
| 入力・計算フェーズ | ステップ3〜7 | 関数設定・自動計算・集計 |
| 運用フェーズ | ステップ8 | ルール策定・チーム共有 |
それでは、ステップ1から順に見ていきましょう。
ステップ1|商品マスタシートを作成する
棚卸表作成の最初のステップは、商品マスタシートの作成です。
商品マスタとは、棚卸の対象となるすべての商品情報を一元管理するためのシートで、棚卸表全体の基盤となる重要な要素です。
このマスタが正確かつ整理されていれば、以降の作業がスムーズに進みます。
マスタシートをしっかり作っておけば、後の関数設定がとても楽になりますよ!
- 商品コード(必須・VLOOKUP検索キー)
- 商品名(現場で判別しやすい名称)
- カテゴリ(分類用)
- 単位(個・箱・kgなど)
- 単価(在庫金額計算用)
- 保管場所(倉庫・棚の位置)
業種や管理方法によって必要な項目は異なりますが、基本的な項目をベースに、自社に必要な項目を追加してカスタマイズしてください。
📝 各項目の詳細解説
商品コード:各商品を一意に識別するためのコードで、後述するVLOOKUP関数の検索キーとして使用します。JANコードや社内独自の商品番号など、既存のコード体系があればそれを使用します。コード体系がない場合は、この機会に整備することをお勧めします。数字だけでなく、アルファベットを含めても構いません。
商品名:商品の正式名称を入力します。棚卸作業中に商品を識別するために使用するため、現場で判別しやすい名称にすることが重要です。正式名称が長い場合は、略称や通称を併記する列を設けることも検討してください。
カテゴリ:商品を分類するための項目です。「食品」「日用品」「衣料品」といった大分類や、さらに細かい中分類・小分類を設定することで、後からカテゴリ別の集計が可能になります。
単位:商品の数え方を記載します。「個」「箱」「kg」「本」など、商品によって異なる場合は正確に記載しておくことで、入力時の混乱を防げます。
単価:在庫金額を計算するために必要な項目です。仕入単価、売価のどちらを使用するかは、棚卸の目的によって異なります。財務諸表用の棚卸資産評価であれば仕入単価、販売管理目的であれば売価を使用することが一般的です。
保管場所:商品がどの倉庫・棚に保管されているかを示す項目です。「1F-A棚」「2F-B-03」といった形式で、現場の保管場所と対応させます。この項目があることで、棚卸作業の担当割り振りや、場所別の集計が容易になります。
商品マスタシートの具体的な作成手順は以下のとおりです。
エクセルを開き、新しいブックを作成します。シート見出しを右クリックして「名前の変更」を選び、シート名を「商品マスタ」に変更します。
1行目にヘッダーを入力します。A1に「商品コード」、B1に「商品名」、C1に「カテゴリ」、D1に「単位」、E1に「単価」、F1に「保管場所」と入力します。
2行目以降に、棚卸対象となる商品のデータを入力していきます。既存の商品リストがエクセルやCSVで存在する場合は、コピー&ペーストで一括入力が可能です。
「表示」タブから「ウィンドウ枠の固定」を選択し、「先頭行の固定」をクリックします。下にスクロールしてもヘッダーが常に表示されるようになります。
「条件付き書式」機能を使って重複をハイライト表示させると、確認が簡単になります!また、空白行や空白セルがないように注意しましょう。
ステップ2|棚卸入力シートとプルダウンを設定する
ステップ2では、実地棚卸の際に使用する入力シートを作成し、入力ミスを防ぐためのプルダウン設定を行います。
入力シートは現場で直接データを記録するためのシートであり、使いやすさと入力精度を両立させることが重要です。
まず、新しいシートを追加し、シート名を「棚卸入力」に変更します。
- 棚卸日・担当者名(シート上部に配置)
- No.・商品コード・商品名・カテゴリ・単位・単価
- 帳簿在庫・実地在庫・差異・在庫金額・備考
A1セルに「棚卸日:」、B1セルに日付入力エリアを設けます。
A2セルに「担当者:」、B2セルに担当者名を入力します。
4行目以降をデータ入力エリアとして、ヘッダーを設定します。
| セル | 項目名 | 入力方法 |
|---|---|---|
| A4 | No. | 手入力 |
| B4 | 商品コード | プルダウン選択 |
| C4 | 商品名 | 自動取得(VLOOKUP) |
| D4 | カテゴリ | 自動取得(VLOOKUP) |
| E4 | 単位 | 自動取得(VLOOKUP) |
| F4 | 単価 | 自動取得(VLOOKUP) |
| G4 | 帳簿在庫 | 手入力 |
| H4 | 実地在庫 | 手入力 |
| I4 | 差異 | 自動計算 |
| J4 | 在庫金額 | 自動計算 |
| K4 | 備考 | 手入力 |
現場で入力するのは「商品コード」「帳簿在庫」「実地在庫」「備考」の4項目のみ!残りは自動で入力されます。
続いて、商品コード列にプルダウンリストを設定します。
プルダウンを設定することで、商品コードを手入力する必要がなくなり、入力ミスを大幅に削減できます。
B5セル(商品コード入力の最初のセル)を選択します。
「データ」タブをクリックし、「データの入力規則」を選択します。
「入力値の種類」で「リスト」を選びます。
「元の値」欄に、商品マスタの商品コード範囲を指定します。例:=商品マスタ!$A$2:$A$500
「OK」をクリックして設定を完了します。B5セルの右側に▼ボタンが表示されます。
設定後、▼ボタンをクリックすると、商品マスタに登録されている商品コードの一覧がプルダウンで表示されます。
この設定をB列の入力エリア全体にコピーすれば、すべての行でプルダウンが使用できるようになります。
📝 プルダウン設定の応用テクニック
商品数が多い場合の対処法:商品数が数千点に及ぶ場合、プルダウンリストが長くなりすぎて使いにくくなることがあります。その場合は、カテゴリで絞り込んでから商品コードを選択する二段階のプルダウンを設定する方法があります。これはINDIRECT関数を使用した少し高度な設定になりますが、入力効率が大きく向上します。
直接入力も可能にする設定:「データの入力規則」の「エラーメッセージ」タブで、「無効なデータが入力されたらエラーメッセージを表示する」のチェックを外すことで、リストにない値も入力できるようになります。新商品など未登録の商品にも対応できます。
プルダウン設定は地味ですが、棚卸作業の効率と精度を大きく左右する重要なポイントです!
ステップ3|VLOOKUPでマスタ連携を自動化する
ステップ3では、VLOOKUP関数を使って商品マスタと棚卸入力シートを連携させます。
この設定により、商品コードを入力するだけで、商品名、カテゴリ、単位、単価が自動的に表示されるようになります。
VLOOKUP関数は棚卸表づくりの要!ここをマスターすれば、入力作業が格段に楽になりますよ。
VLOOKUP関数は、指定した検索値をもとに、別の範囲から対応する値を取得する関数です。
棚卸表では、「商品コードを検索キーとして、商品マスタから商品情報を取得する」という使い方をします。
=VLOOKUP(検索値, 範囲, 列番号, 検索方法)
| 引数 | 意味 | 棚卸表での例 |
|---|---|---|
| 検索値 | 検索のキーとなる値 | 商品コード(B5セル) |
| 範囲 | 検索対象となるデータ範囲 | 商品マスタ全体 |
| 列番号 | 取得したい値の列位置 | 2=商品名、3=カテゴリ等 |
| 検索方法 | 完全一致はFALSE | FALSE(または0) |
具体的な設定手順を見ていきましょう。
棚卸入力シートのC5セル(商品名の列)に、以下の数式を入力します。
📝 商品名を取得する数式(C5セル)
=VLOOKUP(B5,商品マスタ!$A:$F,2,FALSE)
B5:同じ行のB列(商品コード)を参照
商品マスタ!$A:$F:商品マスタシートのA列からF列全体を参照範囲に指定
2:参照範囲の2列目(商品名)の値を取得
FALSE:商品コードが完全に一致するデータのみを取得
同様に、他の項目も設定します。
| セル | 項目 | 数式 |
|---|---|---|
| D5 | カテゴリ | =VLOOKUP(B5,商品マスタ!$A:$F,3,FALSE) |
| E5 | 単位 | =VLOOKUP(B5,商品マスタ!$A:$F,4,FALSE) |
| F5 | 単価 | =VLOOKUP(B5,商品マスタ!$A:$F,5,FALSE) |
列番号を変えるだけで、取得する項目を切り替えられるのがVLOOKUPの便利なところです!
C5セルの数式を以下のように修正します。
📝 エラー対策済みの数式(C5セル)
=IFERROR(VLOOKUP(B5,商品マスタ!$A:$F,2,FALSE),””)
IFERRORは、第1引数の計算結果がエラーの場合に、第2引数の値を返す関数です。
この例では、VLOOKUPがエラーを返した場合に空白(””)を表示するように設定しています。
同様に、他の列のVLOOKUP数式にもIFERRORを追加しておきましょう。
数式が正しく動作することを確認したら、これらのセルを下方向にコピーします。
入力が想定される行数分(例えば500行)までコピーしておくことで、棚卸作業中に数式を追加する手間が省けます。
- 入力の手間が大幅に削減(商品コードを選ぶだけ)
- データの正確性が向上(タイプミスや参照ミスがなくなる)
ステップ4|帳簿在庫と実地在庫の差異を自動計算する
ステップ4では、帳簿在庫と実地在庫の差異を自動計算する数式を設定します。
差異の把握は棚卸の最も重要な目的の一つであり、この自動計算を設定することで、入力と同時に差異が確認できるようになります。
差異がリアルタイムで表示されるので、その場で再確認ができて便利ですよ!
差異の計算式は非常にシンプルです。
I5セル(差異の列)に以下の数式を入力します。
📝 差異の基本計算式(I5セル)
=H5-G5
実地在庫(H列)から帳簿在庫(G列)を引いた値を計算します。
| 計算結果 | 意味 |
|---|---|
| プラス | 実地在庫が帳簿より多い(在庫過剰) |
| マイナス | 実地在庫が帳簿より少ない(在庫不足・棚卸差異) |
この問題を解決するために、IF関数を組み合わせて、両方の値が入力されている場合のみ差異を表示する数式に修正します。
📝 改良版の差異計算式(I5セル)
=IF(OR(G5=””,H5=””),””,H5-G5)
OR(G5=””,H5=””):G5セルまたはH5セルが空白であるかどうかを判定
IF関数:条件が真(どちらかが空白)の場合は空白を返し、偽(両方に値がある)の場合は差異計算を実行
さらに、在庫金額の計算も設定しましょう。
J5セル(在庫金額の列)に以下の数式を入力します。
📝 在庫金額の計算式(J5セル)
=IF(H5=””,””,H5*F5)
実地在庫が入力されている場合に、実地在庫(H5)と単価(F5)を掛け算して在庫金額を算出します。
実地在庫が未入力の場合は空白を表示します。
差異と在庫金額の数式を、入力想定行数分だけ下方向にコピーします。
これで、データを入力するたびに差異と在庫金額が自動的に計算されるようになりました。
実務では、差異の集計も設定しておくとさらに便利です!
- 差異の合計:=SUM(I5:I504)
- 在庫金額の合計:=SUM(J5:J504)
- 差異がある品目の件数:=COUNTIF(I5:I504,”<>0″)
入力エリアの下(例えばI列の最下部)に差異の合計を表示するセルを設けると、棚卸作業の進行とともに、全体の差異数量がリアルタイムで把握できます。
COUNTIFを使えば、「500品目中、差異があるのは23品目」といった形で、差異の発生状況を数値で把握できます。
ステップ5|条件付き書式で差異をハイライト表示する
ステップ5では、条件付き書式を使って差異のある行を自動的に色付けする設定を行います。
この視覚的な強調により、確認すべき品目を瞬時に識別できるようになり、差異の原因調査や対応の効率が大幅に向上します。
色が付いている行を見つけたら、その場で再確認するという運用ができて便利ですよ!
条件付き書式とは、セルの値が特定の条件を満たす場合に、自動的に書式(背景色、文字色、フォントなど)を変更する機能です。
棚卸表では、「差異がゼロでない行」に色を付けることで、問題のある品目を目立たせます。
条件付き書式を適用する範囲を選択します。棚卸入力シートのA5からK504まで(入力想定範囲全体)を選択します。
「ホーム」タブの「条件付き書式」をクリックし、「新しいルール」を選択します。
「数式を使用して、書式設定するセルを決定」を選びます。
数式欄に =$I5<>0 と入力します。この数式は「I列(差異列)の値が0でない場合」という条件を意味します。
「書式」ボタンをクリックし、背景色を選択します。差異を目立たせるために、薄い赤やオレンジなどの警告色を使用することが一般的です。
「OK」をクリックして設定を完了します。差異がゼロでない行が自動的に着色されます。
さらに便利な条件付き書式の応用例を紹介します。
差異の程度に応じて色を変えることで、より詳細な状況把握が可能になります。
- 差異が10個以上:濃い赤(数式:=$I5>=10)
- 差異が1〜9個:薄い赤(数式:=AND($I5<>0,$I5<10))
- 差異が0:色なし
マイナス差異(在庫不足)とプラス差異(在庫過剰)で色を分けることも有効です!
📝 差異の方向別に色分けする考え方
マイナス差異(在庫不足):商品の紛失や盗難、記録ミスの可能性があり、より深刻な問題を示すことが多いため、赤系の色で強調します。
プラス差異(在庫過剰):入荷記録漏れや返品処理漏れなどが原因のことが多いため、黄色やオレンジで表示するという使い分けができます。
ステップ6|SUMIFで倉庫別・カテゴリ別集計シートを作成
ステップ6では、SUMIF関数を使って倉庫別やカテゴリ別の集計シートを作成します。
この集計シートにより、棚卸結果を多角的に分析でき、報告資料の作成も効率化できます。
まず、新しいシートを追加し、シート名を「集計」に変更します。
このシートでは、棚卸入力シートのデータを条件ごとに自動集計します。
=SUMIF(条件範囲, 条件, 合計範囲)
| 引数 | 意味 | 棚卸表での例 |
|---|---|---|
| 条件範囲 | 条件を判定する対象範囲 | カテゴリ列や保管場所列 |
| 条件 | 集計対象の抽出条件 | 「食品」「倉庫A」など |
| 合計範囲 | 合計を計算する対象範囲 | 実地在庫列や在庫金額列 |
カテゴリ別や倉庫別に集計できると、経営報告用の資料作成がとても楽になりますよ!
カテゴリ別の在庫数量集計を設定する手順を説明します。
集計シートのA1セルに「カテゴリ別集計」と入力し、A2に「カテゴリ」、B2に「在庫数量」、C2に「在庫金額」と入力してヘッダーを作成します。
A3セル以降に、集計したいカテゴリ名を入力します。「食品」「日用品」「衣料品」など、商品マスタで使用しているカテゴリと同じ名称を入力してください。
B3セルに =SUMIF(棚卸入力!$D:$D,A3,棚卸入力!$H:$H) と入力します。
C3セルに =SUMIF(棚卸入力!$D:$D,A3,棚卸入力!$J:$J) と入力します。
これらの数式を、カテゴリの数だけ下方向にコピーします。
📝 在庫数量SUMIF関数の解説
=SUMIF(棚卸入力!$D:$D,A3,棚卸入力!$H:$H)
棚卸入力!$D:$D:棚卸入力シートのD列(カテゴリ列)全体を条件範囲として指定
A3:このセルの左隣にあるカテゴリ名(集計条件)を参照
棚卸入力!$H:$H:棚卸入力シートのH列(実地在庫列)を合計範囲として指定
同様に、倉庫別(保管場所別)の集計も作成できます。
集計シートの別のエリア(例えばE列以降)に「倉庫別集計」のセクションを設け、保管場所ごとの在庫数量と金額を集計します。
さらに高度な集計として、SUMIFS関数を使った複数条件での集計も可能です!
SUMIFS関数は、複数の条件をすべて満たすデータのみを集計する関数です。
=SUMIFS(合計範囲, 条件範囲1, 条件1, 条件範囲2, 条件2, …)
例えば、「倉庫Aの食品カテゴリの在庫数量」を集計する場合は、以下の数式になります。
📝 複数条件での集計例
=SUMIFS(棚卸入力!$H:$H,棚卸入力!$D:$D,”食品”,棚卸入力!$F:$F,”倉庫A”)
カテゴリが「食品」かつ保管場所が「倉庫A」のデータのみを集計します。
この集計シートを活用することで、棚卸結果を様々な切り口で分析できます。
カテゴリ別に在庫金額を比較したり、倉庫別の在庫バランスを確認したりすることで、発注計画や在庫配置の最適化に役立てることができます。
ステップ7|入力規則とエラーチェックで精度を向上
ステップ7では、入力規則とエラーチェック機能を設定して、データ入力の精度を高めます。
どれだけ便利な自動計算を設定しても、元データに誤りがあれば正しい結果は得られません。
入力段階でのミスを防止することが、棚卸表の品質を左右します。
入力規則を設定しておけば、「うっかりミス」を未然に防げますよ!
入力規則の設定から始めましょう。
ステップ2で商品コード列にプルダウンを設定しましたが、他の列にも入力規則を設定することで、さらに精度を高められます。
帳簿在庫列と実地在庫列に数値の入力規則を設定します。G5セルを選択し、「データ」タブの「データの入力規則」を選択します。
「入力値の種類」で「整数」または「小数点数」を選びます(小数点を使用するかどうかは商品特性により判断)。
「最小値」に「0」を設定し、マイナスの値が入力されないようにします。「最大値」は必要に応じて設定します(例:10000)。
「入力時メッセージ」タブで、「タイトル」に「在庫数量入力」、「入力時メッセージ」に「0以上の数値を入力してください」と設定します。
「エラーメッセージ」タブで、「スタイル」を「停止」にすると、規則に違反するデータの入力を完全にブロックできます。
次に、エラーチェック用の仕組みを追加します。
入力データの整合性を確認するためのチェック項目を集計シートに設けます。
- 重複入力チェック
- マスタ未登録チェック
- 入力漏れチェック
📝 重複入力チェックの数式
=IF(SUMPRODUCT((棚卸入力!$B$5:$B504<>””)/COUNTIF(棚卸入力!$B$5:$B504,棚卸入力!$B$5:$B504&””))=COUNTIF(棚卸入力!$B$5:$B$504,”<>”),”重複なし”,”重複あり”)
入力された商品コードに重複があるかどうかを判定します。結果が「重複あり」と表示された場合は、どの商品コードが重複しているかを確認する必要があります。
マスタ未登録の商品コードが入力された場合は、VLOOKUPで商品名が空白になるので、そこで気づくことができます!
📝 入力漏れチェックの数式
=COUNTIF(棚卸入力!$B$5:$B504,”<>”)-COUNTIF(棚卸入力!$H$5:$H504,”<>”)
商品コードは入力されているが実地在庫が空白、といったケースを検出します。
結果が0であれば、商品コードを入力した行にはすべて実地在庫も入力されていることを意味します。
0以外の場合は、入力漏れがある可能性があります。
これらのエラーチェック項目を集計シートにまとめておくことで、棚卸作業の完了時にデータの品質を一目で確認できます。
問題があれば、棚卸作業中に修正できるため、後からの手戻りを防止できます。
| チェック項目 | 正常時の表示 | 異常時の対応 |
|---|---|---|
| 重複入力 | 重複なし | 重複している商品コードを特定して修正 |
| マスタ未登録 | 0件 | 商品マスタに追加または入力ミスを修正 |
| 入力漏れ | 0件 | 実地在庫が未入力の行を特定して入力 |
ステップ8|運用ルールを決めてチーム共有する
ステップ8では、作成した棚卸表をチームで効果的に運用するためのルールを策定し、共有する方法を解説します。
どれだけ優れた棚卸表を作成しても、運用ルールが曖昧だと、担当者ごとに使い方がバラバラになり、データの一貫性が保てなくなります。
ルールをしっかり決めておくことで、誰が作業しても同じ品質のデータが得られるようになりますよ!
まず、ファイル管理のルールを決めます。
棚卸表のファイルをどこに保存し、どのように命名するかを明確にします。
- 保存場所:チーム全員がアクセスできる共有フォルダを指定
- ファイル名:「棚卸表_2024年12月度_v1」のように対象期間とバージョンがわかる命名規則
次に、入力ルールを決めます。
入力の手順や注意事項を文書化し、担当者全員に共有します。
| 項目 | 決めるべき内容 | 例 |
|---|---|---|
| 担当割り振り | 誰がどのエリアを担当するか | Aさん:1階倉庫、Bさん:2階倉庫 |
| 入力タイミング | 現場で即入力 or 後でまとめて入力 | 確認後すぐにタブレットで入力 |
| 確認ルール | セルフチェック or ダブルチェック | 重要棚卸はダブルチェック必須 |
担当が曖昧だと、同じ商品を複数人が入力したり、逆にどちらも入力しなかったりという問題が発生します!
続いて、差異発生時の対応フローを決めます。
差異が発見された場合に誰がどのように対応するかを明確にしておくことで、対応漏れを防止できます。
📝 差異発生時の対応フロー例
初動対応:一定数以上の差異(例えば5個以上)があれば、その場で再カウントする
原因調査:差異が発生した品目、差異数量、推定原因を「差異報告書」に記録する
報告:差異報告書を上長に提出し、対応策を協議する
最後に、これらのルールをマニュアルとしてまとめ、チームに共有します。
マニュアルには、棚卸表の操作手順だけでなく、上記の運用ルールや、よくあるトラブルへの対処法も含めます。
- 棚卸表と同じ共有フォルダに保存
- エクセルファイル内に「操作説明」シートを追加
- 社内Wikiやマニュアル管理ツールに掲載
実際の操作を体験してもらうことで、マニュアルを読むだけでは気づかない疑問点や改善点が見つかることがありますよ!
これで、エクセルを使った棚卸表の作成が完了しました。
8つのステップを順に進めることで、効率的かつ正確な棚卸作業を実現できます。
まずは基本形を作成し、実際の運用を通じて自社に合った形にカスタマイズしていきましょう。
棚卸効率化に必須のエクセル関数5選|コピペで使える
適切な関数を設定するだけで、手計算にかかっていた時間を大幅に削減でき、計算ミスも完全に排除できます。
このセクションでは、棚卸作業で本当に使える関数を5つに厳選して紹介します。
それぞれの関数について、基本的な使い方から棚卸表での具体的な活用方法、そしてコピペですぐに使える数式まで詳しく解説します。
エクセル初心者の方でも、この解説に従って設定すれば、すぐに自動計算の恩恵を受けられるでしょう。
関数を覚えるのが苦手な方も大丈夫!数式はすべてコピペで使えるように用意しています。
VLOOKUP|商品コードから商品名・単価を自動取得
商品コードを入力するだけで、商品マスタから商品名、カテゴリ、単価などの情報を自動的に取得できるため、入力作業の効率化とミス防止に大きく貢献します。
VLOOKUPの基本構文は以下のとおりです。
📝 VLOOKUP基本構文
=VLOOKUP(検索値, 範囲, 列番号, 検索方法)
各引数の詳細を説明します。
検索値には、検索のキーとなる値を指定します。
棚卸表では商品コードが入力されているセルを参照します。
範囲には、検索対象となるデータ範囲を指定します。
商品マスタのデータ範囲全体を指定し、必ず検索値と同じ項目(商品コード)が範囲の最も左の列になるようにします。
列番号には、取得したい値が範囲の何列目にあるかを数字で指定します。
範囲の最も左の列を1列目としてカウントします。
検索方法には、完全一致検索の場合は「FALSE」または「0」を指定します。
棚卸表での具体的な使用例を見ていきましょう。
商品マスタシートが以下のような構成になっているとします。
A列に商品コード、B列に商品名、C列にカテゴリ、D列に単位、E列に単価が入力されている状態です。
商品マスタを別シートに作成しておくと、棚卸表がすっきりして管理しやすくなりますよ。
棚卸入力シートで商品名を自動取得する数式は以下のとおりです。
B5セルに商品コードが入力されている場合、商品名を表示するC5セルに以下の数式を入力します。
📝 商品名を取得する数式
=VLOOKUP(B5,商品マスタ!$A:$E,2,FALSE)
この数式では、B5セルの商品コードを検索値として、商品マスタシートのA列からE列の範囲から、2列目(商品名)の値を取得しています。
$A:$Eのように列だけを固定し、行は固定しないことで、数式を下方向にコピーした際も正しく動作します。
同様に、カテゴリを取得する数式は以下のとおりです。
📝 カテゴリを取得する数式
=VLOOKUP(B5,商品マスタ!$A:$E,3,FALSE)
単価を取得する数式は以下のとおりです。
📝 単価を取得する数式
=VLOOKUP(B5,商品マスタ!$A:$E,5,FALSE)
このエラー表示を防ぐために、IFERROR関数と組み合わせた数式を使用することをお勧めします。
📝 エラー処理付きVLOOKUP
=IFERROR(VLOOKUP(B5,商品マスタ!$A:$E,2,FALSE),””)
この数式では、VLOOKUPがエラーを返した場合(商品コードが未入力、またはマスタに存在しない場合)に、空白を表示します。
エラー時に「未登録」などの文字列を表示したい場合は、””の部分を”未登録”に変更してください。
Excel 2019以降を使用している場合は、後継関数のXLOOKUPも検討してみてください。より柔軟な検索が可能です。
また、Excel 2019以降のバージョンを使用している場合は、VLOOKUPの後継関数であるXLOOKUPも活用できます。
XLOOKUPは検索列が範囲の左端になくても使用でき、より柔軟な検索が可能です。
ただし、旧バージョンのExcelでは使用できないため、ファイルを共有する相手の環境を考慮して選択してください。
SUMIF|カテゴリ別・倉庫別の在庫数を一発集計
棚卸表では、カテゴリ別、倉庫別、担当者別などの条件で在庫数量や在庫金額を集計する際に活用します。
SUMIFの基本構文は以下のとおりです。
📝 SUMIF基本構文
=SUMIF(条件範囲, 条件, 合計範囲)
各引数の詳細を説明します。
条件範囲には、条件を判定する対象となるセル範囲を指定します。
条件には、集計対象を抽出するための条件を指定します。
文字列の場合はダブルクォーテーションで囲みます。
合計範囲には、合計を計算する対象となるセル範囲を指定します。
カテゴリ別の在庫数量を集計する具体例を見ていきましょう。
棚卸入力シートのD列にカテゴリ、H列に実地在庫が入力されているとします。
「食品」カテゴリの在庫合計を計算する数式は以下のとおりです。
📝 カテゴリ別集計の数式
=SUMIF(棚卸入力!$D:$D,”食品”,棚卸入力!$H:$H)
この数式では、D列の値が「食品」である行のH列の値をすべて合計しています。
条件をセル参照にすると、複数カテゴリの集計表を効率的に作成できます!
集計シートで複数のカテゴリを一覧形式で集計する場合は、条件をセル参照にすると効率的です。
集計シートのA3セルにカテゴリ名「食品」を入力し、B3セルに以下の数式を入力します。
📝 セル参照を使った集計数式
=SUMIF(棚卸入力!$D:$D,A3,棚卸入力!$H:$H)
この数式を下方向にコピーすれば、各行のA列に入力したカテゴリに対応する在庫合計が自動的に計算されます。
倉庫別の集計も同様の方法で行えます。
棚卸入力シートにF列に保管場所が入力されている場合、「倉庫A」の在庫合計を計算する数式は以下のとおりです。
📝 倉庫別集計の数式
=SUMIF(棚卸入力!$F:$F,”倉庫A”,棚卸入力!$H:$H)
例えば、「倉庫Aの食品カテゴリ」の在庫合計を計算する数式は以下のとおりです。
📝 複数条件での集計(SUMIFS)
=SUMIFS(棚卸入力!$H:$H,棚卸入力!$D:$D,”食品”,棚卸入力!$F:$F,”倉庫A”)
SUMIFSでは、合計範囲を最初の引数として指定し、その後に条件範囲と条件のペアを複数指定できます。
在庫金額の集計も同様に行えます。
J列に在庫金額が入力されている場合、カテゴリ別の在庫金額合計は以下の数式で計算できます。
📝 在庫金額の集計数式
=SUMIF(棚卸入力!$D:$D,A3,棚卸入力!$J:$J)
SUMIFを活用することで、棚卸データを様々な切り口で集計し、分析することが可能になります。
集計結果は入力データの変更に連動して自動更新されるため、棚卸作業中でもリアルタイムに状況を把握できます。
COUNTIF|在庫切れ・過剰在庫を自動カウント
棚卸表では、在庫切れ(在庫数ゼロ)の品目数、過剰在庫の品目数、差異が発生している品目数などを自動的にカウントする際に活用します。
COUNTIFの基本構文は以下のとおりです。
📝 COUNTIF基本構文
=COUNTIF(範囲, 条件)
各引数の詳細を説明します。
範囲には、カウント対象となるセル範囲を指定します。
条件には、カウントする基準となる条件を指定します。
数値の比較や文字列の一致など、様々な条件を指定できます。
在庫切れ(実地在庫がゼロ)の品目数をカウントする数式は以下のとおりです。
📝 在庫切れカウントの数式
=COUNTIF(棚卸入力!$H:$H,0)
この数式では、H列(実地在庫)の値が0であるセルの数をカウントしています。
在庫切れの品目数がひと目でわかるので、発注の優先順位付けにも役立ちます!
在庫切れではなく、在庫数が一定数以下の品目をカウントしたい場合は、比較演算子を使用します。
例えば、在庫数が10以下の品目数をカウントする数式は以下のとおりです。
📝 在庫少数カウントの数式
=COUNTIF(棚卸入力!$H:$H,”<=10″)
- =(等しい)
- <>(等しくない)
- >(より大きい)、>=(以上)
- <(より小さい)、<=(以下)
過剰在庫の品目数をカウントする場合は、在庫数が一定数以上の品目をカウントします。
例えば、在庫数が100以上の品目数をカウントする数式は以下のとおりです。
📝 過剰在庫カウントの数式
=COUNTIF(棚卸入力!$H:$H,”>=100″)
差異が発生している品目数をカウントする数式も重要です。
差異列(I列)の値がゼロでない(つまり差異がある)品目をカウントする数式は以下のとおりです。
📝 差異発生カウントの数式
=COUNTIF(棚卸入力!$I:$I,”<>0″)
この数式では、「<>」演算子を使用して「0と等しくない」という条件を指定しています。
プラス差異とマイナス差異を別々にカウントしたい場合は、以下の数式を使用します。
| 差異の種類 | 数式 |
|---|---|
| プラス差異(在庫過剰) | =COUNTIF(棚卸入力!$I:$I,”>0″) |
| マイナス差異(在庫不足) | =COUNTIF(棚卸入力!$I:$I,”<0″) |
例えば、「食品カテゴリで在庫切れの品目数」をカウントする数式は以下のとおりです。
📝 複数条件でのカウント(COUNTIFS)
=COUNTIFS(棚卸入力!$D:$D,”食品”,棚卸入力!$H:$H,0)
これらのCOUNTIF数式を集計シートにまとめておくことで、棚卸結果のサマリーを自動生成できます。
「在庫切れ品目数:15件」「差異発生品目数:8件」といった情報が一目で把握でき、棚卸後の報告や分析に役立ちます。
IF+IFERROR|差異判定とエラー処理を自動化
棚卸表では、差異の有無を判定して表示内容を切り替えたり、計算エラーを適切に処理したりする際に活用します。
これらの関数を組み合わせることで、より堅牢で使いやすい棚卸表を作成できます。
IF関数の基本構文は以下のとおりです。
📝 IF関数基本構文
=IF(条件, 真の場合の値, 偽の場合の値)
各引数の詳細を説明します。
条件には、真偽を判定する条件式を指定します。
真の場合の値には、条件が真(TRUE)のときに返す値を指定します。
偽の場合の値には、条件が偽(FALSE)のときに返す値を指定します。
差異の有無を判定して表示する数式の例を見ていきましょう。
差異がある場合は「要確認」、差異がない場合は「OK」と表示する数式は以下のとおりです。
📝 差異判定の数式
=IF(I5<>0,”要確認”,”OK”)
この数式では、I5セル(差異列)の値が0でない場合に「要確認」、0の場合に「OK」を表示します。
視覚的にわかりやすくするために、条件付き書式と組み合わせて「要確認」の行を赤くハイライトするのもおすすめです。
差異の程度に応じて複数の判定を行いたい場合は、IF関数をネスト(入れ子に)します。
例えば、差異が10以上なら「重大」、差異が1以上10未満なら「軽微」、差異が0なら「正常」と表示する数式は以下のとおりです。
📝 複数条件での判定(ネストIF)
=IF(ABS(I5)>=10,”重大”,IF(ABS(I5)>=1,”軽微”,”正常”))
ABS関数は絶対値を返す関数で、プラスの差異もマイナスの差異も同様に判定するために使用しています。
IFERROR関数の基本構文は以下のとおりです。
📝 IFERROR関数基本構文
=IFERROR(値, エラーの場合の値)
各引数の詳細を説明します。
値には、エラーが発生する可能性のある計算式を指定します。
エラーの場合の値には、計算結果がエラーのときに返す値を指定します。
VLOOKUP関数のエラー処理に使用する例は前述しましたが、その他の活用例も紹介します。
在庫金額の計算で、単価が未設定(空白またはゼロ)の場合にエラーを防ぐ数式は以下のとおりです。
📝 単価未設定時のエラー処理
=IFERROR(H5*F5,”単価未設定”)
この数式では、H5(実地在庫)とF5(単価)の掛け算でエラーが発生した場合に「単価未設定」と表示します。
帳簿在庫と実地在庫が両方入力されている場合のみ差異を計算し、それ以外はエラーを返さず空白にする数式は以下のとおりです。
📝 IF+IFERRORの組み合わせ
=IF(OR(G5=””,H5=””),””,IFERROR(H5-G5,”計算エラー”))
この数式では、まずIF関数でG5(帳簿在庫)またはH5(実地在庫)が空白かどうかを判定し、空白の場合は空白を返します。
両方に値がある場合は差異計算を行い、万が一計算エラーが発生した場合は「計算エラー」と表示します。
差異率の計算は特にゼロ除算エラーが発生しやすいので、IFERRORでの対策が必須です!
差異率を計算する際のエラー処理も重要です。
差異率(差異÷帳簿在庫×100)を計算する際、帳簿在庫がゼロだとゼロ除算エラー(#DIV/0!)が発生します。
このエラーを防ぐ数式は以下のとおりです。
📝 差異率計算のエラー処理
=IFERROR(I5/G5*100,”-“)
帳簿在庫がゼロの場合は差異率を計算できないため、「-」を表示するようにしています。
【保存版】棚卸関数一覧と使用場面早見表
この早見表を参考に、自社の棚卸表に必要な関数を選んで設定してください。
この表はブックマークしておくと、いつでも確認できて便利ですよ!
まず、データ検索・参照に使用する関数を紹介します。
| 関数名 | 用途 | 数式例 |
|---|---|---|
| VLOOKUP | 商品コードから商品名や単価を取得 | =VLOOKUP(B5,商品マスタ!A:E,2,FALSE) |
| XLOOKUP | より柔軟な検索(Excel 2019以降) | 検索列が左端でなくても使用可能 |
| INDEX+MATCH | 複雑な検索条件に対応 | VLOOKUPで対応できないケースで使用 |
次に、集計・合計に使用する関数を紹介します。
| 関数名 | 用途 | 数式例 |
|---|---|---|
| SUM | 指定範囲の合計を計算 | =SUM(H5:H500) |
| SUMIF | 条件付き合計(カテゴリ別等) | =SUMIF(D:D,”食品”,H:H) |
| SUMIFS | 複数条件での合計計算 | 「倉庫Aの食品」等の複合条件 |
カウント・件数集計に使用する関数は以下のとおりです。
| 関数名 | 用途 | 数式例 |
|---|---|---|
| COUNT | 数値が入力されているセルの数 | 入力済み行数の確認 |
| COUNTA | 空白でないセルの数 | データ件数の確認 |
| COUNTIF | 条件に一致するセルの数 | =COUNTIF(I:I,”<>0″) |
| COUNTIFS | 複数条件でのカウント | 「食品で在庫切れ」等 |
条件分岐・エラー処理に使用する関数は以下のとおりです。
| 関数名 | 用途 | 数式例 |
|---|---|---|
| IF | 条件に応じて表示内容を切替 | =IF(I5<>0,”要確認”,”OK”) |
| IFERROR | エラー発生時の表示内容を指定 | =IFERROR(VLOOKUP(…),””) |
| IFS | 複数条件の分岐(Excel 2016以降) | ネストIFより簡潔に記述可能 |
計算・数値処理に使用する関数は以下のとおりです。
| 関数名 | 用途 |
|---|---|
| ABS | 絶対値を返す(差異の大きさ評価) |
| ROUND | 指定桁数で四捨五入(金額計算の端数処理) |
| ROUNDDOWN | 切り捨て |
| ROUNDUP | 切り上げ |
日付・時刻に関する関数は以下のとおりです。
| 関数名 | 用途 | 数式例 |
|---|---|---|
| TODAY | 今日の日付を返す | =TODAY() |
| DATEDIF | 日付間の期間を計算 | 在庫の滞留日数計算 |
テキスト処理に使用する関数は以下のとおりです。
| 関数名 | 用途 |
|---|---|
| CONCATENATE(または&) | 文字列を結合(商品コードと商品名の連結表示等) |
| LEFT | 文字列の左から指定文字数を抽出(コードの先頭部分でのカテゴリ判定等) |
最初からすべて使いこなす必要はありません。まずはVLOOKUP、SUMIF、COUNTIFの3つから始めましょう!
これらの関数を目的に応じて適切に組み合わせることで、高機能な棚卸表を作成できます。
最初からすべての関数を使用する必要はありません。
まずは基本的なVLOOKUP、SUMIF、COUNTIFから始めて、必要に応じて他の関数を追加していくアプローチが効果的です。
棚卸効率化のエクセルテンプレート
ここまで解説してきた棚卸表の作成手順や関数を、一から自分で設定するのは時間がかかります。
そこで、すぐに使えるテンプレートを活用することで、作業時間を大幅に短縮できます。
「関数の設定が面倒…」という方は、テンプレートを使えばすぐに棚卸を始められますよ!
このセクションでは、棚卸効率化のためのエクセルテンプレートの構成と使い方、そして自社の業務に合わせてカスタマイズする際のポイントを解説します。
テンプレートを上手に活用することで、棚卸表の作成にかかる時間を最小限に抑え、本来の業務である棚卸作業そのものに集中できるようになります。
テンプレートの構成(マスタ・入力・集計シート)と使い方
効率的な棚卸表テンプレートは、3つのシートで構成されるのが基本です。
それぞれのシートが明確な役割を持ち、連携して機能することで、入力から集計までをスムーズに行えます。
📝 シート1:商品マスタシート
1つ目のシートは商品マスタシートです。
このシートには、棚卸対象となるすべての商品情報を登録します。
含まれる項目は、商品コード、商品名、カテゴリ、単位、単価、保管場所などです。
このシートのデータが棚卸表全体の基盤となるため、正確性と網羅性が重要です。
- 棚卸開始前にマスタデータが最新か確認
- 新商品の追加漏れ・廃番商品の削除漏れをチェック
- 商品コードの重複がないことを確認
📝 シート2:棚卸入力シート
2つ目のシートは棚卸入力シートです。
このシートは、実地棚卸の際にデータを入力するメインのシートです。
商品コードをプルダウンから選択または入力すると、商品名や単価がマスタから自動取得されます。
帳簿在庫と実地在庫を入力すると、差異と在庫金額が自動計算されます。
| 列 | 項目名 | 入力方法 |
|---|---|---|
| A列 | No.(連番) | 自動 |
| B列 | 商品コード | 入力/プルダウン |
| C列 | 商品名 | 自動取得 |
| D列 | カテゴリ | 自動取得 |
| E列 | 単位 | 自動取得 |
| F列 | 単価 | 自動取得 |
| G列 | 帳簿在庫 | 入力 |
| H列 | 実地在庫 | 入力 |
| I列 | 差異 | 自動計算 |
| J列 | 在庫金額 | 自動計算 |
| K列 | 備考 | 入力 |
シート上部の棚卸日と担当者名を入力します。
棚卸対象の商品コードをB列に入力またはプルダウンから選択します。
商品名から単価までが自動表示されることを確認します。
帳簿在庫の数値をG列に入力します。
実地棚卸で確認した数量をH列に入力します。
差異と在庫金額が自動計算されます。必要に応じて備考欄にメモを入力します。
📝 シート3:集計シート
3つ目のシートは集計シートです。
このシートでは、入力シートのデータを様々な切り口で自動集計します。
カテゴリ別、倉庫別の在庫数量と金額、在庫切れ品目数、差異発生品目数などが表示されます。
- 全体サマリー:総品目数、入力済み品目数、在庫総数量、在庫総金額、差異発生品目数、在庫切れ品目数
- カテゴリ別集計:カテゴリごとの在庫数量と金額の一覧
- 倉庫別集計:保管場所ごとの在庫数量と金額
- 差異リスト:差異が発生している品目の一覧(抽出表示)
集計シートのデータは入力シートと連動しているので、棚卸作業中でも進捗状況をリアルタイムで確認できます!
テンプレートを使い始める際の初期設定として、商品マスタシートに自社の商品データをインポートする作業が必要です。
既存の商品リストがエクセルやCSVで存在する場合は、コピー&ペーストで一括登録できます。
その際、列の順序がテンプレートの形式と一致しているか確認してください。
自社用カスタマイズの3つのポイント
テンプレートはそのまま使用することも可能ですが、自社の業務に合わせてカスタマイズすることで、より使いやすく効果的な棚卸表になります。
ここでは、カスタマイズの際に押さえるべき3つのポイントを解説します。
📝 ポイント1:項目の追加と削除による最適化
テンプレートに含まれる項目が自社の業務に合わない場合は、項目を追加または削除してカスタマイズします。
| 追加する項目例 | 対象業種・ケース |
|---|---|
| ロット番号・製造日 | ロット管理が必要な業種 |
| 仕入先コード・仕入先名 | 仕入先別に在庫を管理したい場合 |
| 換算単位・換算係数 | 複数単位で管理する場合(ケースとバラ等) |
| シリアル番号 | 高額商品のシリアル番号管理が必要な場合 |
| 削除する項目例 | 対象業種・ケース |
|---|---|
| 保管場所列 | 単一倉庫で保管場所の区分が不要な場合 |
| カテゴリ列 | シンプルな在庫構成でカテゴリ分類が不要な場合 |
| 単価列・在庫金額列 | 金額管理が不要で数量のみを管理する場合 |
📝 ポイント2:プルダウンリストと入力規則の調整
テンプレートのプルダウンリストや入力規則を自社の運用に合わせて調整することで、入力効率と精度を向上させられます。
- カテゴリのプルダウンリスト:自社のカテゴリ体系に合わせて変更
- 数値入力の範囲制限:在庫規模に合わせた最大値の設定
- 入力必須項目の設定:商品コードと実地在庫の必須化
- 日付形式の統一:棚卸日の入力形式を統一
日付形式がバラバラだと後の集計や分析に支障をきたすので、入力規則で統一しておくと安心です!
📝 ポイント3:集計項目と分析軸の拡張
テンプレートの集計シートをカスタマイズして、自社の分析ニーズに合った集計項目を追加します。
| 追加する集計項目 | 活用方法 |
|---|---|
| 月次比較の集計 | 前月との比較で在庫の増減傾向を把握し、発注計画の最適化に活用 |
| ABC分析用の集計 | 在庫金額順にA・B・Cランク付けし、重点管理すべき商品を特定 |
| 回転率計算の集計 | 販売データと連携して滞留在庫の特定や適正在庫水準の検討に活用 |
| 差異分析の詳細化 | 差異の大きさや種類で分類し、原因別に集計 |
まずは標準のテンプレートで一度運用してみて、必要な項目が明確になってから段階的にカスタマイズするのがおすすめです!
カスタマイズを行う際は、まず標準のテンプレートで一度運用してみることをお勧めします。
実際に使ってみることで、自社に必要な項目や不要な項目が明確になります。
その後、段階的にカスタマイズを加えていくアプローチが、失敗のリスクを抑えながら最適化を進める効果的な方法です。
エクセル vs スプレッドシート|棚卸効率化に最適なツールは?
棚卸表をエクセルで作成するか、スプレッドシートで作成するかは、多くの企業が直面する選択です。
どちらも表計算ツールとしての基本機能は備えていますが、共同編集やリアルタイム性、オフライン利用など、実務上重要な点でいくつかの違いがあります。
「結局どっちを使えばいいの?」と迷っている方も多いのではないでしょうか
このセクションでは、エクセルとスプレッドシートの機能比較を行い、自社の棚卸管理にどちらが適しているかを判断するための材料を提供します。
それぞれの強みと弱みを理解した上で、最適なツールを選択してください。
共同編集とリアルタイム性の比較
複数の担当者で棚卸作業を分担する場合、共同編集機能とリアルタイム性は重要な検討ポイントになります。
この点において、エクセルとスプレッドシートには明確な違いがあります。
📝 スプレッドシートの強み
スプレッドシートの最大の強みは、リアルタイム共同編集機能です。
複数のユーザーが同時に同じファイルを開いて編集しても、各自の変更がリアルタイムで反映されます。
Aさんが1階倉庫の在庫数を入力している間に、Bさんが2階倉庫の在庫数を入力する、といった同時作業が自然に行えます。
編集中のセルには他のユーザーのカーソルが表示されるため、誰がどこを編集しているかも一目でわかります。
また、スプレッドシートはクラウドベースのため、インターネット接続があればどこからでもアクセスできます。
本社と支店、倉庫と事務所など、離れた場所にいる担当者が同時に作業することが可能です。
棚卸結果の集計も、各担当者の入力がリアルタイムで反映されるため、作業完了を待たずに進捗状況を確認できます。
複数拠点で同時に棚卸を行う場合、本部でリアルタイムに進捗を把握できるのは大きなメリットですね
📝 エクセルの共同編集機能
一方、エクセルにも共同編集機能がありますが、その挙動はスプレッドシートとは異なります。
Microsoft 365(旧Office 365)のサブスクリプションを利用し、ファイルをOneDriveまたはSharePointに保存している場合は、ブラウザ版のExcel Onlineやデスクトップアプリのエクセルで共同編集が可能です。
ただし、リアルタイム性はスプレッドシートほど高くなく、変更の反映に若干のタイムラグが発生することがあります。
この場合、担当者ごとに別ファイルで作業し、後から一つに統合する運用が必要になります。
| ツールが適しているケース | Googleスプレッドシート | エクセル |
|---|---|---|
| 複数拠点での同時棚卸 | ◎ 本部でリアルタイム進捗監視可能 | △ Microsoft 365環境なら対応可 |
| 担当者間のファイルやり取り削減 | ◎ クラウド上で完結 | ○ OneDrive/SharePoint利用時 |
| 既存マクロ・VBAとの連携 | × 非対応 | ◎ そのまま活用可能 |
| 高度な関数・ピボットテーブル | ○ 基本機能は対応 | ◎ 高度な分析に強い |
リアルタイム性については、棚卸作業の規模と頻度を考慮して判断することが重要です。
年に数回の棚卸で、担当者が順番に作業する運用であれば、リアルタイム共同編集の重要性は低くなります。
一方、日次や週次で棚卸を行い、複数担当者が同時に作業する運用であれば、スプレッドシートのリアルタイム性が大きなメリットになります。
関数互換性とオフライン利用の比較
関数の互換性とオフライン環境での利用可否も、ツール選択において重要な検討ポイントです。
特に、既存のエクセルファイルを活用したい場合や、インターネット環境が不安定な場所で作業する場合には、この点を十分に確認する必要があります。
📝 関数の互換性について
エクセルとスプレッドシートは、多くの基本関数で互換性があります。
本記事で紹介したVLOOKUP、SUMIF、COUNTIF、IF、IFERRORなどの関数は、どちらのツールでも同じ構文で使用できます。
そのため、棚卸表で一般的に使用する関数については、ツール間の移行も比較的容易です。
- XLOOKUP:Excel 2019以降で追加。スプレッドシートでも2022年に対応
- マクロ(VBA):エクセル専用。スプレッドシートでは動作しない
- GOOGLEFINANCE・IMPORTRANGE:スプレッドシート専用の関数
既存のエクセルファイルでマクロを多用している場合は、移行前に必ず動作確認を行いましょう
既存のエクセルファイルをスプレッドシートにインポートする場合、ほとんどの関数やフォーマットは維持されます。
ただし、複雑な条件付き書式やピボットテーブル、マクロを使用している場合は、インポート後に動作確認を行い、必要に応じて修正することをお勧めします。
📝 オフライン利用について
エクセルは、デスクトップアプリケーションとしてパソコンにインストールされているため、インターネット接続がなくても完全に動作します。
倉庫や店舗の奥など、Wi-Fi環境が不安定な場所でも問題なく使用できます。
作業完了後にネットワーク接続可能な場所に移動してファイルを共有する、という運用が可能です。
スプレッドシートは基本的にクラウドベースのため、オンライン環境での使用が前提となります。
ただし、Chrome拡張機能の「Googleオフラインドキュメント」を有効にすることで、オフラインでの編集も可能になります。
オフライン時に行った編集は、オンラインに復帰した際に自動的に同期されます。
オフライン機能はGoogle Chromeでのみ利用可能です
Googleドライブにアクセスし、設定から「オフライン」をオンにします
オフラインで編集したいファイルは事前に開くか、「オフラインで使用可能にする」設定を有効にします
| 比較項目 | エクセル | スプレッドシート |
|---|---|---|
| 共同編集・リアルタイム性 | △ Microsoft 365環境で対応 | ◎ 標準機能で対応 |
| オフライン利用 | ◎ 標準で完全対応 | ○ 設定が必要 |
| 高度な機能 | ◎ マクロ・高度な分析に強い | ○ 基本機能は充実 |
| 関数の互換性 | 基本関数は互換性あり(一部専用関数あり) | |
どちらか一方に決めず、用途に応じて使い分けるという選択肢もありますよ
両ツールの比較をまとめると、共同編集とリアルタイム性ではスプレッドシートが優位であり、オフライン利用と高度な機能ではエクセルが優位といえます。
関数の基本的な互換性は高いため、現在の運用環境と将来の拡張性を考慮して選択することをお勧めします。
両方のツールを併用し、用途に応じて使い分けるという選択肢もあります。
まとめ|今すぐ始める棚卸効率化のエクセル活用法
ここまで、エクセルを活用した棚卸効率化について、メリットから具体的な作成手順、関数の使い方、業種別のカスタマイズ、そしてツール比較やシステム移行の判断基準まで幅広く解説してきました。
手作業の削減、リアルタイム集計、計算ミスの排除という3つのメリットは、どの企業にとっても大きな価値がありますよね!
このセクションでは、記事全体の内容を振り返りながら、今日から実践できる具体的なアクションと、さらなる効率化に向けた情報を整理します。
今日実行すべき3つのアクション
記事を読んで「棚卸を効率化したい」と感じていただけたなら、まずは以下の3つのアクションから始めてください。
これらは優先順位の高い順に並べており、一つずつ確実に実行することで、着実に効率化を進められます。
📝 アクション①:現状の棚卸作業の課題を洗い出す
効率化を成功させるためには、まず現状の問題点を正確に把握することが重要です。
「なんとなく非効率」ではなく、具体的にどこで時間がかかっているのか、どこでミスが発生しているのかを明確にします。
課題の洗い出しには、以下の質問に答える形で整理してみてください!
- 現在の棚卸にかかる総時間はどれくらいか
- 転記作業・集計作業・差異確認にそれぞれ何時間かかっているか
- 計算ミスや入力ミスはどの程度発生しているか
- ミスが発覚した場合の手戻り時間はどれくらいか
- 複数担当者でのファイル管理に問題はないか
- 最新版がどれかわからなくなることはないか
📝 アクション②:商品マスタを整備する
棚卸表の効率化において、商品マスタは最も重要な基盤です。
マスタデータが整っていなければ、どれだけ関数を設定しても効果を発揮できません。
- すべての棚卸対象商品が漏れなく登録されているか確認
- 商品コードに重複がないか確認・統一
- 商品名・カテゴリ・単位・単価の基本情報を正確に入力
- 不要な商品(廃番など)は削除または別管理
マスタ整備は地道な作業ですが、一度しっかり整備すれば、その後の棚卸作業が格段に楽になりますよ!
マスタ整備に1日かけても、その後の棚卸で毎回1時間短縮できれば、すぐに元が取れます。
📝 アクション③:基本関数を設定した棚卸表を作成する
課題の洗い出しとマスタ整備が完了したら、実際に棚卸表を作成します。
本記事で解説した8ステップの手順に従って、まずは基本的な機能を備えた棚卸表を完成させてください。
- 商品コードからの商品名自動取得(VLOOKUP)
- 差異の自動計算
- 在庫金額の自動計算
- カテゴリ別集計(SUMIF)
最初の棚卸表作成にかける時間の目安は、エクセルの基本操作ができる方で2〜3時間程度です!
本記事の手順どおりに進めれば、初めての方でも完成させることができます。
一度作成した棚卸表は、テンプレートとして繰り返し使用できるため、作成にかけた時間は確実に回収できます。
さらなる効率化のための関連情報
基本的な棚卸表が運用軌道に乗ったら、さらなる効率化に向けて取り組める領域がいくつかあります。
ここでは、次のステップとして検討すべき情報とリソースを紹介します。
📝 エクセルスキルの向上
本記事で紹介した関数以外にも、棚卸業務で活用できるエクセル機能は多数あります。
| 機能 | 活用メリット |
|---|---|
| ピボットテーブル | カテゴリ別・倉庫別・月別など、複数の軸を組み合わせた分析がドラッグ&ドロップで簡単に行える |
| マクロ(VBA) | 「前月ファイルから帳簿在庫をコピー」「報告用シートを自動生成」などの繰り返し作業を自動化できる |
| Power Query | 会計システムや販売管理システムから出力したCSVファイルを、毎回同じ形式で加工して取り込める |
マクロ(VBA)はプログラミングの知識が必要ですが、習得すれば大きな効果が得られますよ!
📝 業務全体の見直し
棚卸表の効率化は、在庫管理業務全体の見直しの入り口になります。
| 連携・見直し項目 | 期待できる効果 |
|---|---|
| 発注業務との連携 | 棚卸結果から「発注が必要な商品リスト」を自動生成し、適正在庫の維持や欠品防止を実現 |
| 販売データとの連携 | 在庫回転率や滞留在庫の分析が可能になり、売れ筋・死に筋商品を特定して仕入計画を最適化 |
| 棚卸頻度の見直し | 年1回から月1回に増やすことで、在庫精度が向上し差異の早期発見が可能に |
エクセルでの棚卸が効率化されれば、棚卸の頻度を上げることも現実的になりますね!
📝 システム導入の検討
事業規模の拡大や業務の複雑化に伴い、エクセルでの管理に限界を感じる場面が出てくる可能性があります。
- 品目数1,000超でファイルが重くなった時
- 複数拠点でリアルタイム共有が必要になった時
- バーコード・QRコード連携が必須になった時
| システムタイプ | 特徴 |
|---|---|
| クラウド型 | 初期費用が抑えられ、導入が容易 |
| オンプレミス型 | カスタマイズ性が高く、大規模な運用に向いている |
自社の規模や要件に合わせて選択することが重要です。
本記事で紹介した方法を実践しながら、自社の業務に合った形にカスタマイズし、少しずつ精度と効率を高めていってください。
エクセルは柔軟性の高いツールであり、工夫次第で様々な業務改善に活用できます。
まずは今日から、できることから始めてみてください!
株式会社スーツ 代表取締役社長CEO
2013年3月に、新卒で入社したソーシャル・エコロジー・プロジェクト株式会社(現社名:伊豆シャボテンリゾート株式会社、東証スタンダード上場企業)の代表取締役社長に就任。同社グループを7年ぶりの黒字化に導く。2014年12月に株式会社スーツ設立と同時に代表取締役に就任。2016年4月より総務省地域力創造アドバイザー及び内閣官房地域活性化伝道師。2019年6月より国土交通省PPPサポーター。2020年10月にYouTuber事務所の株式会社VAZの代表取締役社長に就任。月次黒字化を実現し、2022年1月に上場企業の子会社化を実現。2022年12月にスーツ社を新設分割し同社を商号変更、新たに株式会社スーツ設立と同時に代表取締役社長CEOに就任。
現在、スーツ社では、チームのタスク管理ツール「スーツアップ」の開発・運営を行い、中小企業から大企業のチームまで、日本社会全体の労働生産性の向上を目指している。