カンバン方式とは?【トヨタ生産方式】仕組みと現代のタスク管理での使い方を図解解説
カンバン方式とは、必要なものを・必要なときに・必要なだけ生産する「ジャスト・イン・タイム」を実現するための、トヨタ生産方式の中核となる仕組みです。
「かんばん」と呼ばれる生産指示票を工程間でやり取りし、後工程が使った分だけ前工程が作ることで、作りすぎのムダや過剰な在庫を防ぎます。
この記事では、カンバン方式の定義・かんばんの意味・2種類のカンバン・運用ルールという基本から、スクラムや従来の生産方式との違い、そして近年ソフトウェア開発やチームのタスク管理で使われる「カンバンボード」までを、トヨタ自動車の公式情報トヨタ自動車『トヨタ生産方式』(公式・経営理念)を一次情報にわかりやすく整理します。
目次
カンバン方式とは?意味と由来をわかりやすく解説

カンバン方式の定義
カンバン方式は、トヨタ自動車が確立した「トヨタ生産方式(TPS)」を支える仕組みのひとつ。
トヨタ生産方式は「ジャスト・イン・タイム」と「自働化」の2本柱で成り立っており、カンバン方式はこのうちジャスト・イン・タイムを現場で回すための情報伝達の道具にあたります。
ジャスト・イン・タイムとは、「必要なものを、必要なときに、必要なだけ」つくるという考え方です。
これを実現するには、各工程が「いま何を・どれだけ作ればよいか」を正確に知る必要があります。
その情報を伝える役割を担うのがカンバンで、かんばんが来た分だけ作り、かんばんが来なければ作らないという単純明快なルールで現場が動きます。
「かんばん」とは何か(生産指示票・現品票)
かんばんは、「いつ・どこで・何が・どれだけ使われたか」が書かれた1枚のカードです。
トヨタの公式サイトでも、部品を使うと「かんばん」を外し、それを定期的に回収して部品工場へ届けることで、部品工場の人はかんばんに書かれた数だけ部品をつくる、と説明されています(トヨタ自動車『かんばん方式とは何ですか?』(公式・クルマこどもサイト))。
ポイントは、かんばんが「実際に使った」という事実そのものである点。
「たぶんこれくらい売れるだろう」という予測で作るのではなく、後工程で実際にに消費された分だけを、前工程が補う——この“事実をもとにする”仕組みが、作りすぎと在庫の山を防ぎます。
「作りすぎのムダ」をなくすために生まれた
売れた分だけ補充するというスーパーマーケットの仕組みを生産に応用し、「かんばん」という指示票を加えて発展させたものがカンバン方式です(トヨタ自動車75年史『スーパーマーケット方式』(公式))。
戦後の日本は、豊富な資源で大量生産する海外メーカーと比べ、限られたヒト・モノ・カネで競う必要がありました。
その制約のなかでトヨタがたどり着いたのが、徹底的にムダを省いて流れをよくするという考え方(トヨタ自動車75年史『「ジャスト・イン・タイム」の起源』(公式))。
トヨタ生産方式では、7つのムダのなかでも「作りすぎのムダ」を最も悪いムダと位置づけます。
作りすぎは、余分な在庫・運搬・スペース・管理といった別のムダを次々に呼び込むからです。
- 作りすぎのムダ(最も重視される。他のムダの原因になる)
- 手待ちのムダ(待っている時間)
- 運搬のムダ(不要な移動)
- 加工そのもののムダ(過剰な加工)
- 在庫のムダ(必要以上の在庫)
- 動作のムダ(付加価値を生まない動き)
- 不良・手直しのムダ(作り直し)
【前提】カンバンの種類(引き取り・仕掛け・電子)

カンバンには役割の異なる種類があります。
基本となるのは「引き取りカンバン(運搬カンバン)」と「仕掛けカンバン(生産指示カンバン)」の2枚で、この2種類が工程と工程のあいだをぐるぐると循環することで、モノと情報が同期して流れます。
後工程引き取りという前提知識をふまえて、それぞれの役割を順に見ていきましょう。
前提知識:後工程引き取り(プル方式)
先に頭に入れておきたいカンバン方式の核心となる要素が「後工程引き取り」という考え方です。
従来の多くの生産は、前工程が計画に沿ってどんどん作り、それを後工程へ「押し込む(プッシュ)」流れでした。
これだと、後工程の実際のペースと合わずに部品が溜まったり、逆に足りなくなったりします。
カンバン方式では流れを逆にし、後工程が「使った分だけ」前工程へ引き取りに行く(プル)方式をとります。
需要の起点である後工程(最終的には顧客)から上流へさかのぼって指示が伝わるため、ムダな作り置きが生まれにくく、工程全体が実際の需要を反映します。
この「押し込まない・引いてもらう」への発想転換こそが、カンバン方式のいちばんの勘どころです。
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| 観点 | 従来の押し込み型(プッシュ) | カンバン方式(プル) |
|---|---|---|
| 作る合図 | 中央の生産計画から前工程へ指示 | 後工程が引き取った実績(かんばん) |
| 作る量 | 計画上の予測数量 | 実際に使われた数量だけ |
| 在庫 | 工程間に溜まりやすい | かんばん枚数で上限を管理 |
| 変化への対応 | 計画変更が全体に波及しにくい | 実需の変化がそのまま流れに反映 |
引き取りカンバン(運搬カンバン)とは?
後工程で部品を使い切ると、その部品に付いていたカンバンを外し、そのカンバンを持って前工程(または部品置き場)へ「同じものを同じ数だけ」引き取りに行きます。
何を・どこから・どれだけ運ぶかが書かれた“運搬の指示票”であり、工程間・工場間のモノの流れをコントロールします。
引き取りカンバンがあることで、後工程は「使った実績」に基づいてだけ部品を補充します。
つまり、需要(実際に使われた量)が上流へ正確に伝わり、勝手な作り置きや過剰な運搬が起きません。
カンバンの枚数を管理者が意図的に絞れば、工程間に滞留する在庫量そのものを段階的に減らしていくこともできます。
カンバンは「在庫の見える化と上限管理を同時に行う道具」でもあるのです。
具体例:組立ラインでボルトの箱が空になったら、その箱に付いていた引き取りカンバンを持って部品置き場へ行き、同じボルトを1箱だけ引き取ってくる。空になるまでは取りに行かない。
📝補足・キーワード
- 後工程引き取り:後工程が必要なときに前工程から引き取る考え方
- プル方式:需要を起点に上流へさかのぼって指示が伝わる仕組み
仕掛けカンバン(生産指示カンバン)とは?
後工程に部品を引き取られた前工程は、外れて戻ってきた仕掛けカンバンを合図に、引き取られた分と同じ数だけを補充生産します。
何を・どれだけ・どの順番で作るかを示す“生産の指示票”で、これがあるおかげで前工程は「売れた(使われた)ペースでだけ」作ることができます。
仕掛けカンバンの要点は、生産指示が中央の生産計画からの“押し込み(プッシュ)”ではなく、後工程からの“引き取り(プル)”によって発生することです。
カンバンが戻ってこない限り作らないため、作りすぎのムダ(トヨタが最も重視する7つのムダの筆頭)を構造的に防げます。
生産の平準化(量・種類のならし)とセットで運用することで、無理・ムラ・ムダの少ない流れが生まれます。
具体例:後工程にドアパネルを10枚引き取られたプレス工程は、戻ってきた仕掛けカンバン10枚を合図に、同じパネルを10枚だけ追加でプレスする。11枚目は作らない。
📝補足・キーワード
- 作りすぎのムダ:需要以上に作ってしまう最大のムダ
- 平準化(へいじゅんか):生産の量と種類をならして流れを安定させること
電子カンバン(eカンバン)とは?
従来は紙のカードで回していたカンバンを、バーコード・IoT・生産管理システムに置き換えたものです。
部品を使ったタイミングでスキャンや自動検知を行うと、引き取り・生産指示の情報が離れた工場やサプライヤーへ即座に伝わります。
紙の物理的な回収・運搬の手間を省きつつ、カンバン方式の「次の生産量を実数値から割り出す」考え方はそのまま維持します。
電子カンバンの利点は、遠隔地のサプライヤーとの連携や、使用実績のデータ化・分析にあります。
どの部品がどれだけ・どのくらいの速さで使われているかがデータとして蓄積されるため、カンバン枚数の見直しや在庫上限の最適化が数字に基づいて行えます。
一方で、仕組みだけ電子化しても「必要な分だけ引く」という現場の運用思想が伴わなければ効果は限定的で、道具の導入と運用の徹底は分けて考える必要があります。
具体例:空になった部品箱のバーコードを現場でスキャンすると、契約サプライヤーの生産管理画面に補充指示が自動で表示され、必要数だけが手配される。
📝補足・キーワード
- IoT:モノにセンサーやネットワークをつなぎ状態を可視化する技術
- 見える化:使用実績や在庫の状況を誰もが同じ基準で見られる状態にすること
そして忘れてはならないのが、カンバンの枚数そのものが、工程間に許す在庫の“上限”になっているという点。
かんばんが3枚しかなければ、その部品は最大でも3箱分しか工程間に存在できません。
つまりカンバンは「作る・運ぶ合図」であると同時に、在庫の量を物理的に縛る歯止めでもあるのです。
この二重の役割こそが、カンバン方式が単なる伝票のやり取りで終わらない理由です。
【運用】カンバン方式の運用フローと6つのルール

カンバンが循環する基本の流れ
カンバン方式の1周は、次のような流れで回ります。
まず後工程が部品を使い、引き取りカンバンを持って前工程の置き場へ必要な分だけ引き取りに行きます。
部品が引き取られると、その部品に付いていた仕掛けカンバンが外れて前工程に戻ります。
- 後工程が部品を使い切る(実需が発生)
- 空いた容器に付いた引き取りカンバンを持ち、前工程の置き場へ行く
- 同じ部品を、かんばんに書かれた数だけ引き取る(作り置きは取らない)
- 引き取られた前工程では仕掛けカンバンが外れて戻る
- 前工程は戻った仕掛けカンバンの数だけ補充生産する
- 補充された部品に再びかんばんを付け、置き場に戻す(最初に戻る)
この循環のポイントは、どの工程も「かんばんという合図」が来て初めて動くことです。
かんばんがなければ運ばない・作らない。
だからこそ、工程間に余計な在庫が積み上がらず、実需に沿った流れが保たれます。
カンバン方式の運用ルール
カンバン方式を正しく機能させるため、トヨタ生産方式では守るべき運用ルールが定められています。
代表的なものを整理すると、次のようになります。
いずれも「実需とかんばんに厳密に従う」ための取り決めです。
→ 表は横にスクロールできます
| ルールの考え方 | 内容 |
|---|---|
| 後工程が引き取る | 前工程は後工程が引き取った分だけを補充する(勝手に押し込まない) |
| 引き取られた分だけ作る | 前工程はかんばんの枚数どおりに、必要な数だけ生産する |
| かんばんの無いモノは作らない・運ばない | かんばんは生産・運搬の唯一の指示。合図なしには動かない |
| 現物には必ずかんばんを付ける | モノとかんばんを常に一体で扱い、情報とモノをズレさせない |
| 不良品を後工程へ送らない | 各工程で品質を造り込み、不良を流さない(自働化と連動) |
| かんばんの枚数を減らして改善する | かんばんを意図的に減らすと在庫上限が下がり、隠れた問題が表に出る |
最後のルール「かんばんを減らす」が「カイゼン」の肝。
かんばんの枚数は、工程間に置いてよい在庫の上限を決めます。
あえてこの枚数を減らすと、工程間の在庫という”緩衝材”が薄くなり、これまで在庫のおかげで表面化しなかった問題(段取り替えの遅さ・不良・機械の停止など)が、すぐに現場の困りごととして表れるようになります。
問題の種を一つずつ潰していくのがトヨタ流の改善サイクルです。
ポイント:カンバン方式は「かんばんが来たら・来た分だけ・来たものを作る/運ぶ」というルールの徹底で運用できる。裏を返せば、ルールを破って“念のため多めに”作った瞬間に、作りすぎのムダが戻ってくる。
【応用】カンバンがタスク管理・アジャイル開発に取り入れる方法

「カンバン」という言葉は、いまでは製造現場だけでなく、ソフトウェア開発やチームのタスク管理の手法としても広く使われています。
これは2000年代に、トヨタのカンバン方式の考え方(流れの見える化・引き取り・仕掛かりの制限)を知的労働の現場に応用したもので、アジャイル開発の実践手法のひとつに数えられます。
カンバンボード(ToDo・Doing・Done)
タスク管理でのカンバンは、ホワイトボードや画面を「ToDo(未着手)」「Doing(作業中)」「Done(完了)」などの列に分け、タスクをカード(付箋)にして貼るのが基本形です。
カードを左から右へ動かすことで、いま誰が何に取り組み、どこで詰まっているかがひと目でわかります。
これはトヨタのカンバンと同じく、仕事の流れを見える化し、停滞を早く見つけて手を打つための道具。
製造現場では“部品の流れ”を、タスク管理では“仕事(タスク)の流れ”を見えるようにする——扱う対象が違うだけで、根っこの発想は共通しています。
WIP制限(仕掛かりを増やしすぎない)
タスク管理のカンバンで特徴的なのが「WIP制限(Work In Progress=仕掛かりの制限)」です。
「Doing(作業中)」に置けるカードの枚数に上限を設け、同時に抱える仕事を増やしすぎないようにします。
これは、かんばんの枚数で工程間の在庫上限を管理する発想とそっくり。
一度にたくさんの仕事を抱えると、どれも中途半端になり、かえって完了が遅れます。
着手中を絞り、1つずつ確実に「Done」まで流すことで、結果的にチーム全体のスピードが上がる——これがWIP制限のねらいです。
トヨタのカンバンとタスク管理のカンバンの関係
両者は「流れを見える化し、引き取り(プル)で回し、仕掛かりを制限する」という思想を共有しています。
一方で、対象(モノか、知的作業か)や運用の細部は異なります。
混同しないよう、要点を対比しておきましょう。
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| 観点 | トヨタのカンバン方式(製造) | タスク管理のカンバン(ボード) |
|---|---|---|
| 扱う対象 | 部品・モノの生産と運搬 | タスク・作業(知的労働) |
| かんばんの正体 | 現品票・生産指示票(紙/電子) | タスクを書いたカード・付箋 |
| 引き取りの意味 | 後工程が使った分だけ前工程が作る | 手が空いたら次のタスクを引き取る |
| 数量の制限 | かんばん枚数=在庫の上限 | WIP制限=同時作業の上限 |
| 共通する狙い | 流れの見える化・停滞の削減 | 流れの見える化・停滞の削減 |
つまり、製造現場で磨かれた「見える化と流れの管理」の知恵を、チームの仕事に持ち込んだのがタスク管理のカンバンだと言えます。
カンバン方式を学ぶことは、そのまま日々のチーム運営のヒントにもなるのです。
カンバン方式と他の方式・スクラムの違い

従来の押し込み型(プッシュ)との違い
最大の違いは、指示が流れる向き。
従来の押し込み型は、中央の生産計画をもとに前工程がどんどん作り、後工程へ押し出します。
一方カンバン方式は、後工程が引き取った実績を合図に前工程が作る「引く」流れ。
押し込み型は計画どおりに大量に作れる半面、需要が読み違うと在庫の山や欠品を招きます。
カンバン方式(プル)は、実需に同期するぶん在庫を抑えられる半面、需要が乱高下すると流れが不安定になりやすいため、生産の平準化(量・種類のならし)とセットで運用するのが前提になります。
アジャイルのスクラムとの違い(区切りの有無)
タスク管理の文脈では、カンバンはよく「スクラム」と比較されます。
スクラムが1〜4週間の固定期間(スプリント)で区切って計画的に運用するのに対し、カンバンは固定の区切りを設けず、流れを止めずに継続的に処理するのが基本です。
また、スクラムはプロダクトオーナーやスクラムマスターといった役割を定めますが、カンバンは既存のやり方や役割を大きく変えずに“いまの流れ”に導入できるという違いがあります。
どちらが優れているというより、仕事の性質で使い分けるものです。
→ 表は横にスクロールできます
| 観点 | カンバン | スクラム |
|---|---|---|
| 時間の区切り | 固定の区切りなし(連続的に流す) | スプリントで区切って反復 |
| 役割の定義 | 必須の役割はない | PO・スクラムマスター等を定める |
| 変更のタイミング | いつでも項目を追加・着手できる | 原則スプリント単位で見直す |
| 数量の制御 | WIP制限で仕掛かりを絞る | スプリントに入れる量で調整 |
| 向く仕事 | 割り込みが多い運用・保守・問い合わせ対応 | 先が読みにくい開発・改善を反復する仕事 |
開発チームはスクラム、保守や問い合わせ対応のチームはカンバン、というように仕事の性質ごとに使い分ける組織も少なくありません。
両者を組み合わせた「スクラムバン」という実践もあります。
アジャイル全体の考え方は原典のアジャイルソフトウェア開発宣言やIPA:アジャイル開発の進め方が参考になります。
選ぶ際の目安はシンプル。
計画的に区切って集中したい仕事はスクラム、割り込みが多く流れを止めたくない仕事はカンバン、と考えると迷いにくくなります。
どちらも「まず仕事を見える化し、抱え込みを減らす」という出発点は共通しているため、最初から厳密な型にこだわらず、自分たちのチームに合う形へ運用しながら調整していくのが現実的です。
カンバン方式のメリット・デメリットと運用のコツ

メリット(在庫削減・見える化・流れの改善)
最大のメリットは、作りすぎと在庫を抑えながら、実需に同期した流れを保てることです。
かんばんの枚数で在庫の上限が管理されるため、余剰在庫やそれに伴う保管・管理コストを減らせます。
加えて、かんばんという“見える合図”で現場が動くため、どこで流れが滞っているかが把握しやすいのも実務上の利点です。
問題が在庫に隠れず表面化しやすく、継続的な「カイゼン」を促します。
- 作りすぎのムダを防ぎ、余剰在庫を減らせる
- かんばんの枚数で在庫・仕掛かりの上限を管理できる
- モノと情報の流れが見える化され、停滞に気づきやすい
- かんばんを減らすことで、隠れた問題を表面化し改善できる
デメリット・注意点(需要変動と“形だけ導入”)
一方で、カンバン方式は需要が急激に変動する状況に弱いという面があります。
実需で引く仕組みゆえ、需要が乱高下すると流れが不安定になりやすく、生産の平準化や安定した需要が前提になります。
また、サプライヤーを含めた工程全体で仕組みを共有できていないと、途中で流れが途切れてしまいます。
さらに、「かんばんの形」だけを真似ても効果は出ません。
本質は「必要な分だけ引く」「問題を隠さず改善する」という運用の思想であり、カードやボードを用意しただけで満足すると、ただの伝票運用に終わってしまいます。
- 需要が急変・乱高下する製品・工程には必ずしも向かない
- 生産の平準化(量と種類のならし)が前提になる
- サプライヤーを含む工程全体でルールを共有する必要がある
- 仕組みだけ導入し、改善の運用が伴わないと形骸化する
考え方を“見える化”からチームに取り入れる

カンバン方式そのものは製造現場の仕組みですが、その根底にある「流れを見える化し、抱え込みを減らし、実需に合わせて回す」という考え方は、あらゆるチームのタスク運営にそのまま活かせます。
難しく考える必要はありません。
まずは「誰が・何を・いつまでに」やっているかをチームで一箇所にまとめて見えるようにする——この“見える化”だけでも、仕事の滞りや抱え込みに早く気づけるようになります。
その上で、同時に抱える仕事を絞り(WIP制限の発想)、定期的にふりかえって流れを改善していけば十分です。
これはカンバン特有の話ではなく、チームで成果を出すための普遍的な土台でもあります。
生産性向上には、組織の構築とコミュニケーション、そしてチームのタスク管理が欠かせません。
かんばんや在庫の厳密な管理はできなくても、「誰が・何を・いつまでに」をチームで見える化するだけで、抜け漏れや停滞はぐっと減らせます。
まずはそこから始めるのが現実的です。
私たちが開発・運営するスーツアップは、表計算ソフトのような操作性で、チームの「タスクの見える化」をして、タスクの抜け漏れや期限遅れを防ぐツールです。「「誰が・どのようなタスクを・いつまでに」の3つに絞って、みんながいつでも見られるチームのタスク管理」に絞り、表計算ソフトのような操作性でチーム全員が同じ最新を見られる状態をつくります。カンバンの根底にある“流れの見える化と抱え込みの解消”を、専門ツールより手前の“毎日続く運用”として支えます。
カンバン方式に関するよくある質問(FAQ)
カンバン方式を学び始めた人がつまずきやすいポイントを、Q&A形式でまとめました。
用語の意味や、製造とタスク管理でのカンバンの違いの確認に役立ててください。
とくに「ジャスト・イン・タイムとの関係」「スクラムとの違い」は誤解が多いので、あらためて押さえておくと安心です。
- カンバン方式とジャスト・イン・タイムの違いは何ですか?
-
ジャスト・イン・タイム(JIT)は「必要なものを、必要なときに、必要なだけ作る」という考え方・目標です。カンバン方式は、そのJITを現場で実現するための具体的な“道具・仕組み”にあたります。「かんばん」という指示票を使って後工程引き取りを回すことで、JITが実際に機能します。目的(JIT)と手段(カンバン方式)の関係と整理すると分かりやすいです。
- 「かんばん」とは具体的に何ですか?
-
「いつ・どこで・何が・どれだけ使われたか」が書かれた1枚のカード(現品票・生産指示票)です。部品を使うとカードを外して回収し、そのカードの数だけ前工程が補充生産します。近年は紙のカードをバーコードやシステムに置き換えた「電子カンバン」も広く使われています。
- カンバン方式のカンバンは2種類あると聞きました。何が違いますか?
-
基本は「引き取りカンバン(運搬カンバン)」と「仕掛けカンバン(生産指示カンバン)」の2種類です。引き取りカンバンは後工程が前工程へ部品を引き取りに行くときの運搬指示、仕掛けカンバンは引き取られた分だけ作るよう前工程に出す生産指示です。この2枚が工程間を循環することで、モノと情報が同期して流れます。
- カンバン方式とアジャイルのカンバン(カンバンボード)は同じですか?
-
思想は共通していますが、対象が異なります。トヨタのカンバン方式は製造現場で“部品の流れ”を管理する仕組みです。一方、ソフト開発やタスク管理で使う「カンバンボード」は、ToDo・Doing・Doneの列にタスクのカードを並べて“仕事の流れ”を見える化する手法です。どちらも『流れの見える化・引き取り・仕掛かりの制限』という発想を共有しています。
- カンバン方式とスクラムはどちらを選べばよいですか?
-
仕事の性質で選びます。スクラムはスプリントという固定期間で区切って計画的に回すため、先が読みにくい開発や改善を反復する仕事に向きます。カンバンは固定の区切りを設けず流れを止めずに処理するため、割り込みの多い運用・保守・問い合わせ対応などに向きます。両方を組み合わせた「スクラムバン」という実践もあります。
- 製造業でなくてもカンバン方式の考え方は役立ちますか?
-
役立ちます。「流れを見える化する」「抱え込み(仕掛かり)を増やしすぎない」「実際の需要に合わせて回す」という考え方は、あらゆるチームのタスク運営に応用できます。まずは『誰が・何を・いつまでに』をチームで見える化するところから始めると、抜け漏れや停滞を減らしやすくなります。
まとめ:カンバン方式は「見える化してムダをなくす」仕組み
カンバン方式とは、「かんばん」という指示票を使い、後工程が使った分だけ前工程が作ることで、必要なものを必要なだけ生産するジャスト・イン・タイムを実現する、トヨタ生産方式の中核的な仕組みです。
「後工程引き取り(プル)」と「作りすぎのムダの排除」という発想が土台にあります。
そしてこの「流れを見える化し、抱え込み(ムダ)を減らし、実需に合わせて運用する」という考え方は、製造現場を離れ、ソフトウェア開発やチームのタスク管理(カンバンボード・WIP制限)にも受け継がれています。
カンバン方式を理解することは、そのまま日々のチーム運営を見直すヒントにもなります。
まずは小さく、「誰が・何を・いつまでに」を見える化するところから始めてみてください。
参考文献・出典
- トヨタ自動車『トヨタ生産方式』(公式・経営理念)
- トヨタ自動車『よく分かる「トヨタ生産方式」』(公式・バーチャル工場見学)
- トヨタ自動車『かんばん方式とは何ですか?』(公式・クルマこどもサイト)
- トヨタ自動車75年史『スーパーマーケット方式』(公式)
- トヨタ自動車75年史『「ジャスト・イン・タイム」の起源』(公式)
- トヨタ自動車75年史『トヨタ生産方式』(公式・詳細解説)
- アジャイルソフトウェア開発宣言(日本語・原典)(アジャイル宣言の背後にある原則(日本語・原典))
- IPA:アジャイル開発の進め方(独立行政法人 情報処理推進機構(IPA))
- 公益財団法人 日本生産性本部『労働生産性の国際比較』
- 経済産業省:ものづくり白書(経済産業省(ものづくり・DX関連))
- 中小企業庁『中小企業白書』
- 総務省『情報通信白書』
- 小松裕介『1+1が10になる組織のつくりかた ── チームのタスク管理による生産性向上』実業之日本社、2025年(ISBN 978-4-408-65143-9)
株式会社スーツ 代表取締役社長CEO
2013年3月に、新卒で入社したソーシャル・エコロジー・プロジェクト株式会社(現社名:伊豆シャボテンリゾート株式会社、東証スタンダード上場企業)の代表取締役社長に就任。同社グループを7年ぶりの黒字化に導く。2014年12月に株式会社スーツ設立と同時に代表取締役に就任。2016年4月より総務省地域力創造アドバイザー及び内閣官房地域活性化伝道師。2019年6月より国土交通省PPPサポーター。2020年10月にYouTuber事務所の株式会社VAZの代表取締役社長に就任。月次黒字化を実現し、2022年1月に上場企業の子会社化を実現。2022年12月にスーツ社を新設分割し同社を商号変更、新たに株式会社スーツ設立と同時に代表取締役社長CEOに就任。
現在、スーツ社では、チームのタスク管理ツール「スーツアップ」の開発・運営を行い、中小企業から大企業のチームまで、日本社会全体の労働生産性の向上を目指している。
チームのタスク管理 / プロジェクト管理でこのようなお悩みはありませんか?

そうなりますよね。私も以前はそうでした。タスク管理ツールを導入しても面倒で使ってくれないし、結局意味なくなる。

じゃあどうしたらいいのか?そこで生まれたのがスーツアップです。

これ、エクセル管理みたいでしょ?そうなんです。手慣れた操作でチームのタスク管理ができるんです!

見た目がエクセルだからといって侮るなかれ。エクセルみたいに入力するだけで、こんなことも

こんなことも

こんなことまでできちゃうんです。

エクセル感覚でみんなでタスク管理。
まずは以下よりお試しいただき、どれだけ簡単か体験してみてください。

