経営者の役割とは?【図解で解説】5つの仕事と管理職との違い・必要な資質
経営者の役割とは、会社の進む方向を決め、ヒト・モノ・カネ・情報を配分し、組織と人を動かして、成果と責任を引き受けること。
社長や代表取締役という肩書きがあっても、日々の業務に追われてこの役割を果たせていない経営者は少なくありません。
本記事では、経営者の役割を5つに整理し、管理職との違い、会社法上の責任、ドラッカーやミンツバーグなど経営学の考え方、必要な資質、そして役割を実務で果たすための仕組みづくりまで、順を追って解説します。
目次
経営者とは?意味・管理職との違い・法律上の立場

経営者とは、会社や組織の運営について最終的な意思決定権を持ち、その結果に責任を負う人のこと。
まずは言葉の意味を押さえ、混同されやすい経営層・管理職との違いと、法律から見た立場を整理しましょう。
経営者の意味:最終的に「決めて、責任を負う」人
一般に経営者と呼ばれるのは、株式会社の代表取締役社長、取締役、オーナー社長、個人事業主など。
肩書きは会社によってさまざまですが、共通するのは「会社全体に関わる最終判断を下し、その結果に責任を負う」という点です。
中小企業基本法が定める中小企業の範囲に入る会社では、経営者が株主であり、営業責任者であり、人事責任者でもあるという一人何役の状態も珍しくありません。
だからこそ、自分が担っている役割を整理し、経営者にしかできない仕事に時間を割けているかを確かめることが大切です。
経営者・経営層・管理職の違い
経営層は、経営者を含む取締役や執行役員など、会社の経営判断に関わる人たちの集団を指すことが一般的。
経営者はその中で最終的な意思決定をする人、管理職は経営層が決めた方針を自部署で実行し、部下を通じて成果を出す人、と整理するとわかりやすくなります。
経営者が「何をやるか」を決め、管理職が「どうやるか」を担う、という役割分担が基本です。
この線引きが曖昧になると、社長が現場の細かな判断まで抱え込み、管理職は指示待ちになる、という状態に陥ってしまうため注意しましょう。
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| 観点 | 経営者 | 経営層(役員) | 管理職 |
|---|---|---|---|
| 見る範囲 | 会社全体 | 会社全体+担当領域 | 担当部署・チーム |
| 時間軸 | 3〜10年先 | 1〜3年先 | 今期・今月 |
| 主な仕事 | 方向を決める・資源配分・最終責任 | 経営判断への参画・担当領域の統括 | 方針の実行・部下の育成・進捗管理 |
| 決める内容 | 何をやるか/やめるか | どの順でやるか | どうやるか |
| 責任の相手 | 株主・金融機関・社会・社員 | 経営者・株主 | 経営層 |
法律から見た経営者の立場と責任
会社法では、会社と役員の関係は委任に関する規定に従うとされ(第330条)、民法の委任の規定により、取締役は会社に対して善良な管理者の注意をもって職務を行う義務(善管注意義務)を負います。
さらに、法令・定款・株主総会の決議を守り、会社のために忠実に職務を行う義務(忠実義務、会社法第355条)も課されています。
任務を怠って会社に損害を与えた場合は会社への賠償責任(第423条)が、職務に悪意や重大な過失があった場合は第三者への賠償責任(第429条)が生じえます。
経営者の責任は、心構えではなく法的な義務として定められているのです。
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| 根拠 | 内容 | 経営者にとっての意味 |
|---|---|---|
| 会社法 第330条・民法 第644条 | 会社と役員は委任関係。善管注意義務を負う | 専門家として通常求められる注意を払って経営する |
| 会社法 第355条 | 忠実義務 | 自分の利益より会社の利益を優先する |
| 会社法 第349条 | 代表取締役は会社の業務に関する一切の行為をする権限を持つ | 会社の顔として契約・対外行為の最終責任を負う |
| 会社法 第423条・第429条 | 任務懈怠による会社・第三者への損害賠償責任 | 判断の誤りや監督の怠りに個人責任が生じうる |
| 労働契約法 第5条 | 使用者の安全配慮義務 | 社員が安全に働ける環境を整える責任がある |
経営者の役割は大きく5つ

これらはバラバラの仕事ではなく、方向を決めるところから始まり、結果に責任を持つところで一巡する一連の流れです。
ひとつずつ、意味・よくある誤解・具体例・セルフチェックの順に見ていきましょう。
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| 役割 | ひと言でいうと | 放置するとどうなるか |
|---|---|---|
| ① 方向を決める | どこへ向かい、何をやめるかを決める | 部署ごとに正解がばらばらになる |
| ② 資源を配分する | ヒト・モノ・カネ・情報の振り向け先を決める | 惰性の事業に資源が残り続ける |
| ③ 組織をつくる | 役割と決裁の範囲を決める | 社長の判断待ちで仕事が止まる |
| ④ 人を動かし育てる | 採用・育成・評価・対話の仕組みを整える | 人が定着せず、育たない |
| ⑤ 責任を引き受ける | 結果とリスクに最終責任を持ち、説明する | 信頼を失い、資金や人が離れる |
役割1:会社の進む方向を決める(ビジョン・経営方針)

ビジョン(目指す姿)・経営方針・中期の事業計画は、社員が日々の判断に迷ったときの拠り所になります。
現場の一人ひとりは自分の担当範囲で最善を尽くしますが、事業の選択と集中、撤退の判断のような全社をまたぐ決定は、経営者にしかできません。
方向を決めるとは、立派な理念を額に飾ることではありません。
「今期はこの顧客層に絞る」「この事業は来期で縮小する」と、優先順位を具体的な言葉にし、数字の目標と結びつけて社内へ繰り返し伝えることです。
方針が曖昧なままだと、各部署はそれぞれの正解で動き、会社全体としての力が分散してしまいます。
具体例:「地域の中堅製造業に絞って深く支援する」と決めた会社は、大手向けの新規開拓を止め、営業と開発の人員をその顧客層に寄せる判断ができるようになります。
- 自社が目指す姿を1〜2文で言える
- 今期「やらないこと」を決めている
- 方針と数字目標がつながっている
役割2:経営資源を配分する(ヒト・モノ・カネ・情報)

ヒト・モノ・カネ・情報などの資源は常に限りがあるもの。
だからこそ、資金調達や投資、採用人数、設備、システム投資の配分を決め、その結果に責任を持つことが経営者に求められます。
また中小企業では、資金繰りの把握と金融機関との関係づくりも経営者自身が担うことがほとんどです。
配分の失敗は、すぐには表に出ません。
伸びている事業に人を足さず、惰性で続けている事業に予算を残すと、数年後に差となって現れます。
月次の試算表やキャッシュフローを経営者自身が読み、「どこにお金と時間が流れているか」を把握しておくことが、正しい配分の前提です。
具体例:人手不足の中で、売上の大半を生む主力サービスの担当を増員し、利益の出ていない受託案件の受注を絞る、といった判断が資源配分です。
- 月次の損益と資金繰りを自分で読める
- 投資の優先順位を説明できる
- 惰性で続く事業・業務を見直している
役割3:組織をつくる(組織図・業務分掌・職務権限)

社員が数名のうちは、社長がすべてを把握して指示を出せば回ります。
しかし人数が増えると、役割分担と決裁の範囲が曖昧なままでは、仕事の重複や抜け漏れ、判断待ちの渋滞が起きます。
組織図で指揮系統を示し、業務分掌で部署の担当範囲を、職務権限で決裁の範囲を明文化するのが、組織づくりの基本です。
組織づくりは、経営者が自分の仕事を手放すための仕組みでもあります。
権限を委ねる範囲が決まっていれば、現場は都度確認しなくても動けますし、経営者は本来の役割である方向づけや資源配分に時間を使えます。
逆に、すべての判断が社長に集まる会社は、社長の処理能力が会社の成長の上限になってしまいます。
具体例:「50万円未満の発注は部門長決裁」と職務権限で定めるだけで、社長の承認待ちで止まっていた案件が現場で前に進むようになります。
- 最新の組織図がある
- 部署ごとの担当範囲が文書になっている
- 決裁の範囲を金額や内容で決めている
役割4:人を動かし育てる(採用・育成・評価・対話)

どんな人を採用し、どう育て、何をもって評価するか。
これは会社の価値観そのものであり、経営者が方針を示すべき領域です。
加えて、使用者には労働契約法で社員の安全に配慮する義務も定められており、長時間労働やハラスメントのない職場をつくることも経営者の責任に含まれます。
人を動かすうえで欠かせないのが、社内のコミュニケーションの設計。
経営者の考えが現場に届き、現場の状況が経営者に上がってくる流れがなければ、方針も配分も空回りします。
定例会議や報告の型を整え、社員が困りごとを早めに言える状態をつくることも、人を動かす仕事の一部です。
具体例:評価項目に「チームの仕事を見える化して共有した」を加えれば、個人プレーより情報共有が評価されるようになり、仕組みで人の行動を変えられます。
- 求める人物像を言語化している
- 評価の基準を社員が知っている
- 現場の声が上がってくる場がある
役割5:成果への責任を引き受ける(業績・リスク・説明責任)

会社法上、取締役は会社に対して善管注意義務と忠実義務を負い、任務を怠って会社に損害を与えれば賠償責任を問われます。
中小企業では、金融機関からの借入に経営者自身が個人保証を求められるケースも少なくありません。
経営者の「責任」は抽象的な心構えではなく、法的にも経済的にも重いもの。
責任を引き受けるとは、問題が起きた後に辞任することだけではありません。
リスクを事前に洗い出して手を打ち、うまくいかなかったときは原因を説明し、立て直しの道筋を示すことです。
そして最後の責任として、次の経営者に会社を引き継ぐ準備をすること、つまり事業承継も経営者の役割に含まれます。
具体例:主要取引先の倒産リスクに備えて取引先を分散し、四半期ごとに金融機関へ業績と見通しを報告する、といった行動が責任を果たす経営です。
- 主なリスクを一覧にしている
- 業績を関係者へ定期的に説明している
- 後継者や引き継ぎの方針を考えている
経営学者が示す経営者の役割(ドラッカー・バーナード・ミンツバーグ)

経営者の役割は、経営学の世界で長く研究されてきたテーマです。
代表的な3人の考え方を知ると、自分の仕事を客観的に点検する物差しが手に入ります。
ここでは原典の考え方を、実務に引き寄せて紹介します。
ドラッカー:マネジメントの3つの役割
ピーター・F・ドラッカーは、『マネジメント【エッセンシャル版】』などの著作で、マネジメント(経営者・経営陣)の役割を3つに整理しています。
1つ目は、自らの組織に特有の目的と使命を果たすこと。
2つ目は、仕事を生産的なものにし、働く人たちに成果をあげさせること。
3つ目は、自らが社会に与える影響を処理し、社会の問題について貢献することです。
ドラッカーの考え方で重要なのは、「働く人に成果をあげさせる」ことを経営者の役割に明確に含めている点。
経営者自身が成果をあげるだけでなく、社員が成果をあげられる仕組みをつくることが求められているのです。
バーナード:組織を成り立たせる3つの機能
チェスター・I・バーナードは、自らも企業の経営者だった人物で、1938年の著書『経営者の役割』は組織論の古典とされています。
バーナードは、組織を「意識的に調整された人々の活動の体系」と捉え、組織が成立するには共通目的・貢献意欲(協働の意思)・コミュニケーションの3要素が必要だと説きました。
そのうえで経営者の機能を、①コミュニケーションの体系を維持する ②組織に必要な努力(貢献)を確保する ③目的を定式化するの3つに整理しています。
経営者の役割を「命令する人」ではなく「人々の協働を成り立たせる人」と捉えた点が、今も読み継がれる理由です。
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| 組織の3要素 | 意味 | 経営者の機能 |
|---|---|---|
| 共通目的 | メンバーが共有する目標 | 目的を定式化し、示し続ける |
| 貢献意欲 | 目的のために力を出そうとする意思 | 人が貢献したくなる誘因をつくる |
| コミュニケーション | 目的と意欲をつなぐ情報の流れ | 伝達の体系を設計し、維持する |
ミンツバーグ:経営者が実際に担っている10の役割
ヘンリー・ミンツバーグは、複数の経営者の仕事ぶりを観察し、著書『マネジャーの仕事』で、経営者が実際に担っている役割を10に分類しました。
その特徴は、理想論ではなく「経営者は実際に何をしているか」から出発している点です。
観察から見えたのは、経営者の仕事が短く細切れの活動の連続で、計画的に考える時間を確保しにくいという現実でした。
だからこそ、自分がいまどの役割に時間を使っているかを意識することが、経営の質を上げる第一歩になります。

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| 分類 | 役割 | 経営者の行動例 |
|---|---|---|
| 対人関係 | フィギュアヘッド(象徴) | 式典や契約など、会社の顔として儀礼的な役目を果たす |
| 対人関係 | リーダー | 社員を動機づけ、育成し、方向を示す |
| 対人関係 | リエゾン(連絡役) | 社外の人脈をつくり、情報や協力を得る |
| 情報 | モニター(監視者) | 社内外の情報を集め、変化をつかむ |
| 情報 | 周知伝達役 | 得た情報や方針を社内に伝える |
| 情報 | スポークスマン | 株主や取引先、地域に会社の方針を発信する |
| 意思決定 | 企業家 | 新しい事業や改善の機会を見つけ、変革を起こす |
| 意思決定 | 障害処理者 | トラブルや危機に対応する |
| 意思決定 | 資源配分者 | ヒト・モノ・カネ・時間の配分を決める |
| 意思決定 | 交渉者 | 取引先や労働組合などと重要な交渉を行う |
3つの理論から見える共通点
ドラッカーは働く人に成果をあげさせること、バーナードは協働を成り立たせるコミュニケーション、ミンツバーグは情報を集めて伝え、資源を配分する役割を強調しました。
表現は違っても、経営者の役割は「組織を通じて成果を出すこと」という点で一致しています。
本記事で整理した5つの役割も、この考え方に沿っています。
特に組織づくりと人を動かす役割は、3人の理論すべてで中心に置かれているテーマです。
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| 理論 | 強調している点 | 5つの役割との対応 |
|---|---|---|
| ドラッカー | 使命・生産性・社会的責任 | ①方向を決める/④人を動かす/⑤責任 |
| バーナード | 共通目的・貢献意欲・コミュニケーション | ①方向を決める/③組織/④人を動かす |
| ミンツバーグ | 対人関係・情報・意思決定の10役割 | ②資源配分/④人を動かす/⑤責任 |
経営者に求められる4つの資質・スキル

経営者に必要な資質やスキルは数多く語られますが、大きく4つの力にまとめることができます。
生まれ持った才能よりも、意識して鍛えられる力が中心です。
先を読み、決める力(先見性・決断力)
市場や技術、人材の環境は数年で大きく変わります。
経営者には、完璧な情報がない中で決める力と、決めたことが間違っていたと分かったときに素早く修正する柔軟さの両方が必要です。
デジタル化への対応もその一例で、経済産業省『デジタルガバナンス・コード』は、DXを経営者自らが主導すべき経営課題として位置づけています。
変化を現場任せにせず、経営者が方向を示せるかどうかが問われています。
鍛え方:判断した理由を記録し、3か月後・半年後に結果と照らし合わせる習慣をつけると、判断の精度が上がります。
数字で語る力(財務・会計の理解)
経営者が数字を読めないと、資源配分の判断が感覚頼みになり、金融機関や株主への説明にも説得力が出ません。
決算書の細かな作成は専門家に任せられますが、損益計算書・貸借対照表・キャッシュフローの関係を理解し、自社の稼ぐ力と資金の動きを自分の言葉で説明できることは欠かせません。
特に中小企業では、利益が出ていても資金が回らなくなることがあります。
月次で資金繰りを確認する習慣は、経営者の役割を果たすための基本動作です。
- 月次の損益を前年・予算と比べて説明できる
- 3か月先までの資金の出入りを把握している
- 投資の回収見込みを数字で示せる
人を動かす力(コミュニケーション・リーダーシップ)
どれほど正しい方針でも、社員が理解し、納得しなければ実行されません。
経営者には、方針を自分の言葉で何度も伝える力と、現場の声に耳を傾けて判断に反映する力が求められます。
また、リーダーシップは役職の権限で人を従わせることとは別物で、あらゆる立場の社員が発揮できるスキルです。
経営者が肩書きで人を動かそうとせず、社員一人ひとりがリーダーシップを発揮できる環境をつくることも、人を動かす力の一部です。
ポイント:伝えた「つもり」を防ぐには、方針を文書にして共有し、会議で社員自身の言葉で説明してもらうのが効果的です。
任せる力(自分の役割を絞る力)
まじめな経営者ほど、すべての仕事を自分で抱え込みがち。
しかし、経営者の時間には限りがあり、経営者にしかできない仕事に時間を使えているかが会社の伸びしろを左右します。
任せることは手を抜くことではありません。
任せる範囲と判断の基準を決め、進み具合が見える状態にしておけば、細かな指示をしなくても仕事は前に進みます。
次の章では、そのための具体的な仕組みを紹介します。
- 自分が1週間不在でも止まらない業務がどれだけあるか
- 任せた仕事の進み具合を、聞かなくても確認できるか
- 部下が判断してよい範囲を伝えているか
中小企業の経営者が役割を果たしにくい理由

役割を頭で理解していても、実際の中小企業の経営者は目の前の業務に追われ、本来の役割に手が回らないことが多くあります。
ここでは、データと現場の実感の観点から、役割を果たしにくくなる理由を整理します。
数字で見る中小企業と生産性の現実
中小企業庁『中小企業白書』によると、中小企業は全企業の99.7%を占め、従業者の約70%が中小企業で働いています。
一方で、1人当たりの労働生産性は大企業の605万円に対し、中規模企業は315万円、小規模事業者は168万円と、中小企業の生産性は大企業の半分以下にとどまります。
さらに、総務省統計局『人口推計』によれば、生産年齢人口は1995年の約8,716万人をピークに減り続けており、今後さらに減少する見通しが示されています。
国全体で見ても、日本の労働生産性はOECD加盟38カ国中29位。
人が減る中で会社を成長させるには、一人ひとりの生産性を上げる仕組みづくりが経営者の大きな役割になっています。
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| 企業規模 | 1人当たり労働生産性 | 大企業との比較 |
|---|---|---|
| 大企業 | 605万円 | 100% |
| 中規模企業 | 315万円 | 約52% |
| 小規模事業者 | 168万円 | 約27% |
社長がプレイヤーから抜け出せない
創業期の会社では、社長自身が誰よりも売り、誰よりも現場を知っていることが強みになります。
ところが会社が大きくなっても同じ働き方を続けると、社長の時間はすべて目の前の業務に吸い取られ、方向を決める・資源を配分する・組織をつくるという経営の仕事が手つかずになります。
さらに、すべての判断が社長に集まる会社では、社長が不在になると仕事が止まるという状態になりがち。
中間管理職が育たず、社長の上に何も積み上がらない「鍋ぶた組織」になってしまうのです。
→ 表は横にスクロールできます
| 症状 | 起きていること | 影響 |
|---|---|---|
| 社長の承認待ちが多い | 決裁の範囲が決まっていない | 仕事のスピードが落ちる |
| 社長しか知らない情報が多い | 情報がブラックボックス化している | 社長不在で判断できない |
| 管理職が育たない | 任される経験がない | 社長の負担が減らない |
| 方針を考える時間がない | 日々の業務に時間を取られている | 変化への対応が遅れる |
最後の役割=事業承継が先送りされる
帝国データバンク『全国「社長年齢」分析調査(2025年)』によると、2025年の社長の平均年齢は60.8歳で、調査開始以来の最高を更新し続けています。社長交代率も3%台と低い水準。
事業承継の準備には、後継者の育成や株式・資産の整理、取引先や金融機関との関係の引き継ぎなど、数年単位の時間がかかります。
中小企業庁『事業承継』でも支援策が用意されていますが、動き出すのは現経営者にしかできない判断です。
あわせて、全国銀行協会『経営者保証に関するガイドライン』を活用し、経営者個人の保証に頼らない資金調達の形を整えておくことも、引き継ぎやすい会社づくりにつながります。
- 後継者候補と引き継ぐ時期の目安を決める
- 会社の数字・取引先・ノウハウを見える形にする
- 後継者に権限を少しずつ委ね、判断の経験を積ませる
- 株式や個人保証など、承継の障害になるものを整理する
【脱属人化】経営の時間を確保するための仕組みづくり

経営者の役割は、理解するだけでは果たせません。
日々の業務に流されず役割を果たし続けるには、意識ではなく仕組みが必要です。
ここでは、中小企業でも今日から取り組める4つの仕組みを紹介します。
時間の使い方を「経営の仕事」に寄せる
多くの経営者は、自分の時間の大半が現場の業務や突発的な対応に使われていることに、記録して初めて気づきます。
時間を5つの役割と「現場業務」に分けて集計すると、実際に経営の仕事に使えている時間を把握できます。
そのうえで、週に一度、経営の仕事だけに使う時間を予定として確保するのがおすすめ。
方針の見直しや数字の確認、組織の課題の整理といった、緊急ではないが重要な仕事を先送りしない仕組みになります。
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| 時間の区分 | 主な中身 | 見直しの方向 |
|---|---|---|
| 方向を決める | 方針・計画の検討、市場の情報収集 | 週に一度は固定で確保する |
| 資源配分・数字 | 損益・資金繰りの確認、投資判断 | 月次で必ず時間を取る |
| 組織・人 | 面談、評価、採用、会議 | 定例化して抜けを防ぐ |
| 対外・責任 | 金融機関・取引先・株主への説明 | 四半期ごとなど時期を決める |
| 現場業務 | 営業、制作、トラブル対応 | 任せられるものから減らす |
組織図・業務分掌・職務権限で「任せる」を形にする
組織の構築には、①組織図の作成 ②業務分掌規程の制定 ③職務権限規程の制定の3つが必要です。
組織図で指揮命令の流れを示し、業務分掌で部署ごとの担当範囲を、職務権限で誰がどこまで決めてよいかを定める、という順番です。
最初から完璧な規程をつくる必要はありません。
まずは今の実態を書き出し、「この判断は部門長に任せる」と決めるところから始めると、社長に集中していた判断が少しずつ分散していきます。
- 今の指揮系統をそのまま組織図にする
- 部署ごとに担当している業務を一覧にする(業務分掌)
- 金額や内容ごとに、誰が決めてよいかを決める(職務権限)
- 半年に一度、実態とずれていないかを見直す
定例会議と報告の型で、情報が上がる流れをつくる
組織の構築とあわせて整えたいのが、①定例会議の設定 ②コミュニケーション・ツールの整備 ③報告フォーマットの整備という、コミュニケーションの仕組みです。
経営者が個別に聞いて回る状態では、情報の質も量も経営者の時間に左右されてしまいます。
週次の定例会議で「先週の結果・今週の予定・困っていること」を同じ型で報告してもらうだけでも、問題に早く気づける組織に近づきます。
報告の型が揃うと、経営者は数字と課題の比較がしやすくなり、資源配分の判断も早くなります。
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| 仕組み | 決めること | 効果 |
|---|---|---|
| 定例会議 | 頻度・参加者・議題・時間 | 情報共有と意思決定の場が固定される |
| コミュニケーション・ツール | 連絡手段と使い分けのルール | 連絡の抜けや埋もれを防ぐ |
| 報告フォーマット | 報告する項目と書き方 | 比較しやすく、判断が速くなる |
チームのタスクを見える化して、任せても進む状態にする

任せた仕事がどこまで進んでいるか分からないと、経営者は不安になり、結局は細かく口を出してしまいます。
任せることと把握することを両立させるには、チームのタスクを全員が見られる状態にしておくのがおすすめ。
組織の生産性向上には、「チームのタスク管理」と「タスクの見える化」が欠かせません。
見える化ができていれば、期限が迫っている仕事や担当が偏っている部分に、経営者が早く気づけるようになります。
現場にとっても、自分の仕事が全体のどこにつながっているかが分かり、社長に逐一報告する負担が減ります。
エクセルやスプレッドシートでも始められますが、人数が増えると更新の手間や最新版の管理が負担になりやすいため、チームで使うタスク管理ツールを検討するのも一つの方法です。
私たちが開発・運営するスーツアップは、表計算ソフトのような操作で、チームの「タスクの見える化」をして、タスクの抜け漏れや期限遅れを防ぐツールです。
機能を「「誰が・どのようなタスクを・いつまでに」の3つに絞って、みんながいつでも見られるチームのタスク管理」に絞っているため、ITに詳しくない社員でも使い始めやすく、経営者は聞いて回らなくてもチームの仕事の進み具合を確認できます。
よくある質問(FAQ)
経営者の役割について、よく寄せられる疑問にお答えします。
- 経営者と社長は同じ意味ですか?
-
ほぼ同じ意味で使われますが、厳密には異なります。社長は会社内の役職名で、経営者は会社の方向を決めて責任を負う立場の総称です。代表取締役や取締役、個人事業主も経営者に含まれます。
- 経営者の役割で最も重要なものは何ですか?
-
会社の進む方向を決めることです。資源配分も組織づくりも、方向が決まっていなければ判断の基準がありません。ただし方向を決めるだけでなく、組織と人を通じて実行し、結果に責任を持つところまでが経営者の役割です。
- 経営者と管理職の役割の違いは何ですか?
-
経営者は会社全体の「何をやるか」を長い時間軸で決め、管理職は決まった方針を自部署で「どうやるか」を担います。見る範囲と時間軸、責任を負う相手が異なります。
- 中小企業の経営者がまず取り組むべきことは?
-
自分の時間の使い方を記録し、経営の仕事にどれだけ時間を使えているかを確かめることです。そのうえで、組織図や決裁の範囲を決めて任せられる仕事を増やし、チームの仕事を見える化すると、経営者が本来の役割に集中しやすくなります。
- 経営者に資格は必要ですか?
-
株式会社の取締役や代表取締役になるために特別な資格は必要ありません。ただし、会社法上の義務や責任を負う立場であるため、財務や法務の基本的な知識は身につけておくことが望まれます。
- 経営者の責任にはどのようなものがありますか?
-
会社法では、取締役は会社に対して善管注意義務と忠実義務を負い、任務を怠った場合は会社や第三者への損害賠償責任が生じることがあります。加えて、社員の安全に配慮する義務や、株主・金融機関などへの説明責任もあります。
まとめ:経営者の役割は「組織を通じて成果を出す」こと
経営者の役割は、①方向を決める ②資源を配分する ③組織をつくる ④人を動かし育てる ⑤成果と責任を引き受けるの5つ。
管理職が「どうやるか」を担うのに対し、経営者は「何をやるか」を決め、会社全体の結果に法的にも責任を負います。
ドラッカー・バーナード・ミンツバーグの考え方にも共通するように、経営者の本質は、自分が働くことではなく、組織が成果をあげる状態をつくることです。
中小企業の経営者ほど、目の前の業務に追われて本来の役割が後回しになりがち。
時間の使い方を見直し、組織図や決裁の範囲で任せる仕組みをつくり、チームの仕事を見える化することから始めてみてください。
- 経営者は会社の方向を決め、結果に最終責任を負う人
- 役割は「決める・配る・つくる・動かす・引き受ける」の5つ
- 取締役には会社法上の善管注意義務・忠実義務がある
- 役割を果たすには、意識ではなく仕組み(組織・会議・見える化)が必要
参考文献・出典
- 小松裕介『1+1が10になる組織のつくりかた ── チームのタスク管理による生産性向上』実業之日本社、2025年、ISBN 978-4-408-65143-9
- P.F.ドラッカー『マネジメント【エッセンシャル版】』(ダイヤモンド社)
- C.I.バーナード『経営者の役割』(山本安次郎ほか訳、ダイヤモンド社)
- H.ミンツバーグ『マネジャーの仕事』(奥村哲史・須貝栄訳、白桃書房)
- 会社法(e-Gov法令検索)
- 民法(e-Gov法令検索)
- 労働契約法(e-Gov法令検索)
- 中小企業基本法(e-Gov法令検索)
- 中小企業庁『中小企業白書』
- 日本生産性本部『労働生産性の国際比較』
- 総務省統計局『人口推計』
- 国立社会保障・人口問題研究所『日本の将来推計人口(令和5年推計)』
- 日本取引所グループ「コーポレートガバナンス・コード」
- 経済産業省「デジタルガバナンス・コード」
- 中小企業庁「事業承継」
- 全国銀行協会「経営者保証に関するガイドライン」
- 帝国データバンク『全国「社長年齢」分析調査(2025年)』
株式会社スーツ 代表取締役社長CEO
2013年3月に、新卒で入社したソーシャル・エコロジー・プロジェクト株式会社(現社名:伊豆シャボテンリゾート株式会社、東証スタンダード上場企業)の代表取締役社長に就任。同社グループを7年ぶりの黒字化に導く。2014年12月に株式会社スーツ設立と同時に代表取締役に就任。2016年4月より総務省地域力創造アドバイザー及び内閣官房地域活性化伝道師。2019年6月より国土交通省PPPサポーター。2020年10月にYouTuber事務所の株式会社VAZの代表取締役社長に就任。月次黒字化を実現し、2022年1月に上場企業の子会社化を実現。2022年12月にスーツ社を新設分割し同社を商号変更、新たに株式会社スーツ設立と同時に代表取締役社長CEOに就任。
現在、スーツ社では、チームのタスク管理ツール「スーツアップ」の開発・運営を行い、中小企業から大企業のチームまで、日本社会全体の労働生産性の向上を目指している。
チームのタスク管理 / プロジェクト管理でこのようなお悩みはありませんか?

そうなりますよね。私も以前はそうでした。タスク管理ツールを導入しても面倒で使ってくれないし、結局意味なくなる。

じゃあどうしたらいいのか?そこで生まれたのがスーツアップです。

これ、エクセル管理みたいでしょ?そうなんです。手慣れた操作でチームのタスク管理ができるんです!

見た目がエクセルだからといって侮るなかれ。エクセルみたいに入力するだけで、こんなことも

こんなことも

こんなことまでできちゃうんです。

エクセル感覚でみんなでタスク管理。
まずは以下よりお試しいただき、どれだけ簡単か体験してみてください。

