1on1のやり方|準備・当日30分の進め方・質問例と失敗しないコツ
1on1のやり方は、①事前準備→②当日30分の対話→③事後フォローという3段階で進めると、はじめて担当する上司でも形になります。
押さえるべき原則は3つだけです。
評価面談と切り離すこと、主役は部下で上司は聴き役に回ること、最後に「次の一歩」を決めて次回に確認すること。
本記事では、この3段階の具体的な手順に加えて、話すテーマと質問例、上司が身につけたいスキル、形骸化などのよくある失敗と対策、そのまま使える記録シートまで、チームのマネジメントを支える立場から整理しました。
目次
【全体像】1on1のやり方|準備・当日・事後の3段階

1on1は、事前準備・当日の対話・事後フォローの3ステップを意識するだけで、ぐっと実りある時間になります。
多くの人が「当日に何を話すか」ばかりを気にしますが、実際に成果を分けるのは前後の準備とフォロー。
まず1on1がどんな場なのかを確認し、全体の流れをつかんでから各ステップに入りましょう。
1on1とは?評価面談・業務報告との違い
1on1(ワン・オン・ワン)ミーティングとは、上司と部下が1対1で、部下の成長や課題解決を目的に定期的に行う対話のこと。
よく混同されるのが、半期ごとの評価面談や、日々の業務報告です。
評価面談は過去の成果を振り返って処遇に反映する場、業務報告は上司が進捗を把握する場で、どちらも主役は上司側です。
一方、1on1は部下が話したいテーマを持ち込み、上司がそれを支える場。
目的が違うので、同じ時間の中に評価や詰問までしてしまうと、部下は本音を話さなくなります。
→ 表は横にスクロールできます
| 項目 | 1on1 | 評価面談 | 業務報告・進捗確認 |
|---|---|---|---|
| 目的 | 部下の成長・課題解決・信頼づくり | 成果の評価・処遇の決定 | 仕事の状況把握 |
| 主役 | 部下 | 上司(評価者) | 上司 |
| 頻度 | 隔週〜月2回など高頻度 | 半期・年1回 | 毎日〜毎週 |
| 扱う時間軸 | 現在と未来 | 過去 | 現在 |
| テーマを決める人 | 部下 | 会社・上司 | 上司 |
3段階の全体像と各段階でやること
各段階には、それぞれ押さえるべきポイントと、残すべきアウトプットがあります。
何をどこまでやればよいかを先に一覧で確認しておきましょう。
→ 表は横にスクロールできます
| 段階 | やること | 残すもの |
|---|---|---|
| ①事前準備 | 目的の共有・頻度と時間の決定・場所の確保・アジェンダの用意 | 定例の予定枠・テーマのメモ |
| ②当日の30分 | チェックイン→部下のテーマを深める→整理と支援→次の一歩 | 部下が決めた次の行動 |
| ③事後フォロー | 記録・行動の後押し・次回冒頭での確認 | 1on1記録シート |
ポイントは、1回ごとに完結させようとしないこと。
前回決めた行動を次回に確認することで、1on1は単発の面談ではなく、部下の成長を支える連続したサイクルになります。
データで見る1on1の現状|半数が実施、ただし効果の実感は分かれる
パーソル総合研究所の調査発表によると、直近半年で1on1を経験した部下は55.7%でした。
一方で、上司・部下の約3人に1人が「面談の効果が感じられない」と回答しています。
同調査では、上司側の困りごととして「面談について学ぶ仕組みがない」「上司が多忙で、面談のスケジュール設定が難しい」が上位に挙がりました。
やり方を学ばないまま始め、忙しさで続かない、という構図が見えてきます。
人材を企業価値の源泉ととらえる人的資本経営の考え方が広がるなか、部下一人ひとりの成長を支える対話の重要性は高まっています。
だからこそ、なんとなく続けるのではなく、本記事の手順で「効果の出るやり方」に整えることが大切です。
実施しているだけでは足りない:効果を分けるのは、頻度・時間・誰が話すか・誰がテーマを決めるか。
学ぶ仕組みが不足している:上司が型を知らないまま始めると、業務報告や雑談で終わりやすい。
ステップ1:事前準備|目的・頻度・アジェンダを決める

事前準備でやるべきことは、目的・頻度と時間・場所・アジェンダの4つを決めること。
準備を省いていきなり「何でも話して」と始めると、部下は何を話せばよいか分からず、結局は業務の進捗確認で終わってしまいます。
初回の前に一度だけしっかり整えておけば、2回目以降はほとんど手間がかかりません。
① 目的を伝え、評価と切り離す
部下の多くは、上司と1対1で話すことに少なからず緊張するもの。
「何か注意されるのでは」「評価に響くのでは」と身構えている状態では、本音は出てきません。
そこで最初に1on1の目的と、評価とは切り離していることを言葉にして伝えましょう。
- 目的を一言で伝える:「仕事の進め方やキャリアの悩みを一緒に考える時間にしたい」。
- 評価と別であると約束する:「ここで話したことを評価に使うことはしない」。
- 主役が部下であると伝える:「話すテーマはあなたが決めてほしい。私は聴き役に回る」。
- 守秘の範囲を決める:「人事や他のメンバーに共有するときは、必ず事前に相談する」。
チーム全体で1on1を始める場合は、個別に伝える前に定例会議などで目的を一度説明しておくとスムーズです。
「なぜ始めるのか」を全員がそろって理解していると、部下側も準備をしてくるようになります。
② 頻度と時間は「隔週〜月2回・30分」から始める
パーソル総合研究所「部下の成長支援を目的とした1on1ミーティングに関する定量調査」では、部下の成長度が最も高かったのは月2〜3回以上・1回30分以上1時間未満の1on1でした。
同じ高頻度でも、1回1時間以上になると成長度は最も低くなっており、長すぎるのも逆効果と分析されています。
同調査での実施頻度の平均は、ひと月あたり0.8回でした。
多くの職場では頻度が足りていない可能性があります(※調査は相関の分析で、因果関係を断定するものではありません)。
→ 表は横にスクロールできます
| 部下の状況 | おすすめの頻度 | 1回の時間 |
|---|---|---|
| 新入社員・異動直後・新任 | 毎週 | 30分 |
| 一般的なメンバー | 隔週〜月2回 | 30分 |
| 経験豊富なベテラン | 月1〜2回 | 30分(短くても可) |
| 不調のサインがある・大きな変化の最中 | 一時的に毎週 | 30分+必要に応じて延長 |
大切なのは回数の多さよりも、決めた頻度を崩さず続けること。
最初から毎週に設定して半年後に消えてしまうより、隔週を確実に続けるほうが信頼は積み上がります。
③ 場所と環境は「話しやすさ」を最優先する
1on1では、キャリアの迷いや人間関係の悩みなど、他の人に聞かれたくない話題が出てきがち。
会話が漏れない個室や会議室を確保するのが鉄則です。
上司の席の横や、オープンスペースでの立ち話は避けましょう。
- 対面:向かい合わせより、斜め横に座ると圧迫感が減る。上司のPC画面は閉じておく。
- オンライン:できればカメラをオンに。チャットやメールの通知は切り、ながら対応をしない。
- 場所を変える:煮詰まったときはカフェや散歩しながら話すのも有効(守秘に注意)。
- 時間帯:会議の直前・直後や終業間際は避け、落ち着いて話せる時間に固定する。
オンラインの1on1は表情や間合いが読み取りにくいぶん、対面よりも意識して「相づち」や「確認の言葉」を増やすと、部下は安心して話を続けられます。
④ アジェンダは部下が決め、前日までに共有する
同じくパーソル総合研究所の調査では、部下がその日のテーマを決めている場合の成長度は6.9点で、上司が決めている場合(6.4点)を上回りました。
テーマを部下に委ねることは、1on1を「部下のための時間」にする一番の近道です。
ただし、慣れないうちは部下も何を話せばよいか分かりません。
最初の数回は、上司が選択肢を示してあげると話しやすくなります。
- 今日いちばん話したいこと(1つでOK)
- 前回決めた行動の結果(できた・できなかった・その理由)
- いま困っていること・相談したいこと
- 上司に知っておいてほしいこと・お願いしたいこと
ステップ2:当日の進め方|30分の流れ

当日の30分は、チェックイン→部下のテーマを深める→整理と支援→次の一歩を決めるの4つに分けて進めます。
時間配分の目安を持っておくと、雑談で終わったり、上司の話で時間切れになったりするのを防げます。
最も長く取るべきは、部下が持ち込んだテーマを深める15分です。
① チェックイン(5分)|コンディションを確かめる
最初の5分は、部下の心身のコンディションを確かめる時間です。
「最近どう?」と聞くだけでなく、少し具体的に聞くと、部下は答えやすくなります。
- 「今週の調子を10点満点でいうと何点くらい?」
- 「最近、仕事で手応えがあったことはある?」
- 「前回の1on1から何か変わったことはあった?」
点数で聞く方法は、毎回同じ質問をすることで変化に気づきやすいのが利点です。
「先月は7点だったのに今日は4点」というように、数字の変化そのものが対話のきっかけになります。
② 部下のテーマを深める(15分)|主役は部下
部下が持ち込んだテーマについて、まず最後まで話を聴くことから始めましょう。
途中で「それはこうすればいい」と結論を言いたくなっても、いったん飲み込んでください。
上司が先に答えを出すと、部下は考えるのをやめてしまいます。
「なぜそう思った?」「ほかにどんな方法がありそう?」と質問を重ねることで、部下自身が答えにたどり着けるように支えましょう。
- 部下の話を最後まで聴き、要点を言い換えて確認する(「つまり〜ということ?」)
- 背景や気持ちを質問で掘り下げる(「そのとき、どう感じた?」)
- 部下自身の考えを先に聞く(「あなたならどうしたい?」)
- 必要なら上司の経験や視点を「一つの意見」として添える
話が深まらないときは、後述するGROWモデルの順番で質問すると、目標・現状・選択肢・行動の流れで自然に整理できます。
③ 整理と支援(5分)|上司にできることを確認する
テーマについて話し切ったら、部下が抱えている課題と、上司が支援できることを整理しましょう。
部下だけでは解決できない障害(業務量の偏り、他部署との調整、情報不足など)は、上司が動くことで一気に解消することがあります。
- 「私の側で手伝えることはある?」
- 「誰かにつないだほうがいい人はいる?」
- 「業務の優先順位で迷っているものはある?」
ここで上司が引き受けた支援は、部下の次の一歩と同じくらい重要な約束です。
上司が約束を果たさないと、部下は「話しても変わらない」と感じるようになります。
④ 次の一歩を決める(5分)|誰が・何を・いつまでに
1on1が「いい話をした」で終わるか、行動の変化につながるかは、最後の5分で決まります。
次の一歩は、部下自身に決めてもらうのが原則。
- 部下に「次回までに何を試してみる?」と聞く
- 行動を具体的にする(誰が・何を・いつまでに)
- 上司が支援することも同じ形で言葉にする
- 次回の1on1の日程を確認して終える
次の一歩は大きくなくてかまいません。
「〇〇さんに15分相談の時間をもらう」「資料のたたき台を水曜までに作る」など、2週間で確実に実行できるサイズにすると、成功体験が積み上がります。
ステップ3:事後フォロー|記録を残して次回につなぐ

1on1の効果を左右するのは、終わった後の記録・行動の後押し・次回での確認。
話した内容を記録せずにいると、次回には何を話したかを忘れ、また同じ話を繰り返すことになります。
事後フォローは5分で済む作業ですが、これがあるかどうかで1on1は「積み上がる対話」に変わります。
1on1記録シートに残す項目(テンプレート付き)
記録は、上司と部下の双方が見られる場所に残すのが理想。
上司だけがメモしていると、部下は何を約束したかを忘れてしまいます。
以下のテンプレートは、そのままコピーしてエクセルやスプレッドシートで使えます。
実施日,部下,今日のテーマ,話した要点,次の一歩(誰が・何を),期限,上司の支援,次回の確認結果
2026/10/01,佐藤,業務の進み具合,見積作成に時間がかかり残業が増えている,佐藤:過去の見積を3件ひな型化する,2026/10/10,過去資料の保管場所を共有,ひな型2件完成・残り1件
2026/10/01,鈴木,キャリア,将来はチームリーダーを目指したい,鈴木:次の定例で進行役を担当する,2026/10/08,進行のコツを事前に5分共有,
2026/10/02,高橋,困りごと,他部署との調整で返事が遅く作業が止まる,上司:相手部署の課長に窓口を相談する,2026/10/07,上司が直接調整,
部下ごとにシートを分けてもかまいませんが、チームで1on1を行っている場合は、1つの表にまとめておくと上司が全員分の約束を一覧できます。
ただし、個人的な悩みや健康に関する内容は、本人の了承なく共有範囲を広げないよう注意しましょう。
決めた行動を「後押し」する
次の一歩を決めても、日々の業務に追われて忘れてしまうのはよくあること。
期限の前に一言声をかける、チャットで「この前の件、何か手伝えることある?」と聞くなど、軽い後押しが効きます。
上司の側もまた、1on1で引き受けた支援を後回しにしがちです。
部下の行動と同じように、自分のタスクとして期限を決めて管理しておきましょう。
上司が約束を守る姿を見せることが、次の1on1で本音を引き出す土台になります。
次回の冒頭で振り返る
前回の記録を見ながら「〇〇はどうだった?」と聞くことで、1on1が前回から続いている対話であることを部下に示せます。
できていれば具体的に認め、できていなければ「何が障害だった?」と一緒に原因を探ってあげましょう。
できなかったことを責めると、次からは部下が小さな目標しか言わなくなります。
行動できなかった理由の中に、業務量の偏りや仕組みの不備が隠れていることも多いので、上司にとっても大事な情報源です。
- 1on1の当日中に、テーマ・要点・次の一歩を記録した
- 部下と上司の双方が記録を見られる
- 上司が約束した支援を、自分のタスクとして期限つきで管理している
- 期限の前に一度、軽く声をかけた
- 次回の冒頭で前回の行動を振り返る
1on1で話すテーマ7選と質問例

1on1で話すテーマは、業務・困りごと・コンディション・成長・キャリア・人間関係・上司へのフィードバックの7つに整理できます。
テーマのメニューを部下と共有しておくと、「今日はキャリアの話がしたい」と選びやすくなります。
ここでは各テーマの質問例と、部下の立場に応じた使い分けを紹介します。
テーマ別の質問例一覧
それぞれのテーマについて、そのまま使える質問例をまとめました。
1回の1on1で扱うテーマは1〜2つに絞ると、深い話を聞き出しやすくなります。
→ 表は横にスクロールできます
| テーマ | 質問例 | 使いどころ |
|---|---|---|
| 業務の進み具合 | いま一番手応えを感じている仕事は?/詰まっているところはどこ? | 繁忙期・新しい案件の開始時 |
| 困りごと | 最近もやもやしていることはある?/何があればもっと進めやすい? | 毎回の入口として |
| 心身のコンディション | 睡眠や体調はどう?/仕事量は今のままで大丈夫? | 残業が続く時期・表情が暗いとき |
| 成長・学び | 最近できるようになったことは?/次に挑戦してみたいことは? | 案件の区切り・四半期ごと |
| キャリア | 3年後にどんな仕事をしていたい?/そのために今の仕事で試せることは? | 半年に1回程度 |
| 人間関係 | チームの中で話しやすい人・話しにくい人はいる?/協力しづらい場面はある? | 異動・メンバー変更の後 |
| 上司へのフィードバック | 私の関わり方で、変えてほしいことはある?/もっと任せてほしいことは? | 関係ができてきた頃に定期的に |
キャリアの話題では、部下の考えを否定せずに受け止めることが大切。
『厚生労働省:キャリアコンサルティング・キャリア形成支援』のページでも示されているように、働く人が自分のキャリアを主体的に考えることを支える取り組みは、企業にとっても重要なテーマになっています。
部下の立場によってテーマの比重を変える
同じ質問でも、部下の経験や立場によって刺さり方は変わるもの。
相手のステージに合わせてテーマの比重を変えると、1on1の満足度は上がります。
→ 表は横にスクロールできます
| 部下のタイプ | 比重を置きたいテーマ | 上司の関わり方 |
|---|---|---|
| 新入社員・若手 | 困りごと・コンディション・業務の進め方 | 小さな不安を早めに拾う。答えを教える比率は多めでもよい |
| 中堅メンバー | 成長・学び・役割の広げ方 | 任せる範囲を広げ、振り返りを支援する |
| ベテラン・専門職 | キャリア・組織への提案・後輩育成 | 意見を引き出し、上司も学ぶ姿勢で聴く |
| 異動・中途入社直後 | 人間関係・社内の進め方・期待のすり合わせ | 暗黙のルールや人のつながりを補う |
年上の部下や専門性の高い部下との1on1では、上司が教える立場に立つ必要はありません。
「この組織をもっと良くするために、あなたの意見を聞かせてほしい」という姿勢で臨むと、対話が前向きに進みます。
GROWモデルで話を深める

GROWモデルは、コーチングで広く使われる対話の型。
Goal(目標)・Reality(現状)・Options(選択肢)・Will(意思)の頭文字を取っています。
悩みを聞いているうちに話が散らかってしまうときに特に役立ちます。
- Goal(目標):「この件、どうなれたら理想?」とゴールのイメージを聞く。
- Reality(現状):「今はどんな状況?何がうまくいっていない?」と事実を整理する。
- Options(選択肢):「ほかにどんな打ち手がありそう?」と案を広げる(否定しない)。
- Will(意思):「まず何からやる?いつまでに?」と次の一歩を本人に決めてもらう。
Optionsの段階で上司が「それは無理だよ」と口を挟むと、部下は案を出さなくなるため注意してください。
また、Optionsでは質より量を重視し、絞り込みはWillの段階で部下自身に任せましょう。
「話すことがない」と言われたときの切り出し方
「特にありません」という返事は、1on1でよくある場面。
ここで沈黙を怖がって上司が話し始めないことが大切です。
数秒待ってから、答えやすい切り口を差し出します。
- 「この2週間で、一番時間を使った仕事は何だった?」(事実から入る)
- 「もし1日だけ自由に使えるなら、仕事で何をしたい?」(未来から入る)
- 「前回話していた〇〇、その後どうなった?」(前回の記録から入る)
- 「私に対して、遠慮して言っていないことはない?」(関係を確かめる)
それでも話題が出ないときは、早めに切り上げてもかまいません。
「いつでも話せる時間がある」という安心感そのものが、1on1の価値の一つだからです。
1on1を成功させる上司のコツ|傾聴・質問・フィードバック

1on1の質を決めるのは、上司の傾聴・質問・フィードバックの3つのスキルです。
Google re:Work「データに学ぶ: Google の優れたマネージャー育成に関する調査」でも、優れたマネージャーの行動として「良いコーチであること」が挙げられています。
特別な才能ではなく、意識して練習するほど上達していくスキルです。
傾聴|部下7割・上司3割を目安にする
パーソル総合研究所の調査では、部下の話す割合が高い場合の成長度は6.8点で、上司の話す割合が高い場合(6.3点)を上回りました。
一方で、部下の36.6%が「上司の話す割合が高い」と答えており、上司が話しすぎている1on1は少なくありません。
- 相手の話をさえぎらず、最後まで聴く
- うなずき・相づちで「聴いている」ことを示す
- 要点を言い換えて確認する(「〜ということだね」)
- 感情にも目を向ける(「それは悔しかったね」)
自分が話しすぎていないかは、1on1の後に「今日は何割くらい話したか」を振り返るだけでも改善します。
部下にも「私の話、長くなかった?」と聞いてみると、正直なフィードバックがもらえることがあります。
質問|「なぜ」より「何が」「どうすれば」で聞く
同じ内容を聞くにも、言い方ひとつで部下の受け取り方は大きく変わります。
特に「なぜできなかったの?」は責めているように聞こえやすいので、「何が障害になった?」と事実に向けた聞き方に変えるのが効果的です。
→ 表は横にスクロールできます
| 避けたい聞き方 | 言い換え例 | ねらい |
|---|---|---|
| なぜ遅れたの? | 何が進めにくくしていた? | 責めずに障害を特定する |
| ちゃんとやってる? | どこまで進んでいて、次は何をする予定? | 事実と見通しを確認する |
| こうすればいいんじゃない? | あなたならどうしたい? | 本人の考えを先に引き出す |
| 何か問題ある? | 最近、時間がかかっていることは? | 答えやすい具体的な問いにする |
「はい・いいえ」で答えられる質問(クローズドクエスチョン)は確認には便利ですが、続けると尋問のようになります。
1on1では、相手が自分の言葉で話せる「何が・どのように」で始まる質問(オープンクエスチョン)を中心に組み立てましょう。
フィードバック|事実・影響・期待をセットで伝える
1on1は聴く場が中心ですが、上司から伝えるべきこともあります。
そのときは「いつ・どの場面で・何をしたか(事実)」「それがどう影響したか(影響)」「次はどうしてほしいか(期待)」をセットにすると、受け取る側が納得しやすくなります。
良い例:「昨日の会議で、お客様の質問にデータで答えてくれた(事実)。おかげで提案に説得力が出た(影響)。次回も同じように数字を準備してくれると助かる(期待)」。
避けたい例:「最近、意識が低いよね」——人格や態度への評価は、具体的な改善につながらない。
ポジティブなフィードバックも同じ型で具体的に伝えます。
「いつもありがとう」より「〇〇の資料、要点が1枚にまとまっていて分かりやすかった」のほうが、部下は何を続ければよいかが分かります。
上司も本音で話し、自分のことを開示する
パーソル総合研究所の調査では、部下が「上司が本音を話してくれている」と感じることが、部下の成長に最もプラスの影響を与えていたと報告されています。
聴き役に徹することと、上司が自分を閉ざすことは違います。
会社の方針についての自分の考え、過去に失敗した経験、今まさに迷っていることなどを率直に話すと、部下も「この人には話してもいい」と感じるようになります。
「職場での対話に関する定量調査」でも、職場の対話のあり方が働く人の意識に関わることが分析されています。
1on1は、上司と部下の間に「本音で話せる関係」をつくるための、最も小さな単位の対話の場と言えます。
1on1でよくある失敗と対策

1on1がうまくいかない原因の多くは、場の目的がずれている・上司が話しすぎている・行動につながっていない・続いていないのいずれかです。
ここでは、現場で起きやすい失敗パターンと、その場ですぐ使える対策をまとめます。
自分の1on1に当てはまるものがないか、チェックしながら読んでみてください。
業務の進捗確認・報告の場になってしまう
最も多い失敗が、1on1がいつのまにか業務の進捗報告会になるパターン。
上司は状況が把握できて満足しても、部下にとっては「いつもの報告をもう一度している」だけの時間になります。
根本的な原因は、普段から進捗が見えていないことです。
誰が何をいつまでにやっているかが日頃から共有されていれば、1on1でわざわざ確認する必要はありません。
進捗はチームで見える化し、1on1では「その仕事の中で困っていること」や「成長したいこと」を話すように切り分けましょう。
上司の説教・評価の場になってしまう
部下の話を聞いているうちに、つい自分の経験談やアドバイスで時間を使ってしまうのもよくある失敗。
さらに、立場の差を背景にした強い叱責や人格の否定は、1on1の場であってもパワーハラスメントにつながるおそれがあります。
個室で1対1という環境は、話しやすい反面、言葉が強くなっても止める人がいません。
『厚生労働省「あかるい職場応援団」(職場のハラスメント対策)』のページで示されている職場のハラスメントの考え方を確認し、『あかるい職場応援団:ハラスメントの基本情報』のページで基本的な類型も押さえておきましょう。
雑談だけで終わり、行動につながらない
和やかに話せたものの、振り返ると何も決まっていない——これも1on1が形骸化する入り口です。
雑談そのものは悪くありませんが、毎回の終わりに次の一歩を決めることで、対話が行動につながります。
次の一歩が出てこないときは、「今日話した中で、一つだけ試すとしたら何?」と聞いてみましょう。
小さな行動でも、次回にそれを振り返ることで対話に連続性が生まれます。
- 毎回、ほぼ同じ話題を繰り返している
- 部下から話題が出ず、上司ばかり話している
- 前回何を話したか、上司も部下も覚えていない
- 1on1の後に、何も行動が変わっていない
リスケジュールが続き、自然消滅する
上司が忙しくなると、真っ先に削られるのが1on1。
しかし、リスケが続くと、部下は「自分は優先度が低い」と受け取ります。
調査でも、上司の多忙によるスケジュール設定の難しさが困りごとの上位に挙がっていました。
対策は、カレンダーに繰り返しの予定として先に固定してしまうこと。
どうしても動かす場合は中止ではなく、同じ週のうちに代わりの日程を入れましょう。
30分が難しい週は15分でも、途切れさせないことが信頼につながります。
部下の不調のサインを見落とす
チェックインで表情が暗い、遅刻や小さなミスが増えた、口数が極端に減ったなどの変化は、心身の不調のサインかもしれません。
定期的に1対1で話す1on1は、こうした変化に早く気づける貴重な機会です。
ただし、上司はカウンセラーではありません。
気になる様子があれば、産業医や人事、社内外の相談窓口につなぐことが大切です。
職場のメンタルヘルス対策の考え方は、『厚生労働省 働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」』や『こころの耳:職場のメンタルヘルス対策の指針・ガイドライン』のページで確認できます。
1on1を面談で終わらせず「チームの仕組み」にする

1on1の効果を組織に広げるカギは、1on1で決めたことを、チームの日々の仕事の流れにつなげること。
1on1は上司と部下の2人の場ですが、そこで出てくる課題や行動の多くは、チームの仕事そのものに関わっています。
面談の中だけで完結させず、チームの仕組みと結びつけることで、1on1は一過性のイベントではなく組織を良くする習慣になります。
1on1は「組織の構築」と「コミュニケーション」を支える場
組織の生産性向上には、組織の構築とコミュニケーションが必要不可欠。
そしてその土台となるのが「チームのタスク管理」です。
コミュニケーションの整備には、定例会議の設定・コミュニケーション・ツールの整備・報告フォーマットの整備が効果的。
1on1を定例として設定し、決まった形式で記録し、ツールで共有する——本記事の手順は、まさにこの考え方を1対1の対話に当てはめたものです。
日本の労働生産性は、OECD加盟38カ国中29位にとどまっています。
人手不足が続くなか、『厚生労働省『令和元年版 労働経済の分析』(人手不足の下での働き方)』でも働きがいを高める取り組みが分析テーマとして取り上げられており、一人ひとりが力を発揮できる職場づくりの重要性は増しています。
1on1で決めた行動を「チームのタスク」として見える化する
1on1の記録シートは便利ですが、日々の仕事の管理と別の場所にあると、どうしても見返す機会が減ります。
1on1で決まった行動を、チームの普段のタスク一覧に入れてしまうのが、最も確実な方法です。
そうすれば、部下は日々の仕事の中で自然に次の一歩を思い出せますし、上司も約束した支援を自分のタスクとして管理できます。
さらに、チーム全員の仕事が見える化されていれば、1on1で進捗確認をする必要がなくなり、本来の「部下のための対話」に時間を使えるようになります。
- 1on1で決まった行動を、その場でタスクとして登録する(担当・内容・期限)
- 上司が引き受けた支援も、上司のタスクとして登録する
- 期限が近づいたら通知で思い出せるようにする
- 次回の1on1の冒頭で、タスクの完了状況を一緒に確認する
エクセルや共有スプレッドシートでも始められますが、メンバーが増えて1on1の数が多くなると、更新の手間や「同時編集がうまくできない」といった問題が出てきがち。
チーム規模が大きくなりエクセルでの管理が難しくなったら、専用のタスク管理ツールで仕組み化するのが近道です。
ツールで仕組み化するなら
1on1のやり方そのものは、本記事の手順どおりに進めれば身につきます。
難しいのは、決めた行動をチーム全員が毎日の仕事の中で追い続けることです。
私たちが開発・運営するスーツアップは、表計算ソフトのような操作で、チームの「タスクの見える化」をして、タスクの抜け漏れや期限遅れを防ぐチームのタスク管理ツールです。「「誰が・どのようなタスクを・いつまでに」の3つに絞って、みんながいつでも見られるチームのタスク管理」に絞っているので、1on1で決めた次の一歩をそのまま登録して、日々の仕事の中で追いかけられます。
・表計算ソフトのような操作で、チーム全員が同じ最新の状態を見られる
・期限の通知で、1on1で決めた行動の抜け漏れ・期限遅れを防ぐ
・進捗が普段から見えるので、1on1を進捗確認ではなく対話の時間に使える
よくある質問(FAQ)
1on1のやり方について、はじめて取り組む上司や人事担当者からよく寄せられる質問をまとめました。
- 1on1は何分くらいが適切ですか?
-
30分が基本の目安です。パーソル総合研究所の調査では、1回30分以上1時間未満の1on1で部下の成長度が最も高く、1時間以上になると逆に低くなっていました。話が深まった回だけ延長する運用がおすすめです。
- 1on1の頻度はどれくらいがよいですか?
-
隔週〜月2回から始めるのが現実的です。新人や異動直後のメンバーは毎週、ベテランは月1〜2回など、部下の状況に合わせて調整します。回数より、決めた頻度を途切れさせないことが大切です。
- 1on1で話すことがないときはどうすればいいですか?
-
業務の進み具合・困りごと・コンディション・成長・キャリア・人間関係・上司へのフィードバックの7テーマから部下に選んでもらいましょう。それでも話題がない日は、早めに切り上げても問題ありません。
- 1on1と評価面談は同じ時間にまとめてもいいですか?
-
おすすめしません。評価が絡むと部下は本音を話しにくくなります。評価面談は別の機会に設け、1on1は「評価に使わない部下のための時間」として明確に分けて運用しましょう。
- オンラインでも1on1の効果はありますか?
-
あります。ただし表情や間合いが伝わりにくいので、できればカメラをオンにし、通知を切って対話に集中しましょう。相づちや要約の言葉を対面より多めにすると、部下は安心して話せます。
- 部下が年上・ベテランの場合はどう進めればいいですか?
-
教える立場に立つ必要はありません。キャリアや組織への提案、後輩育成など、相手の経験を生かすテーマを中心に、「意見を聞かせてほしい」という姿勢で臨むと対話が前向きに進みます。
- 1on1の内容は記録したほうがいいですか?
-
はい。テーマ・要点・次の一歩・期限・上司の支援の5点を、上司と部下の双方が見られる場所に残すのがおすすめです。ただし、健康や個人的な悩みなど機微な内容は、本人の了承なく共有範囲を広げないよう注意しましょう。
まとめ:1on1は「型」で始め、続く仕組みにする
1on1のやり方は、事前準備・当日の30分・事後フォローの3段階という「型」で覚えると、はじめての上司でも迷わず進められます。
最後にチェックリストで振り返りましょう。
- 1on1の目的を伝え、評価面談と切り離している
- 隔週〜月2回・30分を目安に、予定を先に固定している
- その日のテーマは部下が決め、前日までに共有してもらっている
- 当日は部下7割・上司3割を目安に、質問で考えを深めている
- 最後に「誰が・何を・いつまでに」で次の一歩を決めている
- 記録を残し、決めた行動を日々のタスクとして後押ししている
- 次回の冒頭で前回の行動を振り返っている
1on1のゴールは、話すことそのものではなく部下が自分で考え、行動し、成長していくこと。
上手に話そうと構えず、まずは本記事の型で始め、決めたことがチームの仕事の中で続いていく仕組みを整えていきましょう。
参考文献・出典
- 小松裕介『1+1が10になる組織のつくりかた ── チームのタスク管理による生産性向上』実業之日本社、2025年、ISBN 978-4-408-65143-9
- パーソル総合研究所「部下の成長支援を目的とした1on1ミーティングに関する定量調査」/パーソル総合研究所「職場での対話に関する定量調査」
- Google re:Work「データに学ぶ: Google の優れたマネージャー育成に関する調査」
- 厚生労働省 働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」/厚生労働省「あかるい職場応援団」(職場のハラスメント対策)
- 厚生労働省:キャリアコンサルティング・キャリア形成支援/厚生労働省『令和元年版 労働経済の分析』(人手不足の下での働き方)
- 経済産業省:人的資本経営/日本生産性本部『労働生産性の国際比較』
株式会社スーツ 代表取締役社長CEO
2013年3月に、新卒で入社したソーシャル・エコロジー・プロジェクト株式会社(現社名:伊豆シャボテンリゾート株式会社、東証スタンダード上場企業)の代表取締役社長に就任。同社グループを7年ぶりの黒字化に導く。2014年12月に株式会社スーツ設立と同時に代表取締役に就任。2016年4月より総務省地域力創造アドバイザー及び内閣官房地域活性化伝道師。2019年6月より国土交通省PPPサポーター。2020年10月にYouTuber事務所の株式会社VAZの代表取締役社長に就任。月次黒字化を実現し、2022年1月に上場企業の子会社化を実現。2022年12月にスーツ社を新設分割し同社を商号変更、新たに株式会社スーツ設立と同時に代表取締役社長CEOに就任。
現在、スーツ社では、チームのタスク管理ツール「スーツアップ」の開発・運営を行い、中小企業から大企業のチームまで、日本社会全体の労働生産性の向上を目指している。
チームのタスク管理 / プロジェクト管理でこのようなお悩みはありませんか?

そうなりますよね。私も以前はそうでした。タスク管理ツールを導入しても面倒で使ってくれないし、結局意味なくなる。

じゃあどうしたらいいのか?そこで生まれたのがスーツアップです。

これ、エクセル管理みたいでしょ?そうなんです。手慣れた操作でチームのタスク管理ができるんです!

見た目がエクセルだからといって侮るなかれ。エクセルみたいに入力するだけで、こんなことも

こんなことも

こんなことまでできちゃうんです。

エクセル感覚でみんなでタスク管理。
まずは以下よりお試しいただき、どれだけ簡単か体験してみてください。

