※この記事は、WEBメディア「The Urban Folks」に連載されている2018年12月29日公開の「リーダーと考える経営の現場・第13回 Lead with love」 を転載したものです。

 

「リーダーと考える経営の現場」では、前回に続き、私が経営の現場で得た「気づき」に基づいて、基本となるリーダーシップの考え方について記載していきたいと思います。今まで12回にわたり、この基本となるリーダーシップの考え方について記載をしてまいりましたが、本稿で一区切りとなります。

最後のテーマは「Lead with love」です。愛とともに導く、愛をもって導くというリーダーシップの「あり方」についてご紹介したいと思います。

この「Lead with love」ですが、今まで本連載を読んできた読者の皆さんには、既に十分にご理解いただけているのではないかと思います。今までも、近い考え方として、第9回ではリーダーはフォロワーから愛され畏れられる存在であること、第10回ではリーダーとフォロワーの関係は親子のような関係であることを紹介してきました。

リーダーは、世のため人のため、組織のため、そして、フォロワー自身のために、フォロワーに対して、正しいこと・厳しいことを言って、フォロワーを導いていかねばなりません。但し、そのとき、そこに愛情がなければなりませんし、もしそこに愛情がなければ中長期的には決して上手くいかないでしょう。

多くの場合、リーダーの目標は、フォロワーにとっての目標でもあります。そのため、多くのリーダーは、少しぐらいの困難や苦難があったとしても、フォロワーは乗り越えなければならないと考えがちです。しかし、この考えが大きな間違いであることは以前にも記載してきたとおりです。なぜなら、普通の人は「人は性善なれど、弱し」だからです。少しの困難や苦難を前に、簡単に物事は進まなくなってしまうものです。

リーダーは、この「弱い」フォロワーを導き動かすために、たっぷりの愛情を用意しなければなりません。人は愛情を感じられれば、自己肯定感が高まり、安心感を得ることができます。そして、人は安心できれば、前を向いて、次のことにチャレンジすることができるのです。サラリーマンの安心とは、組織の中での居場所の確保かもしれませんし、金銭的な保証かもしれません。リーダーからの愛情の形の一つは、例えフォロワーが失敗をしたとしても、引き続きフォロワーの存在を認め続け支援し続けるということかもしれません。

フォロワーにリーダーの愛情が伝わっていたとしても、それでも「弱さ」に負けてしまう場合があります。私が経験してきた上手くいかなかった事例の多くでも、フォロワーの多くは、リーダーが求めていることを理解しており、そこに愛情があることも十分に理解していたように思います。しかし、自分の「弱さ」に負けて、自分の「弱さ」を認められず、他責になってしまったり、逃げてしまったりという人をたくさん見てきたように思います。

現在、私は、今までの会社経営の経験を活かし「プロ経営者」として、様々な会社の経営支援をしています。その中で、クライアント企業の経営陣に対して、フォロワーであるスタッフにもっと興味を持ちましょうということをアドバイスします。人を動かすうえで、その人に無関心ではいけません。その人の人となりや生き方、人生にも興味をもって、愛情をもって導けば、その人は必ず動いてくれるものです。

リーダーシップの要諦とは、この「Lead with love」だと思います。

日々忙しく流れていく日常生活において、リーダーが、一人ひとりのフォロワーのことを真剣に考えて、愛情をもって接することは、大変難しいことです。このことは多くのサラリーマンの皆さんにもご理解いただけるのではないでしょうか。中長期的な目線で本質的で大事なことではありますが、どうしても短期的な目線ではおざなりになってしまいがちなことなのです。また、特にテクノロジーが職場の多くに入り込むようになって、多くのマネージャーがこの極めて非効率で・非合理な要素を軽んじているように思います。

リーダーがフォロワーに求める正しいことの多くは、フォロワーにとって厳しいことであることが多いです。リーダーから正しいことを求められた際に、そこに愛情があれば、リーダーに導かれて、フォロワーの多くは、少なくとも正しいことを実現できるように努力をするでしょう。

フォロワーは、このリーダーの愛情に非常に敏感に反応します。フォロワーの多くは、リーダーと違って、目標が達成されることのみを望むのではなく、多くの場合は、フォロワーである自分がリーダーからの愛情を受けて、帰属意識や自己肯定感とともに、目標が達成されることを望んでいるのです。

全てのリーダーを目指す人たちに「Lead with love」という格言を送りたいと思います。もしリーダーが心にゆとりをなくしたとき、自信をなくしたときは、この言葉を忘れずに、愛情をもってフォロワーを導いてもらいたいと思います。必ず多くのフォロワーを動かすことができ、リーダーを本当のリーダーにしてくれることでしょう。

次回以降は、経営の現場でよく起きている具体的な事例を使って、リーダーが、リーダーシップの考え方に基づいて、どのように考え、どのようなアクションをすべきかを一緒に考えていきたいと思います。

 

 

「リーダーと考える経営の現場」

第1回 「はじめに」
第2回 「リーダーシップに立場は関係ない」
第3回 「マネジメントとリーダーシップの違い」
第4回 「人は性善なれど、弱し」
第5回 「自責と他責」
第6回 「人として正しいことを」
第7回 「リーダーは自然体」
第8回 「サーバント・リーダーシップ」
第9回 「愛され畏れられる存在」
第10回 「傲慢な存在」
第11回 「子どものように叱る」
第12回 「奇跡を起こし、神となれ」
第13回 「Lead with love」
第14回 「リーダーシップの旅 前半」
第15回 「リーダーシップの旅 後半」

 

株式会社スーツ 代表取締役 小松 裕介

 2013年3月に、新卒で入社したソーシャル・エコロジー・プロジェクト株式会社(現社名:伊豆シャボテンリゾート株式会社、JASDAQ上場企業)の代表取締役社長に就任。同社グループを7年ぶりの黒字化に導く。2014年12月に当社設立と同時に代表取締役に就任。2016年4月より、総務省地域力創造アドバイザー及び内閣官房地域活性化伝道師登録。